前説

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9月14日と15日、大阪城音楽堂でPANとSABOTENによる野外音楽イベント、マスコロことMASTER COLISEUM ’19 が開催された。

僕は初日のマスコロに行ってきたので、ただただその感想をバンドごとに書いてみたいと思う。

※セトリも載せてみましたが、間違っていたらごめんなさい。

本編

打首獄門同好会

この日のトップバッターを飾ったのは打首獄門同好会だった。

トップバッターとは思えないほど集まった観客の数に、このバンドは今やジャニーズと競演するほどの全国区のバンドになったことを実感する。

観客からみて左から、ベース、ドラム、ギターと並んだ布陣。

そして、そのとなりに並べられた、わりと大きめのビジョン。

このバンドならではのセットを見て、観客のボルテージは最初から全開になる。

定刻になるとステージから現れた打首メンバーは、楽器を背負うと、激しいギターリフが印象的な「島国DNA」でライブをスタートさせる。

音だけを聴くと、随分重ためのサウンドを鳴らしている。

なのに、歌詞を聴くと、ただ魚介類を愛でるだけの歌を歌っている。

このギャップが打首の面白さである。

歌詞に耳をすませながら、ステージにあるビジョンをみると、サウンドに似合わないシュールな映像が展開されていて、このバンドの「ユーモア」をより実感することになる。

以降も「きのこの山とたけのこの里、どちらを愛するか」だけの歌を歌ったり、「暑いことをただ嘆く」だけの歌を歌ったり、「働きたくないこと」だけを通告する歌を歌ったりと、実に庶民の生活に寄り添った歌を連発する。

そして、ライブ終盤では主催バンドの一組であるPANに敬意を払うかのように、PANの「こめかみ」をワンフレーズだけ披露。

そして、自分たちの持ち曲にもお米の歌があることを告げると、ファンも最大の盛り上がりを見せる(本当に字面だけでみると、変な話であるが、これが事実なのだからどうしようもない)。

満を持して、最後に披露したのは「日本の米は世界一」。

コーラスの掛け声に合わせて、オーディエンスの多くが右手を突き上げるその景色は、圧巻そのものであった。

セトリ

1.島国DNA
2.きのこたけのこ戦争
3.なつのうた
4.はらきたくない
5.おどるポンポコリン
6.こめかみ
7.日本の米は世界一

THE SKIPPERS

2番手に登場したのはTHE SKIPPERS。

今日の会場は野外ステージである以上、音量制限のあるなかでのライブとなるのだが、そんなこと自分たちのライブに関係ないと言わんばかりに、頭からぶちかます。

良い意味でライブハウスとは変わらぬ自由なステージング。

好きなように音を鳴らし、その音に合わせて好きなように暴れる観客がいる。

ただそれだけのことがどこまでも尊く見える景色の中で「APPOLO」「GOING SKIP」「PRICELESS」と、立て続けにキラーチューンを披露。

途中のMCで、ジャガーは今回のマスコロが初めての出演であることを告げた。

そして、ついに自分がそのマスコロに呼ばれたことに、喜びを爆発させていた。

曰く、SABOTENもPANも仲は良い。

だけど、仲が良いだけではここに呼ばれない。

だからこそ、今回出れたことがすごく嬉しい。

そのような言葉を口にしたジャガーは、嬉しさを噛みしめるように、ほとんど休みことなく、音を鳴らし続けていた。

季節外れの鋭い日差しと相まって、その姿がどこまでも眩しかった。

セトリ

1.APPOLO
2.GOING SKIP
3.PRICELESS
4.WAY OF LIFE
5.THAT TIME
6.DEAR BOY
7.LOOKIN‘BACK

TOTALFAT

13時半という、たぶんこの日一番暑くなっている時間帯に登場したのは、TOTALFAT。

すっかり暖まったステージをさらに熱くさせるかのように、ド頭でかましたのは「夏のトカゲ」。

この歌の段階で、オーディエンスは熱狂に包まれていた。

が、これでは物足りないと言わんばかりに、続けて披露したのは、お祭りソングとしても名高い「PARTY PARTY」。

会場のボルテージは最高潮となる。

しかし、実は現体制のTOTALFATが大阪でライブをやるのは(おそらく)この日が最後。

最後のMCではメンバーが脱退することに触れて、エモい空気に。

僅かな沈黙の後に披露されたのは、「Place To Try」。

Forever 君はひとりじゃない
涙こえて 君と進んでいこう

煽りまくった果てにこういう歌詞を全力で歌うのがTOTAL FATの良さだし、アゲるときもエモくさせるときも全力であるその姿をみて、なんだかぐっときてしまったのだった。

セトリ

1.夏のトカゲ
2.PARTY PARTY
3.晴天
4.World of Glory
5.Place To Try

SHIMA

実は今日のメンツで唯一、初めてライブを観たのがSHIMAだったりする。

だから、勝手に身構えていた。

勝手に、自分には合わないバンドだと思っていたのだ。

が、まったくそんなことなかった。

信じられなくらい、めっちゃライブが楽しいのだ。

そして、これはあくまでも個人的な印象であるが、この日、ステージ上で一番楽しそうにライブをやっていたのが、SHIMAのボーカルであるEGACCHOだったように思うのだ。

軽妙な笑いを取るMC含め、30分があっという間だったステージング。

マスコロ初出演とは思えない(ステージではなく、カラオケブースでは過去にも出演したことがあるそうだが)パフォーマンスは、流石というほかなかった。

セトリ

1.PARISLOTTE
2.TRILOGY
3.すすれ-Re麺ber-
4.STORY
5.USUAL THINGS
6.FUSUMA

SPARK!! SOUND!! SHOW!!

