Number_iの「未確認領域」の話。歌詞、ボーカル、そして高揚感の考察
序章
新曲がリリースされるたびに驚かされるのが、Number_iの楽曲。
今まで体験したことがなかったタイプの音楽体験を、圧倒的なレベル感で提供してくれるから、毎回ゾクゾクする。
「未確認領域」においても、そういうゾクゾクの音楽体験を与えてくれる。
ヒップホップ的でもあり、ポップスとしてのエッセンスも残しながら、明確に音楽的な挑戦を行っているような、そんな面白さがある。
Number_iは、2023年の結成以来、常に音楽の境界線を越える挑戦を続けてきたが、またそれを更新しようとしている。
メンバー全員が卓越した技術を持ちながらも、個人の魅力を活かしたグループだからこそできる、旋風の巻き起こし方をこの楽曲でも体感したのだ。
本編
メロディやサウンドの話
イントロはどちらかというと、華やかな感じで始まる。
甘い感じのメロディーやボーカルと接続しても良さそうな雰囲気もある。
でも、ボーカルが合流すると、イントロから想像できる世界とは異なる体験に誘われる。
この音の変化こそが、Number_iの音楽の特徴だ。
一つの楽曲の中で、複数の音楽ジャンルを自然に融合させ、予想外の展開に送り届けてくれる。
音の組み合わせの妙
音の鳴り方と音の組み合わせ方、そこにいるボーカルの存在感のどれもがNumber_iだからこそ。
このサウンドに、このボーカル!!!???
新しい!!!!
でも、これ、めちゃくいいぞ!しかも、かっこいい!!
そういうことの連続なのだ。
そんな感触の中で強いて言葉にするならば、日本語歌詞が軸なのに、英語の楽曲のような自由さがある感じがする。
というのも、日本語歌詞には日本語歌詞の良さがある。
けれど、どうしても英語歌詞にしかないリズム感とかビート感って宿りがちで、いわゆるJ-POPではそこを脇においていることがよくある。
でも、「未確認領域」って、日本語歌詞でありながら、英語歌詞にある魅力を一つも取りこぼしていない豊かさがあるのだ。
それはこのサウンドに、この卓越したボーカルあるいはラップがあるからだなーと感じる。
何より、Number_iだからこその表現力の素晴らしさがあるからこそだと思う。
多様なボーカルアプローチ
ボーカルの変化も楽しい。
ここぞのパートでのボーカルの重ね方。
冒頭から鳥肌を立たせる絶妙な低音域の使い方。
ここぞで見せる「ドス」を効かせたボーカル
あるいはスリリングな節回し。
サビ前でみせる、空間を自由に踊るようなクリーンなフロウ。
などなどなど。
最終的にはサビの高揚感を集約するんだけど、その高揚感を味わい方も、普遍的な歌物とは異なるドキドキがある。
Number_iのメンバーそれぞれが独自のボーカルスタイルを持ちながらも、グループとしての統一感を保っている。
そのため、味わうことができるリスニング体験なのだと思う。
日本語と英語の境界を越える表現
先ほど日本語歌詞の話をしたけど、そもそもとして、このうた、日本語で歌う意味合いって大きいなあと思っていて。
なぜなら、日本語でストレートに言葉を紡ぐからこそ、等身大のメッセージが際立っている。
しかも、歌の中のメッセージ性がパフォーマンスと合わさって、克明に響くのだ。
まさにこの歌そのものが未確認領域であると言わんばかりに。
故に、この歌で歌われるメッセージにダイレクトにリンクしていき、最終的には音楽世界も歌のメッセージも我々のテンションもFLYしていって、唯一性のある高揚感と繋がることになる。
「未確認領域」というタイトルが示すように、この楽曲は音楽的な挑戦とメッセージ性の両面で、新しい領域に踏み込んでいるんだろうなーとは思うしね。
まとめに替えて
様々な音楽を参照しているし、色んなエッセンスが打ち込まれているから、カオスになってもおかしくない雰囲気がある。
でも、最終的にはそれを圧倒的な美に着地させていく凄まじさがある。
それは色んな展開を見せるサウンドもボーカルも明確な基準に沿って構築されているからだと思うし、圧倒的な技術でパフォーマンスをしているからだと思う。
繊細とオラオラのバランスを絶妙に行き来しながら、螺旋階段を登るような最終的には唯一性のある高揚感に行きつく。
そんな体験、他の音楽ではなかなかに感じられない。
そういう意味で、この歌がたどり着く境地こそが未確認領域だよなーと思うし、大きなスケールの歌詞が地に足ついているのは、Number_iが歌うからこそ。
やっぱりこのグループ、凄いなあと思う。