前説
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フジファブリックの大阪城ホールのライブに行ってきた。
この公演は普段から仲良くさせてもっている音楽ブロガーの方も行っていて、たぶんちゃんとしたライブレポはその方々が書いてくださると思う。
なので、ちゃんとしたライブレポはその人たちにお任せして、自分は好きなようにライブの感想を書きたいと思う。
本編
「若者のすべて」から始まるライブ
この手のメモリアルなライブって、どの曲から始まるのかわからないところがドキドキする。
1年半前から開催することを宣言していたライブだし、きっとどういうふうにしたら盛り上がるのか色んなシュミレーションをしてきたライブだと思うのだ。
だから、セトリだって色んなパターンを考えたと思うのだ。
一体、何から始まるんだろう。
ずっとそれを考えていた。
最新曲をいきなり披露するかもしれないし、定番のアゲアゲソングでくるかもしれない。
あるいはここ数年、ライブで披露してこなかったとっておきの歌を披露するかもしれない。
自分の頭の中でも、色んなパターンが駆け巡る。
なんにせよ、ドキドキしていた。
ライブ開始のアナウンスがされて、ビジョンに映像が流さる。
映像が終わってから、ゆっくりとステージに登場するメンバーたち。
サポートのギターがいないから、ギター一本で演奏できる曲ということか・・・などと色々考えていたら、メンバーが楽器を背負、演奏をはじめる。すると、聞き慣れたイントロが。
まさかの初手、「若者のすべて」。
僕は別にフジファブリックのセトリを細かく熟知しているわけではないが、この大舞台で、この名曲をド頭に持ってきたことに心底驚いた。
この段階で、今回のライブはきっとやばいライブになるんだろうなあと期待を膨らませていた。
カバー曲をするセンス
ライブの中盤では、メンバー三人だけでアコースティックで曲を披露する時間があった。
ワンマンライブならではのシチュエーション。
この日限りでしか聴けないアレンジもあるだろうか、このタイミングで何の曲を披露するのかドキドキワクワクしていた。
最初の披露したのは「ブルー」。
アコースティックのアレンジが似合う楽曲で、山内総一郎のボーカルの美しさを堪能できた。
そのあとに、わりとがっつり長めのMCをしたあと、山内は大阪にゆかりのあるカバー曲をやると宣言。
一体、何の楽曲を行うんだろうと考える。
ユニコーンにルーツがあるフジファブリック。
そこからのカバーだろうか?
あるいは、イエモンが大好きである山内総一朗。
そこからのカバーだろうか?
あるいは、大阪城ホールでライブを観た話もしていたし、そこに関係する曲なのだろうか、と色々頭を悩ませていたら聞き慣れたイントロが。
大阪生まれ・大阪育ちの僕は思った。
この歌、知っているぞ!!!!!!
探偵ナイトスクープでもおなじみの、円広志の「ハートスランプ二人ぼっち」。
まさかの選曲。まさかのチョイス。
あの名曲がしっかりフジ色に染まっていて、上質な名曲になっている。
貴重なアコースティックセットの一枠を、あえてこの曲に使ってみるそのセンス。
今回のライブは、フジファブリック史上伝説に残るやばいライブになることを改めて確信するのだった。
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長い長い温かい拍手
今年はまあまあ色んなバンドのライブに行っているんだけど、今回のフジのライブでは他のバンドとは違うものを感じた。
それは、ひとつひとつの拍手の長さ。
ひとつひとつの拍手が、とても長いように感じたのだ。
単に長いというわけではない。
少しでも「ありがとう」という感情をメンバーに伝えたくて、結果的に拍手が長くなってしまうような、そんな気持ちのこもった拍手だったのだ。
要は、ファンのフジファブリックに対する感謝が尋常ではないくらい良く見えていたというべきか。
拍手ひとつでファンの気持ちがここまで伝わるライブも珍しいと思った。
ファンはバンドを映す鏡なんてよく言うけれど、フジファブリックのファンの多くはすごく温かいんだなーと改めて感じた。
そして、それはフジファブリックが優しくて温かいバンドだからこそなんだよーと思った。
