SixTONESの「君がいない」、6人のボーカルが鮮やかすぎる件

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知名度のあるアーティストに楽曲を提供する場合、楽曲を提供する側も知名度のあるアーティストであることが多い。

このアーティストならこんなテイストの作品を作るという期待を込めていたり、提供するアーティスト側の作家性も混みで楽曲の世界観をいたり、そもそも話題性を集めたいからとかで、有名アーティストが楽曲を提供することも多い印象なのだ。

確かに、リスナー視点にたっても、それはワクワクする。

そして、お互いの世界観がばっちり噛み合っていると、そのワクワクは増大することになる。

でも、必ずしもそういう見せ方をすることばかりかといえば、そうではない。

特に、SixTONESの「君がいない」は、その逆をいった印象を受ける楽曲である。

SixTONESの「君がいない」の話

「君がいない」の楽曲を手がけたのは、Zembnalというアーティストだ。

そのZembnalのSNSは最近開設されたようである。

で、Zembnalの投稿をみていると、どうやらSixTONESの「君がいない」が、作家デビューの楽曲である、ということがポストされている。

もちろん、ZembnalはZembnalとして活動していく中で、SixTONESに楽曲提供するに至ったわけだけど、なぜZembnalに楽曲提供することになったのかを考えると、SixTONESにとって素晴らしい楽曲を生み出せるという期待がベースの依頼なのかなーと考える。

まあ、Zembnalがどういう要望を受けて、「君がいない」という楽曲を作ったのかはわからないが、「君がいない」を聴いて思ったのは、あまりにも、この歌良いやん、というものだった。

今のSixTONESの良さが出まくっているように思ったし、SixTONESってこういう歌をかっこよく歌からこそ好きなんだよなーということを改めて認識できるような楽曲だった。

「君がいない」は、シックでスタイリッシュなナンバーである。

スリリングなビート感でもって、ビターなテイストで楽曲が進行していく。

また、近年のSixTONESの楽曲は「こっから」然り、「アンセム」然り、ラップパートを効果的に歌いこなすナンバーが多く、「君がいない」でも、そのパートが印象深く展開されていく。

そう。

今のSixTONESのボーカルの良さを、これでもかと堪能できる楽曲になっている印象だったのだ。

冒頭のジェシーのボーカルから、そのことをひしひしと感じる。

ジェシーは歌割りに対するリズムの乗りこなし方が野生的かつテクニカルで、芸術的な躍動感を生み出して、楽曲のドライブを全開にしている印象。

また、田中樹のパートも印象的で、全メンバーの中でも屈指のハスキーボイスを展開するため、シックなアレンジの楽曲の雰囲気をよりディープなものにしている。

あと、今作を聴いて改めて感じたのは、6人のボーカルの棲み分けが絶妙ということだ。

6人もボーカルがいると声質が被っているボーカルがいたり、歌の中で同じような役割を担うボーカルが衝突するケースもある。

でも、SixTONESって、それがない。

特に近年の楽曲は、より6人のカラーが色濃くなった印象を受けるし、棲み分けが絶妙になっている。

ボーカルだけを切り取ってみても、6人それぞれのキャラクターが、確立しているのだ。

そして、それぞれのボーカルで「ここ」が強みとか、「ここ」に特徴がある、という点がはっきりしているから、ボーカルのバトンを紡ぐ面白さが強くなっている。

それを特に強く実感するのが、楽曲の最後のパート。

「Baby I need you right now.」

「朝になっても暗いな」

をそれぞれで歌いこなすところ。

ジェシーや京本大我や松村北斗はメンバーの中でもハイトーンなボーカルが印象的になることが多いけれど、そのハイトーンの中でもリズムの乗りこなし方が違っていたり、ボーカルのビブラートの掛け方が違っていたり、甘い声とがなりっぽいボーカルのミックス具合が違っていたりして、それぞれの個性が爆発している。

髙地優吾は「君がいない」の中では、誰よりも真っ直ぐにメロディーと向き合っているようなボーカルを紡いでいる印象で、「Baby I need you right now.」のパートでも、そういう真っすぐさを感じさせてくれている。

森本慎太郎はボーカルにパワフルさがあって、歌の中に力強さを与えている印象がある。だからこそ、ボーカルの「波動」のようなエネルギーを込めたときの力強さを随一のように感じる。

ありきたりなLazy Morning
何気ない日々にイラつき
Boring, Boringって
寝ぼけた頭コーヒーで覚ませば
嗚呼、
君がいない
君がいない

2番では、上記のフレーズを京本大我と対になって歌いこなすパートがあるように思うけれど、ここでもお互いのボーカルの個性の違いが明確に出ていて、「君がいない」の楽曲内の面白さを体感できる部分になっている。

田中樹は楽曲ごとにラップが上手くなっている印象だし、明確にSixTONESの他のボーカルではなかなか表現できない部分を鮮やかに表現している印象。田中樹のパートで、楽曲の空気ががらりと変わるのが良いなあといつも思うし、「朝になっても暗いな」のパートでも、そのことを実感する次第。

結果、この6人で歌うからこその良さが色濃く出ていたし、歌が良いのはもちろんのこと、なぜSixTONESが歌うからより良く感じるのか、がはっきりと認識できた楽曲でもあったのだった。

まとめに代えて

Zembnalが生み出した音楽がワクワクしていた。

その上で、SixTONESの6人のボーカルがこれ以上にない共鳴をみせる。

だからこそ、「君がいない」という素晴らしい楽曲が生まれたことを実感した今回。

アルバム全体は聴き始めたところなので、ここからさらに感想を深掘りできたらと思ってはいるが、まずはアルバムの中でも気に入った楽曲のひとつとして、「君がいない」の感想を取り出して言葉にしてみた次第。

改めて、アーティストとしてのSixTONESの表現力が研ぎ澄まされていることを実感した、そんな一作。

※Zembnalの表記については、クレジットだと「Z」が大文字で、SNSアカウントだと「z」が小文字だったので、2024年1月では大文字で統一します。

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