BE:FIRSTの「Smile Again」の洗練具合を分析してみた
ブログで定期的に記事を更新していると、ついついよく使ってしまう言葉っていくつか存在している。
どうしても音楽という同じものを扱っていると同じ言葉を使いがちだ。
専門的なカタカナ用語はなるべく使わないようにして言葉を紡ぐため、こういう質感の音を表現するにはこの言葉を使用する、みたいな自分の中での方程式がどんどん蓄積していくわけである。
例えば、”洗練された”という単語も自分が特定のタイミングでよく使うワードである。
具体的にどういう音に対して”洗練された”と使うのかを決めているわけではないが、感覚的にこの音って「洗練された」という言い回しが似合う音だと感じたのであれば、その音を表現するワードとして”洗練された”を使うのである。
ただ、よく使う言葉でありながら、一体どういう音こそが本当の意味で洗練された音なのか、という答えはなかなか出せてはいなかったりする。
・・・BE:FIRSTの「Smile Again」を聴くまでは。
そう、BE:FIRSTの「Smile Again」は、どこまでも洗練された音とボーカルが地続きになっている歌だったのだ。
「Smile Again」の話
冒頭、エフェクターをかけたボーカルからこの歌が始まる。
コーラスとして挿入しているというよりも、どこか楽器っぽい響きを持たせながら、始まるこの感じ。
コーラスの後ろには、コード弾きをしている鍵盤の音。
それ以外に余計な音は登場しない。
こののっけの感じに、強い洗練具合を覚えるのである。
その後、すぐにAメロへと移行するが、ここで登場するボーカルも洗練されている。
口からもれた空気の振動が、歌となって耳に届くわけだけど、その営みに不純なものが一切入ってこない心地を覚えるのだ。
真っ直ぐに歌が耳に飛び込んでくる感じ。
だから、言葉のひとつひとつもすっと耳に入ってくるし、Bメロでボーカルと空気ががらりと変わるのも鮮明に感じる。
この後、サビへと楽曲は続くわけだけど、個人的に好きなのは、冒頭で登場したコーラスが再びサビ終わりで再び登場するところである。
冒頭のコーラスと同じ質感・メロディーのはずなのに、2回目に聞こえてくるそれはまったく違う響きを与えてくれるのである。
こういう部分にも洗練された感触を覚える。
あと、1分25秒くらいで、DJを逆再生する音をアレンジに挿入して、一回ラップのパートを挿入して楽曲に緩急をつける部分にも洗練されたものを覚えるし、2分ちょうどくらいで「君は綺麗だ」というボーカルをもってきて、そこだけ一瞬バックのサウンドを止める流れになっているのも、洗練したものを覚える。
BE:FIRSTの洗練されたパフォーマンス
BE:FIRSTって良い意味で都会的な雰囲気を身に纏ったグループだと思うし、良い意味で華やかな舞台が似合うようなパフォーマンスを魅せるグループだと思う。
これって表現力に磨きをかけているからこそ成せる技だと思うし、SKY-HI的が世界も見据えて楽曲を構築して、パフォーマンス磨くようにアシストしているからこそ、な部分も強いと思う。
「Smile Again」って楽曲として比較的シンプルな歌だと思うし、ものすごい飛び道具で魅せるタイプの歌ではないと思う。
この歌にしかない技法とか音づかいを入れているタイプの歌でもない。
ベタとまでは言わないまでも、革新性とかトリッキーさで魅せる歌ではないと思う。
逆にいうと、そういうベースを大事にした歌だからこそ、輝くものを感じやすいし、他の歌と比較したときのBE:FIRSTだからこその輝きを感じやすいように思うのだ。
それがより、楽曲に宿る洗練されたものを感じることになるのかなーと、そんなことを思うのである。
まとめに替えて
「Smile Again」ってトータルで聴き直したとき、BE:FIRSTとSKY-HIが、ポップやダンス、あるいはヒップホップの次のステージを見据えた歌のようにも感じる。
“ここ”で満足するんじゃなくて、もっと大きなものを見据えているからこそ、今生み出す楽曲のひとつひとつの細かい部分にこだわった結果がそこにある、というか。
そういう諸々が楽曲をどこまでも洗練されたものに仕立て上げたんだろうな、ということを感じている、そんな今。
これからのBE:FIRSTも目が離せないよな、と思う。
関連記事:BE:FIRSTの「Shining One」に度肝を抜かれている話