King Gnu Live Tour 2021 AWのライブレポ

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King Gnuの<Live Tour 2021 AW>の大阪城ホール公演に参加した。

せっかくライブに参加したので、備忘録的なニュアンスで、そのライブについての感想のようなものを書いていきたい。

なお、公演で披露された楽曲についてもいくつか触れる。

なので、いわゆる<ネタバレ>を嫌う方は、ここでこの記事を読むのをストップしてもらえたら幸いである。

それでは、どうぞ。

本編

紅白に出演した実績があって、<国民的>と標榜をしても差し支えがないようなバンドの場合、ライブの演出が豪華になることが多い。

たまたま近いタイミングでOfficial髭男dismのライブにも参加したんだけど、ヒゲダンの場合はサポートメンバーをきっちり揃え、楽曲ごとにかちっと演出を当てはめ、多彩な音色でライブを盛り上げていく印象だった。

そこと比較すると、King Gnuのライブは比較的シンプルだったというか、バンドそのもので攻めていく感覚があったのだ。

もちろん、ポップな歌もあるし、同期音を積極的に使用する楽曲もある。

・・・んだけど、ベースにあるのは俺たち四人の音だよね、感がライブにあったような気がしたのだ。

実際、バンドアンサンブルよりも全面に出てしまうような演出は基本的に排しているような印象も受けた。

<それ以外のアウトプット>はmillennium paradeで表現するから、といった切り分けがあるのかはわからない。

けれど、あくまでもKing Gnuにバンドであることに対してシンプルなライブをしている印象を受けたのだ。

そして、それがKing Gnuとしてのかっこよさを際立たせることになる。

この日のライブは、「飛行艇」から始まった。

音を鳴らした瞬間に会場の空気を変えていき、広い会場がKing Gnuが生み出す音で包まれていく。

オーディエンスはKing Gnuの楽曲とシンクロするかのように、サビで拳を突き上げる。

広い会場だと、オーディエンスの熱量って往々にしてバラバラなこともある。

そのため、楽曲ごとにオーディエンスのテンションになんとなくバラツキが生まれることがある。

・・・んだけど、King Gnuのライブは、そういうバラツキがなかったような気がした。

初っ端の「飛行艇」で会場はKing Gnuの音に染め上げられていく。

過剰な煽りは必要とせずして、全員が音に身を委ねるような印象を受けたのだった。

かつ、それは以降の曲でも変わりなく続いていく。

どの歌を披露しても、<待望のあの楽曲>になってしまうため、全てがハイライトになってしまうのだ。

何より、井口が時に情熱的に時にしっとりと歌い、新井が躍動したベースを刻み、勢喜がシュープかつ大胆なリズムを打ち、常田が芸術的に楽曲を盛り上げていく。

それそのものが、ハイライトになってしまうのだ。

何を歌うとか、どんなパフォーマンスをするとか、演出がどうとかは簡単に超越していく。

パフォーマンスすることそのものが、圧倒的な高揚感を生み出していくことになる。

本来、「白日」で大ブレイクしたバンドのはずなので、この楽曲がひとつの大きなハイライトになってもいいはずである。

でも、個人的な印象では「白日」はあくまでも今日のセトリの楽曲のひとつ、というくらいの温度感だった。

イントロがない、ということもあるが、どこまでも素朴で、どこまでもいつもどおりな雰囲気で展開されていく印象を受けたのだった。

いかにKing Gnuに名曲が多く、このバンドが凄まじいのかを示しているエピソードであるといえよう。

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ライブレポとして書きづらいバンド

King Gnuのライブって演出的な意味で<ここが見せ場です>みたいなものを作らない。

いや、「Tokyo Rendez-Vous」で常田がメガホンを持ち出したらニヤリとするとか、「Flash!!!」の勢喜のドラム・ソロが絶大にぐっときてしまうとか、各々のライブの見せ場となっているポイントはあると思う。

でも、ライブ全体をみたときの、わかりやすいハイライトって作っていないイメージなのだ。個人的には、そんな風に感じた。

あくまでも淡々と楽曲を披露していく、という印象が強く、ジョットコースター的とかいうよりは観覧車的(という言い方は語弊があるかもしれないが)な印象を受けたのだ。

MCにおいても、必ずしも名言を置いていくバンドではなく(これは公演によって異なるとは思うが)、MCで急にメリハリを変えるということもしない。

実際、自分が参加したライブにおいては、おならとうんこの話しか記憶に残っていない。

もしこれが仕事でライブレポを書かないといけないとしたら、ものすごく苦悩してしまうような内容のMCだった。(ここのMCを引っ張って色々書くのはなかなかに難しいような、そんなMCだったのだ)

そう。

King Gnuのライブレポってあとからライブレポ的な形式で、ここがすごかった!!を伝えるのがすごく難しいバンドだと思うのだ。

演出みたいなわかりやすい部分に見せ場を作るのではなく、MCで名言になりそうな言葉を述べるでもなく、単純に、バンドとしてシンプルに、楽曲のパフォーマンスそのものを見せ場とするバンドだから。

アグレッシブかつ繊細で、音が鳴った瞬間に息を呑んでしまうようなサウンド。

躍動感と繊細さの両輪が折なる唯一無二のアンサンブル。

「The hole」のような聴かせる楽曲から、「Teenager Forever」のような盛り上がり濃度高めの激しい楽曲まで、鮮やかに展開していく。

あくまでも同じスタンスで、圧巻のパフォーマンスとして表現していくのだ。

だから、ライブレポとしては書きづらい。

でも、その書きづらさにこそ、King Gnuのライブの凄さは結集している。

そんなことを思うのである。

まとめ

なぜKing Gnuは人気バンドなのか。

なぜあれほどにライブチケットが当たらないのか。

それは、楽曲が話題だから。

それは、バンドの知名度が高いから。

そうやって返答することは簡単である。

が、それは結果なのであって、本質ではない、

<人気>の本質をみていくと、このバンドのライブバンドとしての凄みに行き着く。

そんなことを思うのである。

ポップとかキャッチーにも真っ向から挑みつつも、このバンドにしかないかっこよさをきっちり提示しているから。

だから、ライブに行きたくて仕方がない人がたくさんいるのだろうと、そんなことを思うのである。

あと・・・。

パーカーをかぶりながらパフォーマンスする常田のカリスマ性が半端なかったことも、最後に追記しておきたい。

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