UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021-2022「Patrick Vegee」のライブレポ

UNISON SQUARE GARDENのTOUR 2021-2022「Patrick Vegee」のオリックス劇場の公演を観に行った。

せっかくライブを観に行ったので、備忘録的なニュアンスで、そのライブについての感想のようなものを書いていきたい。

なお、公演で披露された楽曲についてもいくつか触れる。

なので、いわゆる<ネタバレ>を嫌う方は、ここでこの記事を読むのをストップしてもらえたら幸いである。

それでは、どうぞ。

本編

UNISON SQUARE GARDENのライブの良さ

オリックス劇場というのは、ライブハウスではなくホールである。

そのため、座席がある中でのライブを披露することになる。

コロナ禍でのライブなので、スタンディングのライブでも「過剰に自由な動きはしない」が鉄則となっているし、今回のライブでは立ってライブを観戦しても良い(以前のユニゾンのライブでは着席を義務付ける形式で行うこともあったのだった)ので、形としてはライブハウスのライブと同じでは?と思う人もいるかもしれない。

とはいえ、良いとか悪いとかの話ではなく、ホールとライブハウスでは空気とか音の響きとか景色とか色々と違うのだ。

なので、仮に同じセトリの同じようなパフォーマンス、観方だとしてもライブハウスでのライブと、ホールなどのライブでは体感が大きく変わることも多い。

少なくとも、自分はそう思っている。

・・・という前置きをしたうえでの話になるのだが、UNISON SQUARE GARDENの場合、どこでやろうとその「濃さ」みたいなものが変わらない。

そういうバンドだよなーと思ったりする。

まあ、そもそもUNISON SQUARE GARDENのライブをそこまでしゅっちょう観ているわけではないので、ユニゾンのライブの比較をできるような人間ではないんだけど、色んなバンドのライブを振り返って考えてみたとき、ユニゾンのライブって条件下におけるライブの「濃さ」に変化がほとんどないバンドな気がする、というわけである。

ライブを観ているときの「かっこいい」のポイントと、その「かっこよさ」の濃度と、ライブにおけるハイライトが、どこでライブをやっても変わらない、とでも言えばいいだろうか。

というよりも、会場がどうのこうのというより、ここ数年で言えば、ライブにおける環境の話の方がぴんとくるかもしれない。

それこそ、ユニゾンは着席をしないといけない環境でライブを行うこともあったし、今回のような<制限された中で自由に楽しむ>という形でライブを披露することもあった。

多くのロックバンドにおいて、<その場で楽しむことを強制する>とか<声を出さずにライブを楽しむ>という条件は、ライブを盛り上げるうえで大きな足かせとなってしまい、場合によってはライブの魅力を削ぎ落とすケースもある。

しかし、UNISON SQUARE GARDENの場合、そういうことがほとんどない。

ライブを観るでの条件なんて関係なくて、ライブを披露するうえでの条件なんて関係なくて、あえて言ってしまえば、コロナ前とまったく変わらないかっこよさをライブの中で見せつけている印象を受けるのだ。

これはユニゾンのライブが<一体感>とか<観客とのコミュニケーション>みたいなものと妙に組みいらず、バンドがバンドとしてのかっこよさ、言ってしまえば歌と演奏だけで魅了してしまう技術を研ぎ澄ませてきたからこそであるように思う。

かつ、コロナ禍においては演者がライブにおいて<楽しさ>より<強張り>みたいなものを出すことが増えてきてしまい、どうしても湿っぽい演奏をするバンドが多かった中で、UNISON SQUARE GARDENは(自分が観る限りでは)演奏することの楽しさを全面に出して、音を出す喜びを体感するかのようにライブをしていたような気がして、それがすごく印象的だったのだ。

「Patrick Vegee」公演のライブを観て、そんなことを改めて思ったのだった。

ユニゾンだからこそのアンサンブル

この公演の冒頭、斎藤宏介がMCで拍手の音が<上質な揚げ物を揚げている音に聞こえる>といった発言をしたことで、自分はそのあと拍手が揚げ物の音にしか聞こえなくなってしまった。

・・・という前置きは起きつつ、以降はほぼほぼMCをすることなく、純粋に演奏のみで会場のボルテージを上げていく。

その流れ・パフォーマンスは秀逸そのもの。

「Phantom Joke」「世界はファンシー」という『Patrick Vegee』のアルバムにおいて、随一の高速BPMな流れの中で鈴木貴雄のドラマソロを差し挟むことで、会場の空気を完全に演奏そのものが持っていった。

その流れは圧巻そのものだったし、煽りをせずとも演奏そのもので観客を煽ってみせてしまうユニゾンの真髄を垣間見た瞬間だった。

しかも、ここでポイントなのは、ユニゾンって三人だからこそのアンサンブルが圧倒的な魅力でありながらも、個々の表現力(それは演奏だけにとどまらず、もっと広い射程でのパフォーマンスを含め)がずば抜けているということ

つまるところ、ユニゾンって、一人一人がスポットを浴びることになってもその威力が衰えることはなく、むしろそれがハイライトになる。

鈴木貴雄のドラムソロは言わずもがな。

数曲だけ斎藤宏介だけにスポットを当てて、一人で歌唱する場面もあったけれど、そこの場面もまた、ライブにおける大きな見せ場となっていた。

田淵智也の場合はスポットがどうのこうのというよりも、誰よりも楽しそうなベースを弾き倒し、誰よりも楽しそうにステージを駆け回る姿そのものがユニゾンにおける圧倒的さのひとつに繋がっている。

そう。

個々のパンチ力がとてつもないのだ。

それは下手をすると、個性だけが際立ったちぐはぐなアンサンブルになる可能性だってある。

・・・わけだけど、ユニゾンの場合、面白いぐらいに三人の音がぴたりとハマる。

一聴すると周りがどうのこうのとか関係なく自由自在でお構いなし感があるのに、ひとたび音を鳴らせば、三人の音が綺麗にひとつのアンサンブルを生み出すことになる。

この辺りが、前項でも触れたユニゾンのかっこよさに繋がっていると思うし、コロナ禍においてもライブバンドとして進化し続けているユニゾンの凄まじさを物語っている。

今回のライブを観て、改めてそんなことを感じたのだった。

https://youtu.be/XqGdrvYGAqM

まとめ

今回はアルバムツアーということもあり、セトリの妙を感じるライブでもあった。

・・・んだけど、ツアーが続いている状況であまりセトリに突っ込んでしまうのも微妙かなーと思ったので、その点についてはこの記事では触れないようにしている。

しかし、『Patrick Vegee』というアルバムがいかに良いアルバムかを改めて感じるライブであった。

何より、ユニゾンというバンドのかっこよさを改めて痛感する一日なのでした。

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