2022年個人的ベストソング20

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毎年、その年の最終日には”個人的な年間ベストソング”の記事を挙げている。

なお、いつも挙げているベストソング系の記事と違って、年末のベストソング記事はランキング形式で発表することにしている。

好きな音楽をランキング形式で発表することを野暮と思う人もいるが、ランキング形式にするからこそ可視化できるものがあると思うし、知らない人が新しい音楽を知るきっかけとしてランキング形式の方が把握しやすいかなと思っているので、年に一回だけこういう形で楽曲を紹介している。

なお、ランキングは楽曲の良し/悪しというよりは、自分の好き具合だったり、楽曲と出会ったときのトキメキ具合だったり、この一年の自分的なリピート率を加味して勝手に選ばしてもらっている。

メジャーとかインディーズとか、バズったとかバズっていないとか、バンドだとかラッパーだとかアイドルだとか、関わりのある人とかそうでないとか、基本的にそういうのは全部脇に置いて、あえて今年ベストソングをランキング付けするならどうなるか・・・という観点だけで選ぶようにはしている。

とはいえ、世界中の音楽をフラットに対象にしたらさすがに自分も選び切る自信がないので、当ブログでは下記2点のルールだけ設けるようにしている。

・選出ベストソングはいわゆる“邦楽”
・ひとつのアーティストにつき、選定は一曲まで

ちなみに2021年のベストソングの上位10枚は下記だった。

1位:Sexy Zone 「RIGHT NEXT TO YOU」
2位:宇多田ヒカル 「One Last Kiss」
3位:Official髭男dism 「Cry Baby」
4位:星野源 「創造」
5位:STUTS & 松たか子 「Presence I feat. KID FRESINO」
6位:長谷川白紙 「ユニ」
7位:MAISONdes 「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」
8位:The Songbards 「夕景」
9位:リーガルリリー 「東京」
10位:クレナズム 「酔生夢死」

それでは、どうぞ。

本編

20位:SEKAI NO OWARI「Habit」

レコ大受賞を取ったりと、YouTubeで1億再生突破したりと、紛いもなく2022年を代表する一曲になったSEKAI NO OWARIの「Habit」。

SEKAI NO OWARIって多面的な魅力が存在するバンドで、こういうニヒルな歌も歌ってきたバンドであると思う。

けれど、「Habit」はそれを差し引いても新たなセカオワの一面を感じさせる歌だった。

中毒性のあるサビと、独特のキャッチーさをダンスとMV。

セカオワだってそろそろ”若い子が好きなバンド”じゃなくなってもおかしくなるほどにどんどん若い世代が台頭してきている中で、「Habit」でぐっと既存ファンだけじゃなくて新規のファン、特に若い世代の心をがっちりと掴んでしまった印象で、流石の一言。

ダンスナンバーっぽい装いなんだけど、変にアゲる感じじゃなくてクールに楽曲が展開されるのが良いし、ダンスはもちろん、基本はただの聴き専である自分も惹きつけられるメロディーラインも秀逸だと感じ、20位とさせてもらった次第。

19位:BiSH 「ZUTTO」

2022年は12ヶ月連続でリリースを行なっていたBiSH。

一応、どの楽曲も聴いていたんだけど、自分的には12ヶ月連続リリースの第12弾となった「ZUTTO」が一番好きだった。

MVの作り方が、これまでの内容を総括するような構成なのが良い。

あと、12ヶ月連続の最後の楽曲であり、しかも来年解散が決まっている中でのリリースなわけで、もっとエモさに振り切る楽曲を歌ってもいい中で、「ZUTTO」は疾走感と言葉が届く感じのちょうど良いバランスになっている印象で、その温度感が絶妙だと思った次第。

サウンドよりもボーカルが際立つ構成になっているので、改めて各々のボーカルの個性が見えてくるのも良くて、じっくり聴きたくなってしまうのも自分の中で良きポイントだった。

