Superfly→ビッケブランカ→塩塚モエカのリレーが好きすぎる「春はグラデーション」の話
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FM802では毎年春のキャンペーンソングと題して、FM802とゆかりあるアーティストが多数参加して、オリジナルキャンペーンソングを作る。
過去にも、UKASUKA-Gが手がけた「春の歌」、クリープハイプの尾崎世界観が楽曲を手がけた「栞」、aikoが楽曲を手がけた「メロンソーダ」など、数々の名曲が生まれている。
今年はThe Yogurtsというユニット名で、豪華メンバーが集結。
楽曲を手がけたのは、Superfly。
シンガーには、Superflyのほかに、水曜日のカンパネラの詩羽、羊文学の塩塚モエカ、BLUE ENCOUNTの田邊駿一、ビッケブランカ、ハンブレッダーズのムツムロアキラが集うことに。
毎年、春のキャンペーンソングは楽曲、布陣ともに楽しみにしているんだけど、今作はまた面白い顔ぶれが並んだなーと思っていて。
なんというか、各アーティストごとの細かな関係性はわからないけれど、今回はこの企画じゃないと揃わないメンツがあって、面白みを覚えたのだった。
例えば、昨年の「AOZORA」だと、アーティストによっては関係性が見える人もいて、なんとなくブッキングの意図とか狙いもわかる気がしたんだけど、今年は良い意味で自分的にはそういうものが見えないように感じたのだった。
だから、楽曲がどういう風に仕上がるのか、各々のシンガーがどう歌いこなすのかが楽しみだったのである。
The Yogurtsの「春はグラデーション」の話
https://youtu.be/8Iwdwn3PUug
個人的にテンションが上がったのが、一番の流れ。
Superfly→ビッケブランカ→塩塚モエカのバトンの繋ぎ方がぐっときたのだった。
冒頭は、楽曲を手がけたSuperfly。
Superflyはこれまでの楽曲でも高らかかつ伸びやかなハイトーンボイスを披露してきたけれど、今作でも柔らかくも力強くメロディーを紡いでいく。
良い意味で「どやっ!」が炸裂している歌声に、一瞬で心が掴まれることになる。
あと、Superflyの歌声に良い意味で春らしい温かみがあるし、強弱の付け方が絶妙で、歌声そのものに明白なるグラデーションが織り交ぜられていることを感じる。
そのバトンを受け取るのが、ビッケブランカなのだが、このバトンの受け方がめっちゃ良い。
aikoの「メロンソーダ」でもそうだったが、どうしてもkeyの兼ね合いから女性から男性のボーカルにバトンを繋ぐと、良くも悪くも世界観ががらりと変わることが多いのだが、ビッケブランカはそういう変な乱れを一切感じさせず、心地よい温度感で歌のバトンを受け継ぐのである。
裏声も丁寧に使いながら、春の景色を美しく描いてみせるのである。
そして、次の塩塚モエカは良い意味で「これ、自分の歌ではないか?」と思わせるくらいに、紡ぐメロディーを自分の色で塗り替えていく。
単語ひとつひとつの発声の仕方が見事で、「香り」とか「私」とか、「と」と「い」の音の織り交ぜ方とか、全てが絶妙で、塩塚モエカにしか出せない歌声のグルーヴを生み出す。
トドメは、<お手柔らかに>のフレーズの「ら」と「か」の音の発し方。
言葉にすると伝えづらいんだけど、はっきりと「ら」とか「か」と発音するのではなく、少し別の音を混ぜるような温度感で声を発するから、独特の艶やかさをもってメロディーが弾けていく。
そして、サビではこの3人の歌声が鮮やかに交錯して、多幸感のある景色を生み出すのである。
2番もスキがない
この3人のバトンも素晴らしかったが、2番を歌唱する田邊駿一→ムツムロアキラ→詩羽の流れも良い。
まず、ベースがぶりぶりのアレンジになった瞬間、顔を覗かせる田邊駿一のボーカルが良い。
1番とはちょっと空気を変えて、良い意味で酸味がするというか、変化を覚えるからこそこの6人でリレーしている意味と良さを覚えるのである。
そのうえで、全員、真っ直ぐで聴きやすい歌声をしているから、Superflyが生み出したメロディーとのシンクロ率高めで歌唱するのである。
あと、普段は熱めのロックソングを歌いがちな田邊駿一やムツムロアキラが、ザ・ポップスのような歌を温かさをもって溌剌と歌うのもいい。
それ以上に、ほぼ100%水曜日のカンパネラが<普通のポップス>を歌うことがないので、詩羽がここまでちゃんとした日本語を歌うというところにも、面白みを感じたりしてしまう。
まとめに替えて
振り返ってみると、こんなにも少しくすませたピンク色が似合うタイプの春のキャンペーンソングは、「春はグラデーション」が初めてだったのではないかと思っている。
ポップスとしてどこまでも真っ直ぐだし、とても爽やかで、だけど、6人が少しずつ違う色を足していくからこそのくすんだピンク。
かつ、6人のボーカルがきちんと見せ場を作りやすいような歌割りになっている気がして、そういうところも良いなーと思った次第。
あと、
サブスク全盛期時代の昨今。
どうしてもイントロは軽視されがちだが、ラジオで配信することを想定された「春はグラデーション」は、イントロからしっかりデザインされているのも良いよなーと思った次第。
歌が始まるまでの数十秒でしっかりワクワクを作って、Superflyが口火を切る感じなのが、この曲の良さをより引き出している。
そして、思う。
今年の春のキャンペーンソングも、期間限定でしか聴けないのが、勿体無さするぎるよな、と。
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