比較的中堅のバンドが多いため、本日の出演バンドの中では「若手」の位置付けとなるスサシ。

中堅バンドとは違ったエネルギーに溢れている彼らは、中堅バンドにはない武器を見せつけるようなライブをする。

ほんと、とにかくやりたい放題なのだ。

ボーカルのタナカユーキは、歌の途中でフェンスの上によじ登ってみたり、ステージから降りてトイレがある建物の屋上に登ってみたりと、自由奔放なパフォーマンスを披露する。

歌い終わったらすぐにマイクをドロップするし、ボーカルだけじゃなくて、他のメンバーも積極的にステージから降りるし、本当に自由奔放なのである。

印象的だったのは、ケーブルありのマイクでステージ移動をするものだから、スタッフの人がとにかく忙しなく、マイクケーブルを処理していたこと。

なんだか大変そうだったし、破天荒だなーという印象が強かったわけだが、不思議とそんなサマがどこまでもサマになっているように見えた。

きっと、バンドの演奏とか、披露する曲の温度が、そんなやりたい放題のパフォーマンスに似合っていたのだと思う。

マスコロは、中堅バンド「だけ」のイベントではないんだなーと、実感するステージだった。

セトリ

1.BRUSH UP
2.OEO
3.GODSPEED
4.無愛愛
5.SCAR
6.感電!
7.南無

GOOD4NOTHING

バンドのキャリアが長くなると、メンバーの入れ替わりや脱退を経験するバンドも増えてくる。

グッフォーもそういうバンドのひとつである。

だけど、グッフォーは特段そんなことには触れることもなく、磨かれた自身の勝負曲を次々に披露していく。

モッシュピットゾーンに集めった血気盛んな観客たちは、爆発的なエネルギーを持った楽曲が披露されるたびに、とにかくダイブ・ダイブ・ダイブを繰り返す。

おそらく普通の商業フェスなら、SNSで荒れそうな光景である。

が、マスコロはそんなこと一切ない。

好きなように音楽を楽しむ観客と、その光景を受け入れる観客しかいないからだ。

おそらく、バンドと同じ価値観を共有している観客が揃っているからだろうし、マスコロ皆勤賞であるグッフォーもまた、主催バンドと同じ価値観を共有しているから、あの景色を作り出せたのかなーなんて思う。

まあ、初めてマスコロに来た俺が、なにわかったクチで語っているんだ、という話であるんだけど。

兎にも角にも、激しく入り乱れるその景色は、不思議とどこまでも優しさに満ち溢れたピースフルな空間だったという話。

セトリ

1.It’s My Paradise
2.RIGHT NOW
3.THIS SONG’S TO MY FRIEND
4.FOUND
5.J.C.
6.Cause You’re Alive
7.One Day I Just

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ハルカミライ

ハルカミライもスサシと同じくらい場外戦が多かった。

ボーカルの橋本が、とにかく客席に突っこんでいくのだ。

大阪城音楽堂はステージ前方がモッシュピットゾーンで、後ろは座席ありのステージとなるため、会場全体でみると、前と後ろで温度差が生まれやすいんだけど、不思議とハルカミライのステージは後方まで同じ温度でライブを観ている人が多い気がした。

なぜなら、橋本は、会場そのものを虜にしてしまう魅力を持っているから。

着ぐるみを着た人であれ、ちっちゃな子どもであれ、ピースフルなアドリブでお客さんと絡んでいく、そこがかっこいいのだ。

単に煽るのとはまた違うし、単に破天荒というわけでもない。

全てを包み込んで掌握してしまうような、不思議な魅力を持っているのだ。

少なくとも、僕はそう感じた。

きっと、これから先のロックシーンを担う存在になることを予感させられるステージだった。

セトリ

1.君にしか
2.カントリーロード
3.ファイト!!
4.春のテーマ
5.世界を終わらせて
6.Toght to be a Hugh
7.アストロビスタ

OVER ARM THROW

冒頭のMCでは、閉塞した日本の状況を憂い、そこに対して怒りもにじませた今の胸中を語ったOAT。

でも、単に暗いままで終わらないのがOATの凄さである。

MCを終えて、ライブを始めると、そこからはただただエモーショナルに爆音をかましていく。

ダイバーの数はこの日、一番だったのではないかと思うほど、曲を披露するたびにオーディエンスは湧き上がる。

ライブハウスで活躍する中堅バンドがフェストータルでのハイライトになるのは、マスコロならではだなーと思うし、ライブハウスにいるときと同じようなノリで、野外フェスでも楽しむ観客が数多く見られるのもマスコロならではなんだろなーと感じる。