18位:結束バンド「ギターと孤独と蒼い惑星」

もっと未来になってからこの記事を通じて2022年の音楽を振り返るとき、『ぼっち・ざ・ろっく!』、そして結束バンドに触れた形にしたいなあと思う自分がいた。

それくらい存在感のある作品だと思ったわけだ。

で、結束バンドの楽曲の中でも自分的には「ギターと孤独と蒼い惑星」が特に強い存在感を放っているように感じた。

こういうテイストのアニメ劇中歌で言えば、『涼宮ハルヒの憂鬱』の「God knows」以来に、ぐっとくるものがあったのだ。

それほどにロックサウンドが”生”でスリリングで、印象的なギターフレーズと躍動感のあるリズム隊のアプローチに惹かれてしまったので、18位にさせてもらった。

17位:松浦亜弥 「Addicted」

13年ぶりの新曲となった松浦亜弥の「Addicted」。

自身のパートナーであり、ソングライターとしても定評があるw-inds.の橘慶太が楽曲提供している。

そして、このタッグが素晴らしいと思う。

儚げながらも煌びやかさもある松浦亜弥の透明感のあるボーカルと、少し切ない装いで進行するメロウな楽曲の組み合わせが絶妙なのだ。

橘慶太の楽曲センスが、今の松浦亜弥の魅力を最大限に輝く形で注げられている感じするというか。

まあ、端的に言うと、松浦亜弥の表現力も素晴らしいし、橘慶太の楽曲センスも素晴らしいという感想に着地しちゃうんだけどね。

あと、自分はこの楽曲になんとなくノスタルジー的なものを喚起させられて、ぐっときてしまう次第。

16位:ねぐせ。 「ベイベイベイビー!」

ねぐせ。は今年いっぱい楽曲をリリースした。

切なくてストレートなラブソングである「日常革命」とか、ねぐせ。らしい音楽愛的メッセージが際立つ「グッドな音楽を」とか。

良い曲がたくさんあるんだけど、個人的に好きなのは 「ベイベイベイビー!」。

なんというか、ねぐせ。って若いバンドで新世代感のあるバンドなんだけど、その一方で妙に懐かしさを感じさせるサウンドと楽曲展開をすることがあって。

「ベイベイベイビー!」はそういう懐かしさと新しさを感じさせてくれる楽曲なのである。

サビでメンバーコーラスする感じとか、パワーコードでゴリゴリに楽曲を進めるシンプルな感じとか、そういうひとつひとつが自分的なツボなのである。

あと、 「ベイベイベイビー!」は2分弱というのが個人的に良くて、無駄なものを削ぎ落として最初から最後までピークで突き進む感じなのも良い。

15位:グソクムズ 「夢にならないように」

現代社会は情報過多で、ついつい情報に忙殺されそうになるし、音楽も”情報”として処理しちゃいそうになるときもあるんだけど、グソクムズの音楽ってそういう忙殺モードになっているときもストップをかけてくれるような魅力がある。

立ち止まって、もっと根本的な部分での音楽的な美しさを堪能させてくれるとか。

ギターがどんな音色で鳴っているかとか、どういう間合いでアンサンブルが作られていくとか、そういう部分で美しさを感じさせてくれて、はっと景色が変わる心地がするのである。

「夢にならないように」は、スローでゆったりと心地よくサウンドを積み重ねるからこその美しさがあって、無二性のある輝きを放ってくれる。

素敵な景色をみせてくれる、そんな一曲。

14位:ズカイ 「酸素」

イントロが始まったときから「あ、なんだか好きそう」となって、サビに至るまで楽曲を聴いてみて、「あ、この好きは間違いなかった」と感じた楽曲。

わりと、はじめてスピッツを聴いたときに近いトキメキを覚えた歌。

サウンドはキラキラしているんだけど、歌がはじまると妙な辛気臭くもあって。

ポップで軽快な気もするけれど、音の分厚さを感じる瞬間も随所にあって。

ズカイの「酸素」は、そういう不思議な魅力をはらんでいる楽曲だと思っている。

あと、なんかネガティブっぽい雰囲気もあるんだけど、全然希望を諦めていない感じもするしで、どこを切っても不思議なねじれを常に感じさせてくれるのが好きだったりする。

13位:The Songbards 「アイオライト」

澄み切り具合がエグいなあと思った歌で、美しいのポイントが多すぎる。

ボーカルもそうだし、サウンドもそうだし、コーラスワークもそうだし、メロディーラインもそうだし、美しいの役満だなあと勝手に思っている。

もともと美しさが際立つバンドだと思っていたけど、「アイオライト」を収録した『Grow Old With Us』を聴いて、その美しさがさらに更新されていることを実感した。

