高嶺の花よ!
「あなたは高嶺の花。どこかで綺麗に咲いててくれるだけで、生きててくれるだけでいいんです」
究極の愛を感じる、このセリフ。結婚式の途中で女性に逃げられ、その女性が指輪を返却しにきた際に放った男性の言葉だ。相手のことを本当に愛しているからこそ、女性の幸せを第一に考え、見返りを求めない、無償の愛を捧げられたのだと思う。
突然だが、2018年に放送された日本テレビ系7月期水曜ドラマ「高嶺の花」を知っているだろうか。
華道の名家の令嬢で、その美貌と才能から“高嶺の花”と呼ばれている主人公・月島もも(石原さとみ)が、自転車屋を営み、心やさしい“ぷーさん”こと風間直人(峯田和伸)と運命的に出逢い、立場の異なる2人が身分を越えて徐々に恋に落ちていく様子を描いた恋愛エンターテインメント作品だ。
ドラマを観ていた人はピンときた人もいるかもしれないが、同セリフはドラマ「高嶺の花」でぷーさんがももに伝えたものとなっている。
甘く切ない、エルヴィス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」が流れていたのもまだ記憶に新しいだろう。
高嶺の花
back numberの「高嶺の花子さん」もまた、恋愛がテーマの作品だ。
同楽曲では、“高嶺の花子さん”に恋している主人公の“僕”が、相手の気持ちや理想の恋人像、手に入れる方法などについて、あれこれ妄想を繰り広げるストーリーが描かれている。
しかし、「高嶺の花子さん」での“僕”は何も行動できていない。“会いたいんだ 今すぐその角から 飛び出してきてくれないか”という熱い想いはあるものの、“偶然と夏の魔法とやらの力で 僕のものに”というフレーズからは、“高嶺の花子さん”へのアプローチの方法が分からず、他人に何らかの手助けをしてほしいのかな、と考えた。
さらには、“僕のものに なるわけないか”となんとなくあきらめモードに入ってしまっている。“僕”にはまだ可能性はあるはずなのに、これではまずい。
そこで今回、“君を惚れさせる黒魔術”や“夏の魔法とやらの力”、“アブラカタブラな力”などに頼りたい“僕”に、ドラマ「高嶺の花」から分かる大人なぷーさんの考え方を教えてあげたいと思う。ぷーさんも“僕”もそれぞれ“高嶺の花”に恋心を抱いているため、“僕”が完全にあきらめてしまう前に手を打ってみよう。
“僕”を救ってあげたい
「俺はゲインロスで劇的な印象を与えて、彼女の心に種をまいてしまったんだ」
ぷーさんは“ゲインロス効果”という心理学テクニックを使い、ももを自分の虜にさせることに成功した。これはそのときのぷーさんの言葉だ。
ももにとってぷーさんは、イケメンでもお金持ちでもなく、良くて“お人よし”という印象だった。そんなぷーさんは、ももに結婚式当日に裏切られるも、悲しい顔をせずににっこり微笑みかけるという、ももの想像とは真逆の行動に出た。
抱いていたイメージとかけ離れた印象を受けると、それまでの考えが上書きされ、後者のインパクトが強烈に残るという。印象が悪い人は、イメージの良い人よりも評価の上り幅が大きい。ぷーさんはこの“ギャップ萌え”のテクニックを使ったことで、ももの心に恋の火を灯したのだった。
“僕”も“高嶺の花子さん”にはあまりよい印象を抱かれていないと感じているのだろう。“君から見た僕はきっと ただの友達の友達”というフレーズからは、相手に良いインパクトを残せていない様子が感じ取れる。だからこそ、この“ギャップ萌え”を試してみてほしい。まずは、自分から相手に話しかけることから始めてみてはいかがだろうか。
自分磨きのススメ
ドラマ「高嶺の花」で、ぷーさんはこんなことも言っていた。
「ずっと高嶺の花だと思ってました。家柄がどうとかじゃなくて、違うものが見えているんですよね。とても高い場所に咲いているから」
“高嶺の花子さん”も、育ちや見た目ではなく、考え方などの精神的なものが他の女子とは違うのではないだろうか。また、“高嶺の花子さん”にあまりよい印象を抱かれていないのだとすれば、“僕”は“高嶺の花子さん”と同じ目線に立っていないのだと思う。あきらめようと思ってしまっているのも、自分と見えている世界が異なるためではないだろうか。
まずは、“高嶺の花子さん”と同じ視点で物事を見て考えられるようになるために、自分磨きをしてほしい。徐々に“僕”の中にある、自分には不釣り合いだという感覚も和らいでくるのではないかと思う。
まとめ
最後に“僕”にこの言葉を伝えておきたい。
「結果が全てだとしたら、人生は虚しい。過程が最高なら、なおさら」(ぷーさん)
もし、“君を惚れさせる黒魔術”や“夏の魔法とやらの力”、“アブラカタブラな力”などがあったとしたら、きっと“僕”は使うだろう。そしたら、“高嶺の花子さん”を簡単に手に入れることができると思う。
しかし、それらがないため、自分自ら行動する必要がある。なかなか上手くいかないことも多いからこそ、そのプロセスを経験することに意味があるのだと思う。一つひとつの過程を楽しみながら、恋を堪能してみてはいかがだろうか。
筆者プロフィール
ちゃんさき(@k_cat51alom)
いつも何かしらの夢を追いかけている人。エンタメ系情報メディアの編集ライターやっています。感性に訴えてきた楽曲をちゃんさきセレクションでお送りする音楽ブログも運営中。