前説

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このブログでは、 ベストソングの記事は、月別に書くようにしているんだけど、、アルバムの記事は三ヶ月に一回で更新している。

アルバムという単位で作品と向き合ううえで、月に一回は今の自分のスケジュール的に難しいので、こうしている次第。

前回は「2021年夏、バンド・アーティストの個人的なベストアルバム10選」というタイトルだったので、今回は「秋」と題して、記事を上梓したい。

ジャンルにはとらわれず、「自分が気に入った作品」を軸にして選んでいます。

ちなみに、この記事の紹介順はランキングでは、ありませんので何卒。

それでは、どうぞ。

本編

Official髭男dism 『Editorial』

メジャー2ndアルバムとある『Editorial』。

2019年以降のOfficial髭男dismのキャリアの総決算のような作品。

シンプルに各楽曲の完成度が高く、アルバムとして飛ばすところが本当にない。

さらに、各メンバーが手掛けた楽曲も収録されており、表題曲を手掛ける藤原とは違う魅力が詰まった楽曲がバランス良く配置されているのも特徴である。

そのうえで、アルバム全体を通したときのメッセージ性も明確で、冒頭の「Editorial」に書かれている歌詞と繋がっているという構成も良い。

シングルの個性が際立ちすぎているので、アルバムとしてまとめたとき、もう少し収まりが悪くなるかと思ったが、そこに関しても個人的には然るべき形で収まっている感じがした。

いずれにしても、2021年のアルバムにおいても傑作的作品と思える。

Official髭男dismの底なし具合を痛感させる一作である。

関連記事:Official髭男dismの『Editorial』が伝えたいけど語ることができないことに気づいた件

SEKAI NO OWARI 『scent of memory』

SEKAI NO OWARIとして6枚目のオリジナル・アルバムとなる 『scent of memory』。

レーベル移籍後発のオリジナル・アルバムということもあり、今までのセカオワとは違う世界観を覗かせる部分もあるアルバムである。

シニカルな雰囲気漂うラップソングである「Like a scent」や、Fukaseの2人の妹がゲストボーカルとして参加する「family」など、既存の枠組みには囚われないアウトプットを発揮している。

セカオワらしさ、とはこうだ。という言説があったとして、おそらくとっくにそこで語られるセカオワらしさをセカオワは脱却しているような、そんな凄まじさを感じさせるアルバムである。

様々なアウトプットがあるからこそ、ここ一番でセカオワらしいポップさを兼ね備えた「tears」のような楽曲が眩しく光るという部分もある。

関連記事:SEKAI NO OWARIの「バードマン」が魅せる素朴さについて

yama 『the meaning of life』

2020年に一躍トップアーティストの仲間入りを果たしたyama。

そんなyamaの待望のファースト・アルバムとなる『the meaning of life』。

縦横無尽なアウトプットで、カラフルにアルバムの世界を彩っていく。

アルバム全体としては14曲だが、12曲以降はボーナストラックとして捉えたとき、11曲まででひとつの作品として区切っていると認識している。

にしても、初めてのオリジナルフルアルバムにして、スキのない完成度の高さである。

ライブで盛り上がりそうな痛快なロックチューンの「ランニングアウト」で口火を切ったかと思えば、続いての「血流」ではyamaらしいシックな歌声で空気感を変えていく。

各クリエイターが提供した渾身の楽曲を、軽やかに歌いこなすボーカリストとしてのyamaのポテンシャルに脱帽する。

くじらが楽曲提供した「Sleepless Night」が個人的なお気に入り。

関連記事:2020年に話題になったyamaというアーティストについて

Hakubi 『era』

片桐が歌う言葉が、自分によく刺さる。

Hakubiのアルバムを聴いていると、そんなことを強く思う。

とにかく声の響きが好きで、言語化してどうのこうのという部分を超越していることを実感する。

あと、インディーズ時代の作品と、メジャー・デビューの後の作品を絶妙なバランスで配置しながら、それらを今のHakubiのモードに落とし込んでいる感じがするのが、良い。