「アイオライト」は特に自分がそんなことを思う歌のひとつで、サビに至るまでの流れも秀逸で。

ギターが奏でるハーモニーも心地良いしで、トータル<エグい>に行き着いてしまっている自分がいる。

最初から最後まで、心地よく酔いしれるように聴ける、そんな歌だ。

12位:NEE 「本日の正体」

近年、ボカロとロックは距離を狭めつつあったと思うけれど、ボカロとロックが融合した先の進化系がNEEの音楽だと勝手に思っている。

それくらい常に生み出す楽曲が刺激的で、楽曲展開の高揚感が素晴らしく、サウンドアプローチも畳み掛け方も半端ない。

「本日の正体」では、Bメロで一瞬スピードを緩めて楽曲の空気を変えるが、すぐにドラムが連打することでスピードをアップさせて、そのままサビに傾れ込む流れが秀逸で。

2番のサビ終わりでも疾走感を落とすことなく、最後のサビに接続していく流れにもアガる。

さらに言えば、同じサビでもラストのサビが一番アガるように、リズムアプローチを変える瞬間があって、そういう細かなアプローチのひとつひとつが自分のツボだったりする次第。

11位:ELLEGARDEN 「瓶に入れた手紙」

正直、ランキングに入っているのは、ELLEGARDENだからこそ、というのはある。

でも、一方で今のELLEGARDENだからこそ、こういうミディアムナンバーがより刺さるというのもある。

「瓶に入れた手紙」って、きっと他のバンドが歌うとまったく表情が変わる楽曲で、ELLEGARDENが歌うからこそ、圧倒的な輝きを放つ楽曲になると思っている。

というか、今作のELLEGARDENのアルバムの楽曲はすべてそうなのかもしれない。

例えば、当時のELLEGARDENの楽曲はロック系のDJイベントでかけるだけで誰でもアガれるようなわかりやすさがあったし、どんな高校生バンドがカバーしても盛り上がれるような<曲だけの強さ>があった。

でも、今のELLEGARDENの歌は、そういうのとはちょっと違う。

ELLEGARDENが血を流すことが重要で、それにより楽曲の表情が大きく変わり、ふつふつとして高揚感と感動を与えてくれる、そんな気がするのだ。

・・・という感じで長い言い回しになってしまったが、要はELLEGARDENの新曲、今のELLEGARDENの魅力が詰まっていて、めっちゃいいなあという、そういう話。

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10位:JO1 「SuperCali」

JO1の楽曲はデビュー曲の「無限大」からコンスタントに聴いてはきたんだけど、自分的に「SuperCali」でひとつフェーズを超えた気がしている。

切れ味が変わった気がしていて、ダンスミュージックの強度が変わったというか。

というのも、自分的にはこういったダンスミュージックはK-POP的すぎるとあんまりノレないというか、だったらK-POPを聴こうと思っちゃうタイプなんだけど、「SuperCali」ってJ-POPとしてのキャッチーさと、K-POPとしてのスタイリッシュさの絶妙な融合を感じる。

細かい楽曲の展開をしていくことで、ひとつの楽曲の中で色んな景色を見せていくのが秀逸だし、それぞれのパートで異なる魅力を感じさせってくれるのも印象的。

でも、唐突に感じる部分はひとつもなく、楽曲全体の流れが美しく響くのも特徴だし。

歌ものとしても良さもあって、ダンスのリズムのキレもあるからこそ、「SuperCali」でJO1の新たな境地を感じた自分。

関連記事:JO1の『MIDNIGHT SUN』を聴いて感じたこと

9位:三浦大知 「燦燦」

実は上半期のベストソングの記事を書いた際は、「燦燦」ではなく、「Le Penseur」の名前を挙げさせてもらった。

理由は、「燦燦」よりも「Le Penseur」の方が自分の好みだったから。

でも、そこから半年ほどの時間が経過して、楽曲を聴き直したとき、三浦大知の2022年のベストソングとして挙げたい楽曲はやっぱり「燦燦」だなあと思う自分がいた。

いくつか理由がある。

この楽曲はTV番組で聴くことも多く、自分も一年を通して何回も聴いた歌だったから。

甘くも優しい三浦大知の歌が際立つ歌で、メロディーの洗練さも相まって、スルメ曲っぽく聴くこともできる親しみやさがあったから。

その上で、三浦大知らしいメッセージ性をしっかり詰め込んだ歌でもあり、歌詞とか歌が持つ物語とか、色んなことをくみとったうえで、やっぱり「燦燦」って名曲だなあと感じる自分がいたから。