マイペースなMCも、メンバーの仲の良さが伝わってきて微笑ましいものばかりだし、ゆる〜いMCをしたな〜と思ったら急にかっこよくて頼りになる言葉をMCの終わりに持ってくる山内総一郎のギャップも冴え渡っていた。
特にアンコールで発せられた「フジファブリックは解散しないバンド」という山内の言葉。
この言葉がとても頼もしかったし、この言葉にここまで信頼できるのは、フジファブリックだからこそだと強く思った。
ライブの途中、メンバー紹介では志村の名前を叫び、ビジョンに志村の映像が出たときは心の中が号泣していたけれど、こういう感動を体感させてくれるのはフジファブリックが「解散しないバンド」だからなんだよなーと改めて思った。
最新のフジファブリックがかっこいい
今回のライブは、もっと過去曲の惜しみなく披露する、センチメンタル性の強いライブになるのかなーと開始前は思っていた。
でも、全然違った。
むしろ、自分の中で感じたのは、フジファブリックというバンドの進化した姿だった。
今のフジのカッコよさが惜しみなく出てくるライブだったのだ。
今回は、サポートにギターをいれていない形態だった。
つまり、基本的に山内は一人でギターの音を作り、ボーカルも披露するわけである。
山内は基本飄々としているから、簡単そうに色々やっているように見えるけれど、複雑なギターリフを弾いたり、ハイポジションを多様する速弾きのギターソロを間奏で行うなど、ギター単独だけでみても、かなりトリッキーな演奏をしている。
しかも、歌いながら。
それがとてつもなく凄いし、おまけに演奏中にステージを動くパフォーマンスをしたりする。
歌も歌うし、演奏もするし、ファンサービスもするし、全て完璧なキレで決める。
しかも、それをクールで簡単そうにやってのけるからすごい。
MCにスキがあるように見えがちだけど、スキがあるのがMCしかないというのがおかしな話なのだ、ってくらいのすごいことを飄々とやりのける。
改めて生でライブを観て、そのことを実感した。
また、ギター一本で物足りなさを感じなにのは、金澤ダイスケと加藤慎一の音の当て方が完璧だからだ。
低音と高音をどういうバランスで配置するのか、音源とは違いライブではどういうアレンジをするのかを綿密に考えているからこそ、ライブでより迫力が生まれている。
要は、バンドとしての完成度が高いからこそ、できる芸当がそこにあったわけだ。
フジファブリックのバンドとしての凄さを改めて感じたわけである。
楽曲でいっても、今回は「Feverman」「東京」「手紙」など、山内曲がライブのハイライトしてあったように感じたし、山内のソングライティングのセンスの凄さを感じる場面も多かった。
というよりも、志村曲とか山内曲という分け方がくだらなくなるくらい、フジファブリックの最新曲がよかったのだ。
あと山内がすごいなーと思ったところをもうひとつ。
今回、ライブは3時間以上の長丁場だった。
つまり、山内はMCも含めて3時間以上喉を使い続けていたはずなのに、アンコールでもめっちゃ声が伸びやかだったのだ。
「疲労」を一切感じさせていなかった。
まだまだ声が出せる雰囲気だった。
ボーカリストとしての体力のすごさをそこに見た。
アラフォーになってからのフジファブリックの進化が、マジですごかったことを改めてここに記しておきたいのである。
まとめ
フジファブリックはノスタルジーの対象ではない。
今なお進化している、めっちゃかっこいいバンドなのである。
そのことを実感したライブだった。
年々、良い意味で「志村」の名前を屈託なく出せるようになっているのも、フジファブリックが過去に頼らず、今なお進化し続けており、名曲もどんどん生み出しているバンドだからなのだと思う。
この日披露された新曲「プレゼント」も、ライブの最後に披露された「破顔」も、美しいメロディーが印象的な楽曲だった。
きっとより素晴らしい楽曲に化けていくんだろうなーと感じた。
やっぱりかっこいいバンドって、いつまでもかっこよさが進化するんだな。
改めて、そう感じた。
フジファブリックが大好きで本当に良かった。
そんな素敵なライブだったのである。
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