MONSTER baSHに行ってきた

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MONSTER baSHことモンバスに行ってきた。

自分の話でいえば、前回にモンバスに行ったのが2012年で、7年ぶりに行ってきた。

前にいったときのモンバスはまだツーステージ制+1を採用していたときで、モンバスの景色も(たぶん)変わったような気がした。

それにしても、まさか自分がこんな年齢になるまでフェスに行っているとは思っていなかった。

毎年のように夏フェスシーズンが終わると「こんなにフェスに行くのも今年最後かな・・・」とかうそぶくくせに、気がついたら次の年はそれ以上の数、フェスに参加している。

年々、フェスの空気は変わるし、少しずつ世代交代をしていくし、自分が中学生とか高校生くらいときに大好きだったバンドは少しずつフェスでの存在感を小さくしていきがちで、

実際、今年僕が参戦(この言い方をすると戦うわけじゃないだろうとツッコむ人も多いが、特に意味なくこの言葉を使ってみる)したモンバスの一日目で、当時もモンバスに出演していたのはPOLYSICSだけだった。

出演していたバンドの多くが、2012年のあの当時は、まだCDリリースもしていなかった。

ラインナップをみてふと思ったのは、自分がこんな年になってもずっとフェスに行き続けているのは、次々に出てくる若いバンドがちゃんと「良い」って思えるバンドばかりだったからだろうと思う。(まあ、自分が流行り物好きのミーハーだからということもあるんだけど)

不思議なことに、年々フェスで観たいバンドが増えてしまうので、こういうタイムテーブルかぶりの複数フェスに行くと毎年困ってしまう。

が、それは贅沢な悩みだなーと思うし、自分がこんな気持ちでいる間は、野外フェスとかしんどいしもう行かんわ〜とか言いながら、来年も同じくらいの数フェスに行くんだろうなーなんて思う。

ベストアクトは誰か?

さて、モンバスであるが、めちゃくちゃに楽しかった。

Twitterには簡易なレポを書いたけれど、端的に言ってしまえば、どのバンドも自分の思うかっこいいを音にしていて、どのバンドも見応え抜群であった。

そんな中、この日、じゃあベストアクトを上げるなら誰だろうな~と考えていた。

最新曲を披露しているだけなのに、それが=「聴きたい曲が全部聞けた」になってしまうKing Gnuは圧巻のステージだったし、誰よりもたくさんのお客さんを集客していたWANIMAのライブも流石の一言だった。

でも、やっぱり僕はバンドの名前を挙げたい。

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My Hais is Badがかっこよかった

この日の最後、メインステージのトリとして登場したMy Hair is Bad(以下、マイヘア)のライブをベストアクトに挙げたいなーと思った。

僕がモンバスに行かなかった7年の間でもフェスのモードは大きく変わって、「求められる音楽」の性質も大きく変わってきたように思う。

特にロッキンはロックフェスというよりもレジャー的なそれになってきたし、サマソニはもはや多国籍他ジャンル音楽フェスティバルになった。

そして、ほとんどのバンドはなんとなくフェス好きの人たちが求めがちな音楽やパフォーマンスのあり方とにらめっこしながら、自分たちのやりたい音楽とどうバランスを取るのかに腐心をしてきたように思うのだ。

バランスという表現は微妙なところだけど、簡単にいえば「自分の表現したいこと」と「相手に喜んでほしいこと」をどう着地させるのかに悩んできたように思うのだ。

基本的に「相手に喜んでほしいこと」の非常が高い音楽ほど、ポップという枠組みにカテゴライズをされやくなる。

たくさんの人が良いと思うポイントにはパターンがあって、どうしてもそこを抑えるとポップ・ミュージックのそれに近づいてしまうからだ。

そして、ある種そこと対立するように「ロック」という概念があるように感じるのだ。(もちろん「ロック」とは何かに関しては安易にカテゴリーできるものではないんだけどね)

そう考えたとき、マイヘアのライブは「相手を喜ばせること」よりも「表現したいこと」が先にあって、その表現することに対して妥協がないパフォーマンスをするように思うのだ。

特に、この日のモンバスのライブは、表現することに対する集中力が、他のバンドのそれとは大きく違っていたように思うのだ。

しかも、マイヘアにおける表現とは、照明とかビジョンというバンド以外のものを使ってやる類の表現ではなく、椎木というボーカルがいて、スリーピースというシンプルなバンドがいて、それだけで行う、最小にして高濃度の表現なのである。

だからこそ、その表現に殺気迫るものを感じる。

2万以上のお客さんを集客するフェスとしては類がないほどシンプルな装いのステージだし、(ステージの使い方だけで言えば、昼間に出た氣志團の方がよっぽどか豪華な装いをしていた)ライブの流れやセトリも「マイヘアのライブ」としては特殊なものは特になかったように思う。

けれど、どこまでシンプルで特別なことをしていないからこそ、そのライブを真剣に見ている人ほど、そのパフォーマンスはどこまでも胸に突き刺さるようなものだったのではないかと思う。

使い古された言葉で言えば、終始エモーショナルだったパフォーマンス。

あふれるように言葉を繰り出す椎木の語りから始まる、いつもと同じでいつもとは違う「from now on」。

椎木は語る。

流行りは流行りでブームはブーム。俺らは俺らで戦う。バンドをやってきた10年間の財産、全部見せて帰るんだと力強く語った。

正直いえば、今日出たバンドのなかで一番質素な演奏だったし、荒削りが目立つライブだったように思うのだ。
仮にあれを音源として収録して、音だけをくりぬいて聞かせたとしたら、その感動は大きく変動するような、そんな感じ。

ライブって聴覚だけで感じるものじゃない。

五感で感じるものがあって、演奏の良し悪しを超越する熱気があって、色んなものが加味されることでライブの迫力と熱気は大きく変わる。

ライブの初っ端から涙目だったこの日の椎木は、きっと言葉にできないくらいの感情が胸にあって、その感情を伝えるのは言葉しかなくて、でも、きっと言葉では半分もその感情を形にできていなくて、だからこそもがくように苦しむように言葉を吐き出していて、でも言葉じゃ足りないことが伝わるからこそ、その言葉だけ十分熱量が伝わってきて、そういうのもトータルにしてマイヘアのメンバー全員が音を鳴らしたときの迫力はとんでもないものであった。

この日、出演バンドの中でも下から数えた方が早いほど、おそらくは早い若いバンドのライブにおける説得力は、どのバンドよりも確固たるものであった。

だからこそ、本編最後に披露された、悩みながらも必死に今を生き抜く「告白」にはぐっときたし、アンコールでは、終始張り詰めた空気の中でパフォーマンスをしていた本編とは一変して、笑顔を見せながら「いつか結婚しても」を披露した瞬間にもぐっときた。

張り詰めた緊張とは対象的な、多幸感にも満ち溢れ、お客さんの多くがサビのリズムに合わせながら手を振る景色は、どこまでも美しくて綺麗で、自分なんてもう若者じゃないくせに、なんだか誇らしい気分になったりしたのだった。

自分よりも年下で、こんなにもかっこいいパフォーマンスをするバンドが現れる間は、導かれるようにまたフェスにも、ライブハウスにも行っちゃうんだろうなあと思った。

トリっぽくないシンプルなステージでパフォーマンスをしたその日のマイヘアは、トリとして文句のつけようがないくらい、感動的なライブをしたのだった。

きっとあのライブを真剣に見ていた人はそう思うんじゃないかって思う。

関連記事:僕がMy Hair is Badとその周りについて思うこと
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