思えば、「燦燦」って即断で良し悪しをつけるものというよりも、じっくり聴いていく中でどんどん良さが深まっていく楽曲であることを実感している自分がいた。

なので、一年単位でのベストソングとして考える時の「燦燦」が特別だと感じたし、改めて素晴らしい楽曲だと想い、この楽曲をランキングに入れさせてもらった。

関連記事:三浦大知の「燦燦」の歌と歌詞の話

8位:インナージャーニー 「少女」

インナージャーニーの「少女」を聴くと、重厚な絵本を読んだときのような、そんな不思議な感動を覚えるのである。

サウンドの積み重ね方が秀逸で、ド派手な何かで見せるわけではないんだけど、楽曲が全体を作り出す世界観が秀逸なのだと思う。

ボーカルの温度感も見事で、幻想的な中に力強さを感じさせる展開になっている。

あと、この歌はMVも素晴らしい。

写真家・映像作家の増田彩来が手がけており、モノクロとカラーのコントラストが見事で、楽曲が持つ感情の揺れ動きと映像の展開が美しいまでにシンクロしているのだ。

言葉でも、視覚でも、じっくり味わってほしいと感じてしまう、そんな一曲。

7位:藤井風 「grace」

この歌が自分的により特別になったのは、自分が今年藤井風のワンマンライブを観たから、というのはあるのかもしれない。

この歌は楽曲の中で一人称が変わる歌で、その変化も(たぶん)楽曲のメッセージを考えるうえでキーになっていると思うのだ。

で、そこで浮かび上がるメッセージと、ライブ中で放ったMCの内容にシンクロするものがあって、よりフレーズのひとつひとつが切実に響いて、ぐっときてしまう自分がいるのである。

間違いなく、この数年で急激なスピードで日本を代表するアーティストになった藤井風だからこその鋭敏な眼差しと感性と感情。

そして、そういう繊細な感性だからこそ作り出すことのできる楽曲全体の美しさ。

それらをなんとなくではあるだけど、感じられるからこそ

あたしに会えて良かった
やっと自由になった
涙も輝き始めた

このフレーズにぐっときてしまう自分がいるのである。

関連記事:藤井風の「grace」から感じる人間的魅力

6位:星野源 「喜劇」

星野源の「喜劇」は、なにより歌詞が好きで。

こういう温かくも鋭い眼差しで”生活”を描くことができるのは、数あるアーティストでも星野源だけだと思うのだ。

シーンとして描いているのはわりと素朴なもののはずなのに、他のアーティストではなかなか聞かない単語を、他のアーティストではあまり切り取らない角度からフレーズとして運んでくるのである。

そして、そういうフレーズを星野源らしい血の通わせ方で”歌”にしていくのである。

『SPY×FAMILY』の楽曲はOP、ED問わず、どの歌も素晴らしいものであったけれど、その中でも自分が一番好きだったのは、星野源の「喜劇」だった。

それは星野源にしかできない眼差しで書かれた素敵なフレーズのひとつひとつにあると思うし、そういうテイストの歌のタイトルを「喜劇」にしたところも含めて、好きだなあと思ってしまうのである。

関連記事:星野源の「喜劇」、ふざけすぎな感

5位:Omoinotake 「心音」

映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』の主題歌であるこの歌。

この歌はその映画の書き下ろしということらしく、自分はその映画を観ていない中での感想なので、アレなところもあるんだけど、Omoinotakeって作品の寄り添い方が素晴らしく、そのうえで単に「作品のことを歌った」だけじゃなくて、自分の世界観に接続している感じが好きなのである。

Official髭男dismや星野源なんかもそういうのがうまくて、タイアップ曲がタイアップ曲として独立しているんじゃなくて、ちゃんとそのアーティストの作家性の拡張になっているよなあと思うことが多いんだけど、Omoinotakeもまた、そういうアーティストだなあと改めて感じた次第。

まあ、それはさておき、自分はサビで視界がどーんと開ける感じが好きなのである。

アレンジとして加わっているホーンセクションの色合いも絶妙で、Omoinotakeの音と外部の音の融合も見事だと思う。

言葉とメロディーのはまり方、そのメロディーを輝かせるボーカルの温度感も良い。

そう、ボーカルのトーンとしてはハイトーンなんだけど、変に<高さ>を感じるのではなく、楽曲の応じて必要なトーンでボーカルがメロディーを紡ぐ感じが良くて、それが心地よさになっている。