どの曲が好きだろうと考えていたら・・・「栞」、「在る日々」、「辿る」、「フレア」・・・と、あれ全部好きなんじゃないか・・・?と気づいてしまった罠。

ただ、その中でも、ライブで聴くときの演奏前の<語り>も含めて、「mirror」はやっぱりぐっとくる一曲だなあと感じてしまう。

関連記事:Hakubiの「era」に気がついたら抉り取られていた件

AAAMYYY 『Annihilation』

トラックを聴くと、<深淵>という言葉がふと頭をよぎる。

それくらいに、楽曲ごとのサウンドに深みを覚えるのである。

AAAMYYYが持つ幻想的な歌声と、練りに練られた音の揺らぎが、音すべてからそういう印象を与えるのかなあと思う。

だからこそ、「HOME」の言葉に、ふいに今いる場所を意識されて、ハッとすることになる。

ソロ作品だからこその通底した価値観やコンセプトがあるような気がして、よりアルバムとしての強度が高まっている印象。

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Mom 『終わりのカリカチュア』

自然体だし、枠に囚われないセンスでトラックを作り込むMom。

・・・なんだけど、言葉はどこまでも尖鋭的で、社会的なトピックに対しても容赦なく言葉にしていく凄みがある。

言葉があって、その言葉をより立体的にするサウンドがあって、だからこそトータルとしての楽曲の鋭さが全開になっていくというか。

アルバムとしては19曲収録されていてボリューミーな作品になっているんだけど、決して蛇足はなく、常にワクワクする緊張感に包まれた作品になっている。

鈴木真海子 『ms』

chelmicoでも活動する鈴木真海子が初のオリジナルフルアルバム。

chelmicoでものぞかせていた自然体ながらも、しっかりと音楽のリズムを乗りこなすそのフロウが、今作でも炸裂している。

iriが参加した「じゃむ」でも、洒脱でクールに楽曲を構築している。

アルバムの手触りとしては<さらり>としているかもしれないが、鈴木真海子の揺るぎない音楽センスが溢れまくっている。

佐藤千亜妃 『KOE』

セカンドフルアルバムとなった「KOE」。

実は、佐藤千亜妃に関してソロ活動をするようになってからそこまで熱心に聴いていなかった。

・・・というよりは、バンド時代の作品の方が愛着があって、そこまで丁寧に聴いてこなかったんだけど、今作は一気にくらった。

やっぱり佐藤千亜妃の紡ぐ世界観って美しいし、繊細な部分の描き方や表現の仕方が絶妙だよなーと思っていて。

『KOE』というタイトルだけあって、佐藤千亜妃の歌声の豊かさを体感できる作品になっている。

ENDRECHERI 『GO TO FUNK』

ENDRECHERIは、元々アート性の高い作品を作り上げていたが、『GO TO FUNK』はよりそれが先鋭化された印象を受ける。

堂本剛自身がギターやベースやドラム、キーボードをプレイすることで、自身がイメージするファンクの美学やメッセージ性をダイレクトに形にした印象を受けるのだ。

しかも単にアート性が高いだけではなく、音楽としての<遊び>が豊かなのも今作の特徴で。

音楽ってこうあるべきでしょ、という概念を軽く覆すというか。

他者がどう思うかどう思われるというよりも、自身のピュアな部分を大事にして音を構築していることが伝わってくるというか。

つまるところ、ENDRECHERIの音楽的成熟さが結実している、という感想に尽きるし、言葉に触れてみても、対象を捉えているスケールの大きさを強く実感する。

関連記事:ENDRECHERIの音楽が耳から摂取できるタイプの快楽であることについて

NEE 『NEE』

勝手な自分の印象かもしれないけど、このアルバムを聴いたとき、気合いのいれようが半端ないと思った。

この作品で、色んなものを変えていくぜ、といったエネルギーを感じたというか。

言ってしまえば、NEEの音楽が持つ爆発力がこれでもかと炸裂していることを身をもって感じたのだ。

インディーズ時代の楽曲もバランスよく配置されたこのアルバム。

聴いている側からすると、「不革命前夜」の爆発的ヒットがひとつの境界のように思っていたんだけど、こうやってアルバムとして楽曲を並べて聴くと、この歌がいつの時の曲でこの歌がきっかけで・・・みたいな視座はどうでもよくなっていく。

それほどまでに、ひとつひとつの楽曲のエネルギーの爆発力が凄まじいのだ。

時にキャッチーに、時にプログレっぽく響く歌が良い意味で中毒性を喚起していく。

シンセサイザーを中心にバンド外の音が効果的に鳴っている歌もあれば、バンドの音だけで構築している歌もあって。

でも、使っている音の種類で、極端な違いを感じるかといえば、個人的にはそんなことがなくて、良い意味で、どれもNEEらしい、に自分は帰結するのである。

もちろん、こういう要素とこういう要素が入っていて・・・という分析はできるんだけど(例えば、高速ロックにボカロ的なエッセンスが組み込まれている、みたいな)トータルでみたとき、こんなメロディーをこんな音と組み合わせて曲として構築しているバンド、NEEしかいねえよな・・・という気分になって、良い意味でNEEらしいの言葉で十分じゃん、みたいな感じになるというか。

バンド名を冠にしたアルバムだけあって、NEEの芳醇な世界観がアルバムの中で描かれている。

そう。

他の作品とは比較して仕方がない境地のアルバムが世に放たれたという意味で、とんでもないアルバムだと思う。

そんなことを実感したので、この記事のラストは、このアルバムを紹介することにした。

2021年の中でも、屈指の作品のひとつだと思う。

まとめ

というわけで、7~9月に発表・解禁されたアルバムを中心に、10枚選んでみました

興味をもった作品があれば聴いてもらえたら嬉しい限り。

では、今回はこの辺で。

ではではでは。

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