back numberが2016年5月25日に発売する新曲「僕の名前を」の歌詞についてみていきたい。
女々しい歌詞を書かされたら右に出る者はおらず、「草食男子のあるあるネタ」で共感を呼び続ける清水依与吏の歌詞を改めて深読みしてみたいと思う。
考察
バクナンの歌は絶対に「僕」と「君」が出てくる。
そして、大体において僕は君に恋していて、その想いをなかなか伝えられないでいることが多い。
この設定でまず、草食男子と草食男子を好きな女性の心を掴んじゃうわけである。
もちろん、一人称は絶対に「僕」。「俺」を使うなんて言語道断なわけである。
じゃないと設定が破綻してしまうからだ。
さて、あんまり意地悪な書き方をするとよくないので歌詞をみていくと、清水の歌詞は徹底的に「僕」の心情を書き殴っていることがわかる。
僕はこんなことを思っていて、君のことをこれくらい好きで、だから僕は君とこれからも付き合いたいんだ!みたいなことを淡々と説明してくれるわけだ。
歌詞は誰にでも共感してもらうために、ここまでするかというくらいに説明してくれるので、「歌詞の意味」についてわざわざ改めて言葉を述べる必要はないだろう。
ここでひとつのポイントなのは、結局、君は僕のことをどう想っているのかまったくわからないというところである。
バクナンの歌詞って僕の想いが強すぎるゆえ、(そして女々しいゆえ)、君の人となりがあんまり見えてこないことが多い。
なんとなく可愛らしくて優しい女性なんだろうな、と思うことはあっても、それは僕フィルターを通して得た情報なわけで、君にはとっても「そんなつもりじゃない」ことも良いように解釈してしまっていることが多いと思うのだ。
今回の歌詞で言えば、「いらない思い出だらけの僕の頭を君は笑って抱きしめてくれた」というフレーズ。
これって僕の過去のダメな部分の自分も君は受け入れてくれた、みたいなニュアンスだと思うのだが、本当に笑って抱きしめたのかは怪しいところである。
内心ではバカにしてるけど、僕は良い金ヅルになるからとりあえず、抱きしめておこう。こいつ経験浅そうだからちょろそうだし、みたいなことを考えている可能性だってあるわけだ。
だいたい、恋愛の歌をいっぱい歌うということは、それだけ色んな恋愛しているということであり、色んな恋愛をしているということは、その分、失敗したり騙されたりしてきたということなのである。(要は相手を見る目がないというわけだ)
なのに、またしても何の根拠もなく、君の全てを肯定する姿勢は如何なものかと思うわけだ。
いや、そんなことを書きたいのではなく、本当のところ、君は腹のなかでどう想っているのか、そして僕は「もう終わらせない」と宣うのにそれでも終わってしまう恋はどういう理由で終わりを迎えてしまうのか、という点に着眼しながらこの歌詞を読んでいけば、わりと学ぶところは多いと思うのである。
今回の歌詞でいえば、最初、僕は君に距離をあけていたが、君にいっぱいアプローチされているうちに好きになっちゃった。今、僕は君にメロメロだよ、という歌になるわけだが、なぜ君は僕にアプローチしたのだろうか。
そして、的確に君は僕のツボを押していくことで僕をメロメロにさせてしまっている。
「これからずっと僕の全ては君のものだ」なんて言ってるから、欲しいものなんてたぶんバンバンこの女に買っちゃうんだろうか。
僕よ、やめておけ、絶対にそいつは悪女だ!
そんなにもツボを刺激するのが上手い女が、清らかな女性であるわけなんてないぞ!(ただの偏見です)
というわけで、僕の気持ちしか描いていないからバクナンの歌詞はチープに見えてしまうのかもしれないが、歌詞の節々から読み取れる物語はたくさんあるわけだ。
で、清水の歌詞がこういう読み方ができるのは「風景」や「君」の描写をしっかりしているからである、という点は注目しておく必要がある。
歌いたいビジョン、描きたい景色が清水の中でバッチと決まっているからこそなせる技であり、簡単そうに見えて実は難しいものであることはここで名言しておこう。
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