だからこそ、楽曲全体がよりスルッと自分の中に入ってくるのだ。

関連記事:2020年、大きく存在感を放つOmoinotakeについて

4位:CVLTE 「run.」

CVLTEというバンドをきちんと認知したのが去年の暮れくらいなんだけど、はじめて聴いたときからとにかくかっこいいと思った。

要素としては、エモな部分が強いんだけど、全体としてひとつのジャンルで括ることができないサウンドと楽曲の展開。

「run.」においてもAメロ、Bメロ、サビ全てで違う魅力とかっこよさを放ちつつ、すべて綺麗な糸となって楽曲を繋げていく。

ラップっぽいパートもある中でたどり着くサビと、サビでみせる意外にもストレートに響くフレーズが特に印象的で、神々しい何かすら感じてしまうのである。

札幌を拠点にしているバンドだからかはわからないけれど、自分が知っている他のバンドにはない美しさとかっこよさを感じさせてくれたのが、CVLTEだった。

なので、迷いなく、こういった順位に連ねさせてもらった。

3位:ナードマグネット 「YOUR NEW FAVORITE BAND」

ナードマグネットは昔から好きでよく聴いてたんだけど、新メンバーが加入してからの今が本当にとても好きで。

新しいアルバムも良かったんだけど、特に「YOUR NEW FAVORITE BAND」がめっちゃ良かった。

普段、普通に曲を聴いているときはじっとして聴いていることが多いんだけど、「YOUR NEW FAVORITE BAND」は不思議と拳を突き上げたくなる衝動を感じてしまうほどだった。

それほどのエネルギーとパワーをこの楽曲から、もらったのである。

難しいことはどうだっていいので、感情のままに「うおーっ」ってしたくなる、そんな楽曲だと思っている。

で、ラストはぜひライブでシンガロングしたいやつなのである。

自分的にナードマグネットはFAVORITE BANDのひとつだからこそ、メンバーに変化がありながらも、こうやってどでかいサウンドを痛快に鳴らしながら、気持ちよく歌っているという事実に、シンプルにアガるというのもある。

最大瞬間風速で言えば、個人的に一番だったかもしれない歌である。

関連記事:ナードマグネットの音楽を好きな理由

2位:Official髭男dism 「Subtitle」

ヒゲダンの歌は基本的にどれも好きなんだけど、正直、「Subtitle」は微妙かなと思った。

なんというか、タイアップ色が強いというか、作りたいものを作ったというよりもオーダーを受けてそれに合わせて作った感をなんだか感じてしまった気がしたからだ。

だから、必ずしも最初はそこまでハマった歌ではなかった。

でも、数ヶ月でその評価を大きく変わる。

これはタイアップ先であるドラマ『silent』が素晴らしかったというのもあるんだけど、ドラマを観ている中で、なぜこの楽曲がこういうテイストで、こういうサウンドで、こういうメロディーで、こういう言葉で紡がれたものだったのかが、パズルのように繋がる心地を覚えるのである。

ドラマのラストで「Subtitle」のフレーズが接続する瞬間を指摘するまでもなく、きちんと「Subtitle」の全てが『silent』の中で意味のある形で輝きを放っていったのである。

そして、『silent』のドラマに触れて「Subtitle」の歌詞に触れると、フレーズのひとつひとつがまったく違う意味を帯びて輝きを放つことに気づく。

『silent』のプロデューサーである村瀬健が、ぜひOfficial髭男dismに主題歌を担当してほしいということで、プレゼンする機会を設け、何時間もプレゼンした先でこのタイアップが実現したという話をなにか読んだ気がするが、ドラマを踏まえたうえで「Subtitle」を聴いてしまうと、やっぱり言葉が持つ破壊力がすごいというか、フレーズのひとつひとつの美しさが素晴らしすぎて、藤原聡のソングライティングに改めて脱帽することになるのだった。

・・・というのもあるんだけど、そういうのも置いた上で、やっぱり曲が良い。

ヒゲダンだからこその冬ソングだよな、と思ってしまう。

仮に王道に突き進んだとしても気がついたらある種、変化球になってしまうし、その変化球こそを王道にさせてしまうほどの凄みを持っているOfficial髭男dismだからこそ、「Subtitle」はどこまでも名曲たりえたんだろうなあと改めて感じる。

というわけで、気がついたら、自分的のベストソングとしても2位になっていた次第。

関連記事:Official髭男dismの「Subtitle」に感じる確かな違和感について

1位:米津玄師 「KICKBACK」

米津玄師の歌って、冷静に聴いたら毎回名盤たりえるほどに情報の咀嚼具合と音楽センスが凄まじいのである。

でも、凄いが当たり前になっているというか、ある種のインフレしてしまっている変な現象になっている節もあって、自分も普通に米津玄師が楽曲をリリースすると「あ、いい曲ね・・・」でスルーすることも増えてきてしまっていた。

