前説
別に僕が言葉にするまでもなく、あいみょんの「瞬間的シックスセンス」めっちゃ良かったと思うんですよ。
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どんな人にも安心して進められるアルバムだと思うんですよ。
もちろん、人によっては「俺の好きなあいみょんはこれじゃない」とか「あまりにも売れ過ぎていてちょっと冷めた」とか、そういう個人的な感情はあるかもしれない。
けれど、純粋にアルバムとして感想を述べるとき、こんなにもシンプルに「これ、いいよね」って言えるアルバムも珍しいんじゃないかなーと思うわけです。
で、せっかくなので、個人的にこのアルバムが良いと思う理由を述べてみようかなーと。
すごーくざっくりとした、感想みたいなものを述べてみようかなーと思った次第。
本編
歌詞が良い感じ
あくまでも僕の主観なのかもしれないけれど、フェスに出るアーティストって、歌詞で自分の主張、強くやりすぎる説、あると思うんですね。
例えば、これ。
俺のこと見てくれ、俺のメッセージ聴いてくれ、俺の!俺の!うあああああああ〜〜〜〜!!!感がすごく強いと思うのだ。
別にこれ、良いとか悪いとかではないんだけれど、でも、実態として、そういう要素が強すぎる人が多いというのは、あると思うのだ。
ワンオクであれ、UVERであれ、BUMPであれ、米津であれ、みーんな、歌詞における<自分の主張>が強め。米津くらいまでくるとバランスは取るけれど、やはり自分のパーソナルなものが見えがちで。
自分を見て欲しい、自分のメッセージを伝えたい、そういう自己承認の強めな歌詞になりがちなのだ。
で、そういう歌詞の最高峰がこの歌だと思っていて。
ちなみに、この歌に関してはブログにも書いたので、興味があれば読んでみてほしい。
あるいは、ヤバTみたいな直接的なメッセージからは、少し歌詞をずらすタイプのバンドだって、よくよくその歌詞を聞くと「自分の思い」を歌詞に入れ込みまくっている。
「かわE」のCメロなんて、まさしくそういう「伝えたいこと」を詰め込みまくっているわけで。
で。
そういう歌詞と比べた時のあいみょんのフラットさ。
マジ、エグいくらいにフラットだと思うのだ。
「満月の夜なら」然り「マリーゴールド」然り「ら、のはなし」然り「夢追いベンガル」然り、基本的にあいみょんの歌って、尖っている歌はあるにせよ、それは別に個人の主張ではないと思うのだ。
どちらかというと、描写であるというか。
音楽というものは本来であれば映像がないものなわけだけど、あいみょんは歌詞という言葉を使って作品を映像化していく。
つまり、あいみょんにとって、歌詞ってメッセージを伝えるための、自己表現するためのツールなのではなく、作品に色を加えていくキャンパスみたいなものなのかなーなんて感じるのだ。
より作品の解像度をあげるための、魔法として言葉を紡いでいるというか。
あいみょんの歌って、どこか小沢健二とかスピッツとか、そういうセンスを感じがちだけど、それはメロディーのセンスが90年代的であるというだけでなく、歌詞に対するそういうスタンス、「絵の見える言葉選び」が秀逸だからなんだろうなーと思っていて。
あいみょんは歌詞を通じて、「自分はこういう人間である」と伝えるのではなく、一つの物語を描くタイプの作詞家。
自分のパーソナルとはあまり関係のないことを、でもきちんと自分の感性に従って言葉を紡いでいるからこそ、他のアーティストにはない魅力を歌詞に感じるし、ひとつひとつのフレーズにグッとくるのかなーと思うのだ。
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サウンドメイクが秀逸
あいみょんの今作の良いところを一言で言い表すなら、「懐かしいのに新しい」というところだと思う。
90年代のJ-POPが持つ気持ちの良いメロディーを踏襲しつつも、サウンドメイクはバリバリ2010年代的という作品。
だからこそ、懐かしさと新しさを共存させる最強の作品となっているわけだ。
ほんと、平成の終わりにふさわしい作品だなーと思う。
何より、ロックからフォークソングまで、幅広いアレンジの楽曲が収録されているけれど、どんなタイプの歌も、どんなタイプの歌詞も、あいみょんはびっくりするほどナチュラルに歌いこなしてしまう。
これが、すごいなって。
だってさ、普段はパンクな歌ばっかり歌っている人が、急に音数少なめの静かな歌を歌ったら、ボーカルの「しょぼさ」が際立って、聴いてられない歌になること、けっこうあるじゃないですか?
東京スカパラダイスオーケストラとコラボしたら、急に個性が際立たなくなったボーカルなんて、いっぱいいるじゃないですか?
要は、それぞれのボーカルには「映えるサウンド」があって、その枠外で勝負すると微妙に聴こえること、けっこうあるよなーって話で。
でも、あいみょんって、そんなこと絶対にない。
どんなアレンジの歌も歌いこなし、どんなタイプの歌詞にも感情を吹き込んでしまう。
「マリーゴールド」のような切ない匂いのするラブソングを鮮やかに(声で)描写することもできるし、一方で、「夢追いベンガル」みたいなタイプの歌に魂を込めてみせることもできる。
さらっとやっているからピンとこないかもしれないけれど、これってすごいことだと思うのだ。
ほんとさ、あいみょんだったら、仮にホルモンみたいなサウンドだろうが、KOHHみたいなトラックだろうが、さらっと歌いこなしてみせて、音と言葉の世界を鮮やかに表現してみせて、一つの物語として新たな解釈を生み出すんだろうなーって思うのだ。
まるで魔法使いのように。
音楽世界を変えてみせる力を持っているよなーって思うのだ。
まとめ
一言で言えば、他のアーティストでは感じないような才能をビンビンと感じさせるから、あいみょんってすごいなーって話だし、2015年から色んなことに全力でチャレンジして、試行錯誤してきたあいみょんだからこそ、たどり着いた境地なんだろうなーと思うわけだ。
歌の表現力なんて、べらぼうに上がってるしね。
というわけで、間違いなく名盤の「瞬間的シックスセンス」。
まだ聴いてない人はぜひ聴いてみてほしい。
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