BE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」から感じるポップスの未来
楽曲って、いろんな軸で分けることができる。
聴き手の数だけ、その軸ってあると思う、
自分の中では、その軸のひとつに、J-POP的であるかどうか、というものがある。
こんな言い方をすれば、日本のポップスは全部J-POPだろ?という指摘があるかもしれない。
それはそうなんだけど、でも、きっと、リスナーの多くがJ-POPの中でも、J-POP的なものとそうじゃないもので分けることができるんじゃないかと思っている。
で、こういう場合、日本の音楽と海外の音楽を対立にして、話を進めることが多いとは思う。
ただし、近年ではこの<海外の音楽>に、K-POPを代入して見て取ることが多いような気がする。
これは、K-POPが世界規模で音楽シーンに影響を与えているから、という背景があるから。
実際、J-POPを世界基準の音楽にしていく中で、K-POP的なイズムも取り込んでいる音楽も多いように思う。
この記事の題材となる、BE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」もまた、そういう文脈の中で語ることができる音楽だと思っている。
どういうことか?
事項でもう少し丁寧に話を進めてみたいと思う。
本編
BE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」
先ほど、J-POPとK-POPの軸で、ポップスを語ることができると述べた。
で、BE:FIRSTの音楽ってその軸で取られたとき、比較的K-POP的なイズムを感じさせる楽曲が多いようの思う。
使っている言葉の多くは日本語だが、音の質感だったり、楽曲全体の構成の仕方にK-POPのイズムを感じさせることが多いわけだ。
というのも、わりとJ-POPって、演者側のある種の「拙さ」を<真似しやすキャッチーさ>に置き換えることで、圧倒的な爆発力を生み出す事例が多い。
少なくとも、音楽において<上手さ>以外の軸で魅了する事例は数多あるように思う。
ただ、BE:FIRSTの場合はそこに違いがあるように感じるのだ。
というのも、<真似しやすさ>みたいなものは二の次にして、選ばれた人間だからこそできる高いパフォーマンスで魅了している印象を受けるのだ。
「Bye-Good-Bye」を聴いても、そのことを感じる。
歌・ダンス・ラップ、全てにおいてレベルが高いことが、何よりの証左だ。
また、単にパフォーマンスのレベルが高いだけではなく、楽曲の構成でもそういう印象を受ける。
J-POP的なものだと<誰もが口ずさめること>が重要な要素になることが多いため、メロディーのわかりやすさや、サビのサビらしさが重要な要素になる。
でも、BE:FIRSTの音楽は必ずしも、そこで勝負をしない。
メロディーにキャッチーさを感じるかどうかは聴き手によって異なると思うけれど、キャッチーであることに全振りしているわけではないように思う。
<わかりやすさ>よりも、<パフォーマンスの素晴らしさ>を追求しているからこそ。
そういう諸々が、BE:FIRSTの音楽にある種のK-POP的な印象を与えるきっかけになっているのかなーなんてことを思う。
J-POPであることの誇り
でも、その一方で単にK-POPの借り物の音楽をやっているかといえば、そんなこともないと思っていて。
「Bye-Good-Bye」において言えば、歌詞の多くが日本語で構成されている。
しかも単純に日本語で歌っているのではない。
日本語を英語っぽくメロディーに乗せるのではなくて、きちんと日本語を日本語としたままにメロディーに乗せている印象を受けるからだ。
つまり、ワールドワイドであることを優先して、J-POPであることを捨てているわけではない。
あるいは、単純に世界で流行っているものを真似するのではなく、きちんとJ-POPを再構築した先で、ワールドワイド的な進化を遂げている。
そんな風に思うのである。
先ほど述べたK-POPだって、きっと作品の参照点ではあっても<元ネタ>にはなっていない。
K-POPをやっているのではない。
J-POPである自分たちの音楽をよりよく届けるうえで、K-POP的な要素も参照しつつ、自分たちの音楽を研ぎ澄ませている。
そんな風に言えるんじゃないかと思うわけだ。
もっといえば、J-POP的な誇りを胸にBE:FIRSTの音楽は構築されている印象を受ける。
<日本のアーティストがK-POPを歌う>ではなく、<J-POPをワールドワイドに届けるレベルものにする>があって、その中でK-POPもひとつの参照点にしている。
そんな風に感じるのだ。
このJ-POPに対する態度って、すごくBE:FIRSTの音楽において、重要な意味があるように思うし、SKY-HIの美学ってこういうところに現れているんじゃないかと思うわけである。
だからこそ、BE:FIRSTの音楽はどこまでもかっこよく響く。
「Bye-Good-Bye」を聴いていると、改めてそんなことを感じるのである。
まとめ
・・・というわけでは、わりと構造的な部分に話を終始してしまったけれど、BE:FIRSTの音楽のかっこよさに痺れてしまったというのがこの記事の総意である。
この高い表現力を持つメンバーだからこその音楽世界は、圧巻という他ない。
チーム全体で生み出した世界観からだからこその魅力を、「Bye-Good-Bye」の至るところに感じるのである。
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