サカナクションの「プラトー」から考察するサカナクションの変わらない魅力

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自分が学生くらいの頃からサカナクションは不動の地位を築いていた。

バンドというフォーマットと、ダンス的なアプローチの融合において、新たなフェーズを生み出したバンドだと思っている。

「夜の踊り子」なんかは、そういうロックとダンスを融合させた、ひとつの総決算的な楽曲だと思っている。

今聴いても革新性を感じさせる楽曲だ。

また、サカナクションのキャリアにおいても強い光を放つ楽曲のひとつだと思う。

それにしても。

「夜の踊り子」から考えても、9年ほどの月日が経過したわけだ。

9年という歳月は、過ぎてみたら短い歳月のようにも感じるけれど、変化を起こすという意味では十分な歳月である。

まあ、当時バンドシーンでブイブイいわせていたバンドが、今でもゴリゴリと活躍しているという例もある。

が、その一方で、当時はまだ名前に上がらなかったバンド、そもそも当時はまだ結成していなかったバンドがシーンを賑わすようにもなっているわけだ。

そう。

少なくとも、音楽シーンにおいて9年という歳月は、色んなものが変化していく歳月になるわけだ。

サカナクションにおいても、大きな変化があったと思う。

実際、この間に色んなアプローチの音楽を世に生み出すことになった(まったく楽曲を出さない時期もあったが)。

その一方で、シーンにおける不動感は、思いの外当時と変わっていない気もする。

もちろん変わっている部分もたくさんある。

でも、その一方で変わっていない要素も想像以上にたくさんあるように思うわけだ。(少なくとも自分ではそう思っている)

「プラトー」を聴いて、改めてそんなことを思うのである。

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サカナクションの「プラトー」について

「プラトー」って良い意味で、サカナクション感がにじみ出ている歌だなーと思っていて。

鳴らしている音楽とか音楽ジャンルとかの話とかではなく、楽曲を聴いたときの聴き心地において、どこまでもサカナクションの楽曲ならでは感があるのである。

「夜の踊り子」のような、いわゆるダンスロックのフォーマットを踏襲しているというわけではない。

タムを中心に構成されたドラムアプローチは、今のサカナクションだからこそのリズムアプローチのようにも思う。

その一方で、どこまでも良い意味でサカナクションらしい響きを覚えるのである。

ラストの大サビが、サカナクション特有の合唱モードに入るから、というのもひとつの要素ではあるだろう。

でも、そういう体裁とか構造の話を抜きにしても、途方もなくサカナクションらしさを感じて仕方がないのだ。

そのとき、ふとこの曲のことが頭に浮かんだ。

サカナクションの「陽炎」である。

この楽曲も独創的なサウンドメイクが印象的な楽曲である。

でも、この歌も不思議とザ・サカナクションの楽曲感がある。

サウンドアプローチがどうのこうのとか抜きにして、サカナクションだからこその響きと安心感を覚える、そんな不思議な楽曲なのだ。

なぜなのか。

そこを紐解いていくと、一郎氏のボーカルの存在感に行き着く。

要は、サカナクションって、とてもボーカルの存在感が強いのだ。

リズムフックとかサウンドの妙で魅了するバンドの場合、ボーカルの声が<塩顔>であることが多い。

だから、楽曲の装いとともにボーカルの雰囲気すらも変化していく印象。

でも、山口一郎のボーカルは、あえて言うならば<ソース顔>であり、とにかく存在感が強いのだ。

何の服を着ようが、その存在感が変わることはない。

そんな印象を覚えるのだ。

「陽炎」でみせる、山口一郎のコブシがそれを物語っている。

「陽炎」はサウンドの個性も際立つが、それ以上に「かぁげぇろぉ〜〜〜!!!」と発する山口一郎の存在感が際立っている。

そう、サカナクションは楽曲を構築するうえで、ボーカルの存在感がどこまでも骨太なのである。

「プラトー」においても、一郎のボーカルがカットインされることで、バッと景色が変わる心地がする。

ボーカルがぐいぐいと楽曲の世界に引っ張っていく、そんな心地を覚えるわけだ。

だからこそ、サカナクションの歌はどれだけトリッキーだったとしても、ある種の安定感を生み出すことになる。

思えば、サカナクションが大ブレイクしてから、ライブの演出も含めてサカナクションっぽいバンドが増えた。

・・・にも関わらず、その個性が埋没することなく、さかは不動の地位を築き上げている。

その要素のひとつとして、山口一郎のボーカルの存在感が圧倒的である、ということは大きいと思う。

だからこそ、 「グッドバイ」のような聴かせる歌も圧倒的な輝きを解き放つわけだし。

バンドサウンドでも、弾き語りに近い楽曲でも、クラブミュージックっぽいテイストも、ある意味で変わらない魅力を解き放つことになる。

それが、サカナクションの魅力のひとつ。

一郎氏のボーカルの魅力のひとつ。

そんなことを思うのである。

まとめに替えて

話が色々と脱線したが、そんな「プラトー」が自分は好きだというのが、この記事の結論である。

やっぱりサカナクションの歌にはサカナクションにしかない魅力が宿っているなーとそんなことを思ったわけだ。

変化しながらも色褪せない魅力を解き放つ、そんなサカナクションだからこその、聴き応えのあるミディアムナンバーである。

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