SixTONESの「Good Luck!/ふたり」を聴いて、ん?って感じたことについて
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SixTONESの8枚目のシングル「Good Luck!/ふたり」を購入して一通り聴いた。
最初に聴いたときは、いつもと違う何かを感じたので、「ん?」という感想からはじまった。
そこから自分の感じたことをひとつひとつ整理してみて、まとめてみたので、楽曲ごとに感想を書いてみたいと思う。
本編
「Good Luck!」の感想
「Good Luck!」はSixTONESのシングル史上、もっとも歌の存在感が強い歌だと思っている。
というのも、SixTONESの楽曲ってジャンル性が強かったり、作家性の強いアーティストが楽曲を提供するケースが多かった。
例えば、デビュー曲である「Imitation Rain」はYOSHIKIが楽曲提供した一曲で、YOSHIKIの作家性が色濃く出ている楽曲だった。
「マスカラ」はKing Gnu/millennium paradeの常田大希が楽曲提供した一曲で、これまた常田のセンスが色濃く出ている楽曲だった。
また、「NAVIGATOR」や「共鳴」はリズムの切れ味が鋭く、メロディーよりもハツラツとした楽曲展開にスポットが集まる印象の楽曲だった。
そう考えたとき、「Good Luck!」はどこまでも歌に対してまっすぐな印象を受けた。
ポップの強さがより際立っているし、歌の存在感が際立つ印象を受けたのだ。
これが逆に、いつものシングルとは違う聴き心地を与えた要因だったように思う。
にしても、8枚目のシングルというタイミングで、歌の存在感が強い楽曲を歌うのが良いなあと聴きながらに思っていた。
というのも、過去のシングル曲を聴き比べたとき、明確にSixTONESのボーカルって上達しているように思う。
「Imitation Rain」のときでも、難しいメロディーラインをしっかり歌いこなしている印象だったが、「Good Luck!」を聴くと、全員があのときよりも明確に歌が上手くなっていることを実感するのだ。
ただ、歌が上手いといっても色んな言い方ができるとは思うが、「Good Luck!」の歌に関して言えば、歌声の感情が豊かになった印象を受けた。
どういうことか?
例えば、歌が上手いって声量の凄さとか、メロディーの幅広さとか、リズム感とか色んな切り口で言えることだ。
でも、そういうのとは違っていて、歌の表情の深さと豊かさに圧倒的な歌の上手さを感じることになったのだ。
過去の曲でも、確かに歌の凄さがあった。
でも、それは高いメロディーの鮮やかさとかハモリの綺麗とかに収斂されることが多かった。
今作は、そことは違う地点で歌の上手さを提示しているし、そういう部分じゃなくても歌の上手さをはっきり感じられるところに、逆に自分はよりSixTONESの歌の上手さを覚えてしまったのだった。
そして、今作でいうと歌の表情とは、喜怒哀楽がはっきりしているというのともまた違う聴き心地だったのだ。
あえて言えば、歌声に宿る表情がどこまでもナチュラルな印象を受けた。
そのため、「うんざりだね」とか「カッコ悪くてもいいんじゃない?」みたいなセリフっぽいフレーズが、どこまでも自然体に聴こえるのである。
これって、簡単そうに見えて凄いことだと思う。
だって、世の中歌が上手いアーティストというのはたくさんいると思うが、そのフレーズにあった表情で歌詞を歌い、そのフレーズにある種のリアリティーを与えるのって難しいと思う。
これは単に歌が上手いだけではできない。
特に自分で歌詞を書いているわけではないアーティストであれば、なおのこと難しいはずだ。
場合によっては、フレーズの温度感と歌声の表情にズレが生じてしまうケースだってある。
で、ここでズレが出てしまうと、歌に歌わされている感が出てしまい、仮に歌が上手いとしても微妙な聴き心地になるケースもあるわけだ。
でも、SixTONESの「Good Luck!」は、その乗りこなし方が完璧なのである。
口語っぽいフレーズを歌うときの、歌っている本人がそのフレーズをちゃんと言っている感が際立っているし、与えられた歌詞を完全に自分のものにして歌いこなししているのだ。
だからこそ、サビの前向きなフレーズも響くし、歌そのものへの引き込まれ方も高まるのである。
言ってしまえば、SixTONESは今作でいわゆる「歌が上手い/下手」というラインで語ることができるラインの、その次の歌の上手さに進んだ感があるのだ。
逆にいえば、6人のボーカルがそういうレベルの高さになっているからこそ、こういう王道色の強いポップソングを歌い、それが大いなる魅力になっているように感じるのである。
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「ふたり」の感想
今作は作品を通して、歌を聴かせる作品だなあと思う。
「ふたり」を聴いて、改めてそのことを実感した。
「ふたり」は歌の存在感が際立つ、真っ直ぐなミディアムナンバーである。
ジェシーや京本をはじめ、SixTONESの各メンバーの歌声が際立つような構成になっている。
「ふたり」はより、小細工なしでシンプルにSixTONESの歌そのもので勝負している印象である。
そして、ジェシーや京本の歌声を聴いて思ったのが、高いメロディーのときの聴きやすさである。
それこそ「Imitation Rain」のときは、ハイトーンなメロディーに対して、とにかくハイトーンであることに全振りしていた印象だった。
そのため、少し声の高さにキーンとする瞬間もあったのだ。
しかし、「ふたり」はメロディーが高くなっても、柔らかく歌いこなしていて、それがとても印象に響くのだ。
ある程度高い声が出せる人であれば、ハイトーンに歌いこなすこと自体はできる。
でも、ハイトーンをハイトーンのままにして歌にすると、高い声独特のキーンとした感じを覚えることがある。
そして、それが歌の聞きにくさに繋がることもある。
でも、「ふたり」はそういうことがまったくない。
なぜなら、むしろ高いメロディーのときほど、声が柔らかく響いているから。
特に、ジェシーと京本はその表現が際立っていた。
また、「そばにいるから」というフレーズを歌うときにファルセットを使うときも、無理が一切なく、柔らかいトーンのままにメロディーを紡いでいる。
それが、どこまでも印象的だったので、より「ふたり」のメロディーを味わい深く堪能することができた。
まとめに替えて
総じて言えるのは、SixTONESの今作は単に<歌が上手い>の地点とは少し異なるところから、歌の心地よさを提示したということである。
その心地よさに出くわしたときの感触が「ん?(なんだかいつもと違う何かを感じるぞ)」ということだったので、その衝撃みたいなものをタイトルにしたのだった。
で、記事にしてかんがえていくと、ふたつの要素で言葉にすることができた。
ひとつは、表情の豊かさ。
もうひとつは、高いトーンのときの柔らかさ。
ここが特に印象深く際立っていた。
歌にスポットが当たった楽曲だからこそ、よりSixTONESというアーティストのボーカルの進化を実感した、そんな次第。
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