そんな中、アニメ『チェンソーマン』の主題歌となり、常田大希とタッグを組んだ 「KICKBACK」がリリースされたわけだけど、やっぱり思った、米津玄師は凄いなあ、と。

米津玄師って、塗り替え力が凄いよなーと改めて思ったのだった。

というのも、凄いがインフレしている今、同じ方向で凄いを積み重ねてもあまり凄いとは感じないんだけど、米津玄師は今作で明確に今までとは完全に違う方向に凄いを塗りたくった印象を受けるのだ。

「米津玄師って。こういう感じで凄いよね」を塗り替えて、別の凄いを打ち立てた・・・そんな印象を受けるのだ。(まあ、本人は凄いと思われるために曲を書いていないとは思うが)

モーニング娘。の「そうだ!We’re ALIVE」の歌詞のフレーズも秀逸だし、”ふたつの意味”で転調を行う流れも秀逸だし、ロックかと思えばクラシカルに展開する2番の流れも秀逸だし、米津玄師のセンスと常田大希のセンスの融合も秀逸だし、ボーカルのがなり方も絶妙だし。

一歩間違えたらめちゃくちゃになってもおかしくなさそうなバランス感の中で、明確な美しさを感じさせながら、楽曲をドライブさせていく感じが唯一無二。

その唯一無二に触れたら、凄いに行き着いてしまうよなーと。

あと、単純に自分も『チェンソーマン』が好きで、アニメもなんだかんだ毎週楽しみにしていて、この楽曲のインパクトが強くて、頭に残りまくっていたことも要因として大きい感じ。

という諸々を踏まえて、今年の個人的なベストソングは米津玄師の「KICKBACK」にしました。

関連記事:米津玄師、「KICK BACK」の気合いがエグすぎる件

まとめに替えて

1位:米津玄師 「KICKBACK」
2位:Official髭男dism 「Subtitle」
3位:ナードマグネット 「YOUR NEW FAVORITE BAND」
4位:CVLTE 「run.」
5位:Omoinotake 「心音」
6位:星野源 「喜劇」
7位:藤井 風 「grace」
8位:インナージャーニー 「少女」
9位:三浦大知 「燦燦」
10位:JO1 「SuperCali」
11位:ELLEGARDEN 「瓶に入れた手紙」
12位:NEE 「本日の正体」
13位:The Songbards 「アイオライト」
14位:ズカイ 「酸素」
15位:グソクムズ 「夢にならないように」
16位:ねぐせ。 「ベイベイベイビー!」
17位:松浦亜弥 「Addicted」
18位:結束バンド「ギターと孤独と蒼い惑星」
19位:BiSH 「ZUTTO」
20位:SEKAI NO OWARI「Habit」

ランキングとしては以上です。

当然、ここに入っていなくて好きな曲なんてたくさんあるんだけど、ブログとして好きな音楽を発表している以上、年末くらいは「全部良い」で済ますんじゃなくて、きちんとその中で自分が良いと思った”順番”を付けることが大事だと思っていて、改めて今年よく聴いた音楽を振り返りながら、この20曲を選びました。

あの曲があるとかあの曲がないな〜とか、あの曲は知らなかったので聴いてみようとか、各々好きな形でこの記事を楽しんでもらえたら嬉しい限り。

というわけで、2022年のブログ更新もこれが最後。

今年は 自分的にも色々あった年で。

LIVE SQUARE 2nd LINEとMusic Club JANUSと阿倍野ROCKTOWNでそれぞれライブイベントを開催したり、ドズル氏、餓鬼Иちょ氏と行った対談(?)を音楽ナタリーで掲載していただたり(
https://natalie.mu/music/pp/maximumthehormone03)、アイナ・ジ・エンドや堂本剛といったアーティストのライブレポを書かせてもらったり(アイナ・ジ・エンド:https://realsound.jp/2022/04/post-1001382.html)、(堂本剛:https://realsound.jp/2022/09/post-1121191.html)、ブログの先でも色々させてもらえる機会が多くて刺激的な一年でした。

そんなわけで、来年も細々とブログを更新しつつ、ご縁があれば隙間で他にも何かできればなーと思っているので、うっかり「面白いこと、ここにあります!」という方がもしいましたら、しれっとお声がけしてもらえると嬉しいです!

それでは、良いお年を!

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