Number_iの「ICE」に胸がときめく瞬間の話
最近、仕事に時間を割いていて、なかなかブログを執筆する時間がなくて、記事にして感想を書きたいと思う新譜もスルーしちゃっている実情。
どこかのタイミングで記事にできればと思いつつ、聴き込みたい音楽も、読みたい本も、観たい映画も、視聴したいアニメも、どんどん積んでいく一方。
一日の時間が72時間くらいあったらなあ・・・。
一日の睡眠は1時間くらいで事足りる体内構造だったらなあ・・・。
なあ〜んてことを思うんだけど、非現実的な望みを頭に描いても仕方がない。
ところで、そんな中でもこれだけは時間を作って記事にしないとと思う楽曲もいくつかあって、たった今、リピートしている楽曲も、そういう温度感のものだったりする。
それが、Number_iの「ICE」。
いやね、2024年の音楽シーンを振りかえっていく中で、今年新たに衝撃が走ったアーティストの名前を挙げるなら、Number_iを外せない自分がいるのだ。
全ての要素をフラットにしてみたとき、Number_iが与えている音楽的なインパクトは相当なものだと思うから。
この記事ではそんな話をしてみたい。
Number_iの歌の魅力
まず、どの要素に分けても、Number_iの音楽はスキがない。
その中でも、歌の魅力を細分化すると、
音程の安定感
音域の広さ
リズムの乗りこなし
ボーカルとしての迫力
上記のようにいくつもの要素に分解できると思うんだけど、「ICE」を聴くと、それらのどの要素にもスキがないことがわかる。
短い尺の中でメロディーを詰め込むアプローチも、ロングトーンでメロディーを伸ばす歌いこなしもクールかつホッとなのだ。
歌の中には妖艶さもあるし、熱さもある。
故に、心地よくて興奮する・・・そんな歌の世界観に誘われる。
その上で、自分的にNumber_iのボーカルに一番惹かれるのは、リズムの乗りこなし方なのだ。
例えるなら、ボーカルそのものが激しいダンスをしているような心地を覚えるのだ。
アーティストによっては、ボーカルはメロディーをなぞるものとして際立っているケースもある中で、Number_iの歌は明確にリズムという土台の居座っており、その佇まいが素晴らしい。
だからこそ、ボーカルでもラップでも変わることのない気持ちよさを歌の中で体感できるし、「ICE」のようなタイプの歌がどこまでも映えるのだ。
Number_iの歌って、わかりやすく口ずさむタイプというよりは、歌の中に宿るリズムと呼応していく気持ちよさがあるように思っていて。
そういう気持ちよさが炸裂するのは、Number_iのそれぞれのボーカルが、ボーカルを通じてリズムを完璧にのりこなしているから。
そんな風に感じる。
しかも、ライブではボーカルのみならず、ダンスという視覚的な情報でもリズムを乗りこなし、を表現する。
そこから生み出す圧倒的な高揚感を提示するものだから、そりゃあNumber_iの音楽にスキがないよなーと思ったりもする。
「ICE」という楽曲の魅力
その上で、「ICE」という楽曲だからこその魅力は何なのか、もう少し深ぼっていきたい。。
この歌、そこまでわかりやすい展開がある楽曲ではない。
近年は米津玄師の「KICK BACK」やYOASOBIの「アイドル」のような、目まぐるしく展開が変わる楽曲が、日本のメインストリームで際立つ印象がある。
そういった楽曲に比べると、Number_iの「ICE」って、大人しい印象を受ける。
というよりも、「KICK BACK」や「アイドル」もリズムの変化がひとつの魅力になっている楽曲だが、Number_iの「ICE」ってそれらの楽曲とはまったく違うフックを忍ばせており、個性がまったく異なる。
そして、メインストリームを見回しても、「ICE」の持つ個性って異質だ。
その異質さを分解すると、楽曲の持つ妥協のないリズムアプローチの興奮を音楽に落とし込んでいる印象を受ける。
「ICE」って、変化球をどんどん投げるというよりは、聴かせる部分はしっかり聴かせる構成になっている。
故に楽曲の持つクールな部分がダイレクトに伝わる構成になっているけれど、そういう構成だからこそ、Number_iの持つポテンシャルの凄まじさが伝わる。
飛び道具じゃない。
持っている技術そのものの凄まじさが伝わってくる感じなのだ。
クールなテイストのこの楽曲で、熱さや興奮もびしばしに伝わってくることを考えると、Number_iのボーカルの凄まじさが納得できるというもの。
もっと言えば、いわゆるサビの部分も低音のボーカルをベースにして、ハイトーンなパートはコーラスに譲っている構成なのも、絶妙だ。
日本の音楽シーンの場合、サビ=もっともキーが高くなる、という構図がわりとベタであり、その構成が楽曲の持つドラマチックさを際立たせるわけだけど、Number_iの「ICE」はそういう”構造としての手法”で魅せる展開にはならない。
もちろん、楽曲の美学が際立つ構造の上手さもあるわけだけど、ドラマ性とは異なる展開でありながら、楽曲が進みにつれてグイグイ引き込ませているのは、紛れもなくボーカルの力だ。
なお、この歌はいろんなタイプの声がひとつのフレーズの中に聴こえるようになっているが、それも良い。
それぞれの声のバランスが素晴らしく、それぞれの歌声が役割の中で最大限の輝きを放っている。
その要もまた、楽曲世界に秀逸に引き込むうねりを生み出している。
まとめに代えて
・・・という話を書いてみたけど、もし楽曲を聴いていない人がいれば、ひとまず聴いてみてほしい。
あ、確かにこのボーカル、スキがないなあ・・・ときっと感じることになると思うから。
そして、改めて、ここからNumber_iが描く音楽世界に胸をときめかせずにはいられない自分がいるのだった。