普通の商業フェスではなかなか見られない、暴れる人も大人見でいる人も笑顔でいるその景色。

14年を続けたバンド主催だからこその歴史だなーと思う。

個人的に「Thanks」がめっちゃ好きで、それを聴けたのがすごく嬉しかった。

セトリ

1.Dear my songs
2.Honey Baby Surfer-Girl
3.ZINNIA
4.Stardust
5.Spiral
6.Thanks
7.All right all wrong

SABOTEN

主催バンドの一組であるSABOTENが登場する頃には、すっかり陽が落ちて暗くなってきた。

夜の野外ステージを、照明が良い感じに照らす。

いきなりの「サークルコースター」で始まったこの日のライブは、最初から最高潮のテンションに。

その場にいるほぼ全員が、頭上高くでタオルを振り回すその姿は圧巻だった。

序盤はキラーチューンで盛り上がりをみせるなか、中盤のMCでは「俺らの音があんたを救うかもしれない、孤独になくしに来た、照らしてやる」と語ってからの「シナリオ」。

幻想的な夜の景色とも相まって、なんだか感傷的な気分になる。

しかし、一番のハイライトだったのは、最後の「エピローグ」を披露しようとしたときのことである。

なんと、キヨシのギターが突然鳴らなくなってしまったのだ。

突然のトラブルだったが、うろたえることなくマイクだけを持って、ステージの前に立って歌い続けるキヨシ。

ベースとドラムだけのバンドサウンドで迫力だけでいえば、いつもよりも「しょぼい」はずなのに、まったくそう感じさせないのは、気持ちが音に載っかっていたからではないかと勝手に思っている。

そうなのだ。

この日のSABOTENのライブはトラブルすら味方につけているような迫力があったのだった。

セトリ

1.サークルコースター
2.ハイロック
3.カフェオレ
4.ストーム
5.24/7
6.シナリオ
7.YELLOW RIOT
8.エピローグ

PAN

PANのライブは最初から最後までスキがないというか、MCも含めて見どころ満載すぎるから、「え、もう終わるの?」という、余韻にすらならない余韻を与えられることが多い。

この日のPANのライブも、まさしくそういうライブだった。

笑いと感動、両方を体感できるPANのライブには凄さしかないし、笑う人もいれば、ダイブする奴もいるしで、全員が自由に音楽を楽しんでいる光景が広がっている。

個人的には、散々盛り上げたあとの最後の最後に披露された「想像だけで素晴らしいんだ」が、ぐっと来た。

PANの20周年の想いが詰まったこの歌を、最後に披露する。

熱狂続きだったこのイベントが、最後にはぐっと引き締まったものに変わる。

本当に名曲だなーと実感したのだった。

セトリ

1.ジャパニーズソウル
2.フリーダム
3.今日だけ祭り
4.天国ミュージック
5.我ニBET
6.今夜はバーベキュー
7.想像だけで素晴らしいんだ

アンコールのセトリ

インタレスター
夏の虫インザファイヤー
(PANとSABOTEN)

最後はステージにたくさんのバンドマンが出てきて大円団でした!わっしょい!!

まとめ

というわけで、一通りマスコロのライブレポなるものを書いてみたんだけれど、ライブって言葉にするのが難しいなーとつくづく思う。

そのときの熱狂とか空気とかって間違いなくあるんだけど、一緒に同じ空気を吸っている者同士だからこそ共有できるものがあるわけで、その場にいた人たちだからこそ伝わる興奮と感動があるわけで、なんというか文字にしちゃうと途端にチープになっちゃうんだよなあ〜。

その見えないものを形にできればなーと思いながら書いたんだけど、それがなかなかに難しい。

ただひとつ言えるのは、間違いなくマスコロは全体的に、多幸感に包まれていたということ。

自分の話で言っても、こういう野外フェスって頭からフルで見ると、終わったときにぐったりしていることが多いのだ。

けれど、不思議とマスコロ終わりは、そんなことがまったくなくて。

炎天下の元、常に日差しを浴びて、肌がどんどんダメージを受けていたはずなのに、なんでこんなに元気なんだろうかと回想したんだけど、導かれる答えってシンプルなものだった。

きっと最初から最後までかっこいいバンドが、ただただかっこいいライブをしていたから。

その光景に夢中になっていたから、きっとこんなに清々しい気持ちで終えたんだろうなと思うのだ(まあ、モッシュピットに近寄らなかったということも大きいだろうが)

はっきり言えば、すごく楽しかったのだ。

マジで、一日しか行かなかったことを後悔するような、そんなイベントだった。

やっぱりライブハウスで研鑽するバンドってかっこいいなあ。

そんな当たり前のことを改めて実感する、そんな一日なのでした。

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