前説
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最近、ケツの穴がゆるくなってきた。
こんな書き出しをすると、肛門が拡張されてしまったのではないかと心配する読者諸兄もいるかもしれないが、幸いながらまだ自分の穴まわりのA.T.フィールドは盤石である。
いやでもね、間違いなく学生の頃よりも穴がゆるくなったよなーと思う場面はいくつもあるわけだ。
昔ならケツの穴にいくばくのガスが発生しようとも押し止めることができたのだ。
しかし。
最近は油断をすると、ケツの穴から勝手にガスが出ていってしまう。
ぷしゅーーーぅ………
絶妙な形で空気を震わせて、においの付いた空気はかわいた風にからまっていく。
悲しいことに、ふさがないでもその音は聴こえてしまうのだ。
いや、ほんと、お尻の穴が少しイカレタだけなら良いんだけど、この状態がデフォルトになってしまう。
歳を取るとは、こういうことなのかと絶望してしまうのだ。
自分はお尻の穴をコントロールすることができなくなってしまった側の人間になったことを痛感するのである。
本編
なんでお前はド頭から穴の話ばかりしているのだとお思いの方もいるかもしれないが、それは久しぶりにこの歌を聴いたからである。
「The hole」というタイトルのこの歌。
まさに「穴」のことを歌った歌である。
思えば、「穴」って実に微妙なワードである。
この単語ひとつだと、想像する人によって様々な意味に捉えることができるからだ。
自分のようにケツの穴を連想する人もいれば、もっとワイルドな想像をする人もきっといることだろう。
その人がどんな経験をしており、日頃はどんなことを考えているのかを見通すうえでも「穴」というワードは便利だなーと思う。
ただ、King Gnuが歌う「穴」はケツの穴とか言っているのが恥ずかしくなるくらいに繊細な温度の歌である。
千鳥のノブがKing Gnuのことを「繊細すぎる歌い出し」と評したけれど、「The hole」はそんなKing Gnuの繊細さが全面に出たような一曲である。
歌声もそうだし、サウンドもそうだし、歌詞もそうだし。
「Sympa」のアルバムが圧倒的な名盤だったのは、こういう心の痛いところにぐっと差し込んでくるような曲がいくつかあったからなんだろうなーと思う。
また、King Gnuのツインボーカル制を採用しているけれど、この歌は井口の声一本で言葉を紡いでいく。
だからこそ、より人のもろさと、そのもろさをかばう強さがより色濃く描かれるんだろうなーと思うのだ。
とうか、King Gnuってわりとドライな感じがするし、そんなに自分の弱さを魅せるような感じのバンドには見えなさそうだし、常田もあまり表向きなところではそういう言葉を言わないけれど、歌ではこういう内面の言葉をどっぷりと貼り付ける一面があって、それがよりぐっとくるポイントにしているんだよなーと思う。
自分のケツからおならを出すかのごとく、目から不思議と液体がこぼれていく。
そんな気持ちにさせられる。
ふと思い知ってしまうのだ。
自分がゆるくなったのは、ケツの穴だけじゃないのかもしれないな、と。
まとめ
・・・でも。
こういう繊細で涙腺にくる歌をMステで歌うにも関わらず、メンバーの一人はハッカーのような格好で登場する一面もあるのがKing Gnuの凄さ。
そう。
このバンドは、ユーモアもバチクソにあるわけだ。
ひとつくらいのギャップならどのバンドにだってあると思う。
でも、このバンドはひとつのギャップでは語れないほどに多面体な存在でもあるのだ。
それが末恐ろしい。
そんなこともまた、感じてしまうのである。
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