BE:FIRSTの「Spacecraft」と「Sailing」と意志を感じる歌詞の話

『2:BE』、そして「Sailing」に進むBE:FIRST

2021年にデビューを果たしたアーティストで、音楽シーンに強烈なインパクトを与えた人は誰か?

そう問われて、あなたはどのアーティストの名前を思い浮かべるだろうか?

日頃どんな音楽を聴いているかでこの回答は大きく変わると思う。

強烈なインパクトをどう捉えるかによって、その答えは変わると思う。

自分もこの問いに対する回答はいくつか頭に思い浮かぶが、今一組に絞るとしたら、自分はBE:FIRSTの名前を挙げておきたい。

デビュー当時は、音楽をそれなりに聴く人の中でも、もしかしたら名前を知っている人が少数だったかもしれないBE:FIRSTは、今や老若男女問わず、名の知れたアーティストになっている。

サブスク史上の現在、名詞代わりになるような知名度の楽曲はこれからな部分もあるが、タイアップ重視のマーケティング戦力でもない中で、ここまで広く届いているのは凄いことだと思う。

しかも、「Sailing」は『ONE PIECE』 魚人島編のタイアップとなり、随所のタイミングでは大型タイアップが決まっているところをみると、セカンドアルバムの『2:BE』でこれまでのフェーズに区切りをつけて、2025年でさらなるフェーズに進む予感を覚える。

なお、「Sailing」が歌として、良い。

なんというか、シンプルに元気になる歌だなあと感じる。

空から光が差し込むようなエネルギーをもらえるというか。

アニメタイアップということもあって、キャッチーなメロディーをまぶしながら耳馴染みの良い展開を作る。

でも、単に大衆的な音楽にするわけではなく、ポイントポイントで高速ラップのパートを挿入することで、BE:FIRSTらしい軽快感を生み出す。

楽曲の展開もJ-POP的な構造をベースにしつつ、ポップスによくありがちな過剰なサビ信仰にならず、BE:FIRST的な構造の中で、色んな部分で魅了していくのが印象的。

SKY-HI的な視座を取り入れつつ、大衆的な音楽シーンに新たな刺激を与えていて、そのうえで、国民的アニメのタイアップだからこその風味も活かした、BE:FIRSTの新境地的な作品であるように思う。

BE:FIRSTの「Spacecraft」が良い

「Sailing」もとても魅力的なんだけど、同じepに収録される「Spacecraft」がこれまた良いのだ。

「Spacecraft」を聴くことで、改めてBE:FIRSTって良いアーティストだなあと感じたものである。

自分が思う、BE:FIRSTの特徴って下記だったりする

・パンチ力のあるワードを説得力を持って歌う
・歌もラップも上手い
・リズムの乗りこなし方がピカイチ

で。

「Spacecraft」って上記3つの魅力が全て入った、隙のない作品であるように思うのだ。

<この地球ごと全部>とか<ひっくり返す常識ごと全部>というワードがサビで燦々と輝くこの歌。

BE:FIRSTらしい己のサバイブを感じさせる楽曲になっている。

こういう強い言葉を使う場合、アーティストのスタンスとシンクロしているかが重要になるわけだけど、BE:FIRSTは上記の項目でも書いたように、シーンの中で”実力”で駆け抜けてきたアーティストなわけだ。

こういうことをやってきて、こういう成果を出してきた。

そういう物語が明確になるアーティストだからこそ、強い言葉が生えるし、説得力が出る。

SKY-HIが計算しながら、歌う言葉と活動をシンクロさせてきた部分もあるわけど、「Spacecraft」においても、そういうかっこよさが炸裂している。

そして、今作はリズムの乗りこなしのかっこよさが際立つ。

この歌、日本語と英語の歌詞が交錯するようになっているわけだが、どの歌も音として浮いていないのだ。

例えば、昔のJ-POPにおける英語歌詞のそれって、どう聴いてもカタカナとしてメロディーを乗せている感が強かった。

逆に英語をベースにしてメロディーの乗せ方をしている場合は、日本語の歌詞が日本語としての響きをもたないままに、メロディーにのってしまっていたりした。

が。

「Spacecraft」はそのどちらにもなっていない。

日本語のパートは日本語としての言葉の強さや、母音の力強さを感じられるようになっている。

対して、英語のパートは英語だからこそのスリリングな気持ちよさをそのままに歌詞としてメロディーに乗っている。

だからこそ、楽曲のテーマ性が明確でありながらも、言葉よりビート感を重視した楽曲のような気持ちよさを感じることができるのだ。

この辺り、BE:FIRSTのメンバーがそれぞれ歌とラップを磨いてきたから。

そのように感じる。

まとめに替えて

「Spacecraft」と「Sailing」を聴いていると、やっぱり2025年のBE:FIRSTはさらなるフェーズに向かっていることを痛感する。

ワンピースの連載が、どんどんルフィの「夢」を実現する形に展開していくのと同様に、BE:FIRSTもまた「⚪︎⚪︎編」のシリーズを変えながらも、本質としては変わらない夢を追いかけるような、そんな空気感を覚えさせてくれるのである。 

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