BE:FIRST「夢中」、どこまでも多幸感が宿る感
春はなんだか多幸感のある、ミディアム調の楽曲を聴きたくなる。
そういう意味で、自分はBE:FIRSTの「夢中」という楽曲に夢中になっている。
1. サウンドの圧倒的な洗練され具合
「夢中」は、BE:FIRSTのこれまでの楽曲とはまた異なる味わい深さが生まれている。洗練されたソウルやR&Bを生み出すeillと、多彩で芳醇な音楽を生み出す音楽プロデューサー・Ryo ‘LEFTY’ Miyataによって制作されたということで、より”歌”にスポットが当てられた印象。
実際、「夢中」はゴスペルっぽい雰囲気の中、荘厳でまばゆいテイストで楽曲が進行していく。ボーカルも甘さと柔らかさを同居させたような雰囲気で、親だかにメロディーを紡いでいる印象。使われている楽器の音色の多くも、どことなく温かみがあって、ゴスペルっぽい空気と調和させながら、多幸感のある空気を生み出していく。
しかるべきメリハリはあるんだけど、必要以上に派手にはならない塩梅で歌が進むからこそ、よりすっと言葉やメロディーが耳に入ってくるのだ。
トラックのひとつひとつを分解すると、緻密に音を重ねているように感じる。でも、余計な分厚さを感じさせない辺りに、「夢中」という楽曲のプロフェッショナル感を覚える次第。
こちらのリスニングのテンポに合わせるように歌が進むからこそ、より歌の世界観に移入しながら、歌を楽しむところに「夢中」の夢中所以があるのかもしれないと感じる。
ボーカルの凄まじさ
ただ、BE:FIRSTが面白いのは、そういう穏やかでミディアムテンポの楽曲でも、鋭さを持つべきところでは鋭さを解き放っているところだ。
例えば、テンポが穏やかだからこそ、リズムに自由度が生まれる。だから、それぞれの歌いまわしを聴いていくと、リズムの緩急の付け方がえぐいことになっている。
メロディーの中に高速的にフレーズを詰め込むような場面では、しかるべき疾走感をもって歌を進行させていく。また、「君に夢中なんだ」みたいな真っ直ぐに言葉を届けるフレーズでは、ぐっと歌に比重をのせて情感を込めることで、言葉そのものがダイレクトに届く心地を覚える。
ダンスやラップにも定評があるBE:FIRSTだからこそ、ゴスペル調の楽曲で歌を魅せ方も、他のアーティストにはない味わい深さを感じさせてくれるのである。
めっちゃ高級なフレンチ料理屋が、和風テイストの最高級フレンチを作って差し出してくれた・・・みたいな感じ。
こういう味付けもできるけど、今回はここの味付けに軸足をおくことで、いつもと違う味わいを提供するみたいな温度感。
あと、ハイトーンなボーカルも、一切耳がきーんとならず、耳に柔らかく馴染んで届くのが凄い。だから、変な言い回しであるが、高音パートを低音パートのような穏やかさで聴くことができる。
こういう聴き心地になる辺りに、BE:FIRSTのボーカルとしての凄さを実感するのだった。
まとめに替えて
ということで、今回はサウンドとしての面白さと、ボーカルの素晴らしさにスポットを当てて言葉にしてみた。
つくづくBE:FIRSTは日本の音楽シーンで、独自の輝きを放つボーイズグループだなあと感じる。
夢中になっていたBE:FIRSTが、「夢中」という楽曲でさらに夢中になってしまった感。
いやはや。