「逆夢」を聴いて気づく常田のソングライティングのエグさ

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King Gnuの「逆夢」を聴いている。

電気の消した静かな部屋でじーっとと聴いているんだけど、やっぱりKing Gnuって良いバンドだなあと、そんなアホみたいなことを思っている。

「逆夢」は『劇場版 呪術廻戦 0』のエンディングテーマである。

エンディングテーマということもあって、エンディングテーマに相応しいメロディーとアレンジになっている。

何かを総括しつつも、余韻を残すような仕上がりになっている気がして、その感じにうっとりしてしまうのだ。

そういえば、『劇場版 呪術廻戦 0』は主題歌、エンディングテーマともにKing Gnuが担当している。

先にMVが公開されていた「一途」は、ザ・主題歌という感じの切れ味。

まだ映画は観ていないため、映画の中でKing Gnuの音楽がどのように作用しているのかは、わからない。

んだけど、本編の中で自分たちの音楽がどう作用するのかきっちり頭に入れたうえで楽曲を構築している感がビンビンに伝わってきて、流石常田の構成力・・・!と思わずにいられない切れ味となっている。

そのうえで、アニメ主題歌の域をきっちり脱していて。

どちらもKing Gnuにしか生み出せない音楽になっている。

タイアップの役割を果たし、自分たちの作家性を出し、その上で、それぞれの楽曲の役割を意識して、然るべき完成度に落とし込んでいる。

そこまで踏まえて聴くと、よりKing Gnuの凄さを実感することになる。

King Gnuの「逆夢」の話

サウンド・そしてリズムの話

なんだか冒頭で総括のような話を書いてしまったが、そろそろ楽曲自体に踏み込んで話をしていきたい。

ちなみに「一途」の感想については別記事で書いたので、今回は「逆夢」にスポットを当てながら書いていきたい。

関連記事:King Gnuの「一途」の歌詞とボーカルと番狂わせの件

「逆夢」を聴いたときの最初の個人的な感想が、「あ、こことここの感じは過去のKing Gnuの歌で聴いたことがあるぞ」だった。

このパートは「三文小説」感があるなとか、この感じは「白日」を聴いたときと同じようなものを感じるな・・・といった感じで。

この<既視感>って、微妙なラインで。

場合によっては、過去曲の焼き直し感を強めて作用することもある。

でも、「逆夢」においても、そのエッセンスの彩度が細かいから、<焼き直し>というよりも<素敵コラージュ>感が強まっているのだ。

なんというか、King Gnuのエッセンスを集結させることで、最終的にきっちり新しいKing Gnuの音楽になっている・・・とでも言えばいいだろうか。

思えば、クラシカルな雰囲気と、ロックバンドとしてのソリッド感が、こんなにも綺麗な形で融合しているのって、King Gnuだからこそだよなあと思う。

あるいは、電子的な音の響きと生音的な響きの融合も見事だったりする。

今作では、新井はシンセベースを使用しているが、楽器選びも<然るべき>感が強いからこそ、音楽が生み出す世界観に淀みがなく、美しく体現されている。

いや、ほんと、King Gnuの歌って、こういうところのバランス感が絶妙だよなーと思うわけだ。

どっちかに中途半端に傾倒してしまうと、バラードとしての聞こえ方に既視感(あるいはちぐはぐ感)が生まれると思うんだけど、そこを見事に回避することで、不動な神秘さを確立しているのである。

クラシカルなサウンドが際立っているのに、間奏部分ではゴリゴリにギタープレイをする感じとかも、常田だからこそ感があって、ゾクゾクするしヒリヒリしてしまう。

あと、こういう<静>が際立つ歌ほど、勢喜のリズムメイクが見事だよなーと思ってしまう。

穏やかなテイストの楽曲がどこまでもグルーヴィーに響くのは、勢喜のリズムのハネ方が見事だからこそ。

アレンジの妙で魅せつつも、プレイヤーとしての実力でもしっかり差別化をはかる。

バンドとしてのパフォーマンスレベルが高いKing Gnuだからこその聴き心地であることを実感する。

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ボーカルの話

「一途」は、比較的常田ボーカルが存在感を示す楽曲になっていた。

だから、楽曲全体としては躍動感が際立っていたように思う。

一方「逆夢」では、井口パートが多めの構成となっている。

だからこそ、バラードとしての上質=神秘感みたいなものが際立っているのだ。

King Gnuのバラードが間違いない輝きを放つうえで、井口のボーカルは絶対的だよなーと改めて思う。

King Gnuの楽曲がピアノアレンジひとつで、神秘感を放つのは井口のボーカルの素晴らしいから、に尽きる。

井口のボーカルって、いわゆるハイトーンボーカルなんだけど、<ハイトーン>であることに一切の煩さを感じさせない。

ボーカルの類によっては、少し耳がきーんとなるケースもあるんだけど、井口のボーカルってそういうことがまずない。

すーっと言葉が耳に入ってきて、心地よい聴き心地を与えてくれるのだ。

どれだけKeyが高くなっても<しんどさ>を感じさせないし。

あと、ボーカル単品としての破壊力としても見事なんだけど、変にボーカルが楽曲の中で独立することなく、綺麗にサウンドとの調和していくのも、井口のボーカルだからこそだと思う。(ピアノアレンジが映えるのも、サウンドとの結託力があるからこそ)

うむ・・・。

こうやって楽曲を聴いていくと、「逆夢」もまた、King Gnuにしか生み出すことができないバラードだよなという、そういう結論に行き着いてしまう。

まとめ

この記事、暗い部屋の中でコンコンと書いているんだけど、きっと「逆夢」は映画を観たあとに聴くと、さらに表情が変わるタイプの楽曲なんだろうなーと思う。

ひとつの楽曲で、味が何度も何度も変わるタイプの、そういう楽曲なんだろうなーと思うわけだ。

作品との寄り添い方が絶妙な歌だからこその期待感とも言える。

・・・というところまで考えたとき、やっぱり最終的に思うのは、常田のソングライティングのエグさ。

ミレパでもあれだけの作品を生み出しつつ、King GnuではきっちりKing Gnuでしかできないことをやってのけるなんて・・・。

いやー、ほんと、とんでもない話だよなーと思いながら、「逆夢」を永遠とリピートしている今。

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