King Gnuの「一途」の歌詞とボーカルと番狂わせの件
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12月になると、自分のブログ的には「ベストソングの記事をアップするし、今年よかった曲を選んでおこう」みたいなモードになる。
で、悩みながらも一旦この20曲にしようーなんて思いながらラインナップを決めることになる。
人によってはカテゴリーに分けてベストソングの順位付けをする人もいるが、自分の場合は日本の音楽に限定したうえで、全部のジャンルをごちゃまぜにするため、基本的に気に入っている楽曲が、ベストソングとして出せる曲の総数を越えてくるのである(例えば、ベストソング200くらいの単位にしたら収まるとは思うけれど、それは情報量としてどうなんだと思っているので、なるべく紹介する曲は減らそうと思っているのだ)。
ちなみに今年はベストソング20にしようと思っているんだけど、この<好きな曲を20に絞る>のがとても大変なわけだ。
ジャンルレスで選ぶとなると、特に。
何を軸にして順位を決めるかでラインナップが変わったりもするわけだ。
ただ、何回も試行錯誤しているうちに、なんとなく<自分がしっくるくるもの>が見えてきて、そこに落ち着かせることになる。
ここで何が言いたいかといえば、だ。
せっかく苦労してベストソング20の雛形を作ったのに、早速そのラインナップに揺さぶりをかける楽曲が出てきてしまった・・・という話なのだ。
それが、King Gnuの「一途」だ。
King Gnuの「一途」の話
イントロ、そしてボーカルの感じ
King Gnuには二人のボーカルがいる。
井口と常田だ。
今の地位になってからは、基本井口がメインでボーカルパートを構成することが多く、常田はBメロ辺りで登場してアクセントを付けるような立ち位置になることが多い。
でも、自分好みのKing Gnuの楽曲はボーカルとしての常田の存在感が絶大であることが多い。
あえて言ってしまうと、常田がメインボーカルでいる時間が長い楽曲は、<渋い>楽曲が多い気がするのだ。
そのため、楽曲のトーンとしても自分の癖に突き刺さることが多いのである。
で。
「一途」の話なんだけど、のっけのイントロからもう既にかっこいい。
ミュートしたギターの弦をゴリゴリにこするように鳴らしている感じ。
この時点で「King Gnuの最近よくあるポップなやつ」とはまったく違うことを感じさせてくれる。
と思ったら、開口一番の常田のボーカル。
最期にもう一度・・・・
この入りの時点で、渋くてエッジの効いたボーカルが冴え渡っている。
歌詞の内容自体はよくよく聴くと、わりと<甘い>感じなんだけど、ボーカルの温度感は完全にビターなそれ。
ただでさえスリリングさが際立っていた楽曲に、ぴりっとした緊張感が生まれていく。
そこから井口にバトンを繋ぐんだけど、井口のボーカルの温度感も素晴らしい。
井口の場合、ボーカルとしての表現力の幅が広いため、色んな温度感のボーカルを紡ぐことができる。
曲によっては切なさ一辺倒で魅せることもあるけれど、「一途」においては少し棘のありそうなボーカルを展開していて、これまた自分のツボなのである。
そういえば、注目が集まりだした頃のKing Gnuの歌は<キャッチーさ>よりも<なんだかヤバそうな感じ>がチラつくバンドだったような気がする。
この<なんだかヤバそうな感じ>を今のKing Gnuがやったらこんな感じになる、とでも言わんばかりの溌剌さが楽曲に内在されている気がするのだ。
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全部がサビみたいな聴き心地
この歌、さらっと聴く分には全部がサビのような求心力を覚える。
変な言い回しだが、どこがサビかわからないような印象も覚える。
この歌のラストは、冒頭の常田パートと同じメロディーを常田が繰り返すという構図になる。
ここもサビのような高揚感があるし、で、この歌のサビってどの部分でしたっけ???ってなるわけだ。
まくしたてるようなメロディーラインで、一度ボーカルが始まると、ほとんど休むことなく最後まで駆け抜けていく。
これにより、楽曲は圧倒的な温度感で楽曲を展開していくことになる。
あと、
生きてる証刻むの
悴む心震わして
天秤なんて必要ないの
矛盾に脳を惑わして
このパートの井口と常田のボーカルの入れ替わりと声の重ね方がとにかく絶妙。
というか、今作は本当にツインボーカルである魅力を最大限に活かしている印象。
ボーカルの視点が<男性><女性>で切り替わる鮮やかさも見事だし、常田パートが男性視点を歌うことで、井口パートの女性視点のコントラストが際立つ感じ。
サウンド、言葉選び、メロディーライン、ボーカルの流れ。
全てが全て、今のKing Gnuだからこそ成立している温度感なのである。
まとめに替えて
そりゃあ、こんなの聞かされてしまったら、ベストソングのランキングにも大きな影響が出るというものである。
大型タイアップの時にここぞの楽曲を世に放つ常田のソングライティングも流石だなあと感嘆するばかり。
きっと2022年のKing Gnuも凄いことになることを予感させられるばかりである。
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