Number_iの「BON」、歌詞もボーカルもダンスも全てが鋭い感

Number_iの「BON」が良かったので、その感想を書いていきたい。

その上で、もし楽曲をまだ聴いてない人がいては、いけないので、まずは楽曲のリンクを貼ってみるので、ぜひ一度作品を聴いてみてほしい。

これまでの楽曲もそうだったけど、Number_iはリズムの乗りこなし方がピカイチだ。

いわゆるポップスって、リズムの構造はわりとシンプルにして、歌を聴かせるような構造で楽曲を紡ぐ。

でも、Number_iの楽曲って音楽のリズムの魅力を存分に味合わせてくれるように楽曲を展開していく。

上半身でのるリズムというよりも、下半身でのりたくなるようなリズムアプローチというか。

Number_iの音楽的にある種のワールドワイドなエッセンスを覚えるのは、こういうリズムアプローチのスキのなさにあるように思うし、Number_iのメンバーだからこそ到達できた切れ味鋭いアプローチなのだと思う。

そういう意味でも、Number_iの音楽って、確かに”世界”に目配せをした音楽だといえると思う。

その一方で、Number_iの音楽ってそこには留まらない面白さがある。

というのも、世界に照準を当てた音楽って、世にあるたくさんの音楽に目配せしたら、いくつも見つけることができるように感じるけれど、そういう音楽って比べてもなお、Number_iの音楽って、独自性が光っているように思う。

安易にカテゴライズできない強度がある、という言い方が正しいのかもしれないけれど、Number_iが生み出す音楽には、いつもそういう「彼ららしい魅力」が弾けている。

「BON」を聴いても、そういう要素をびしびしと感じる。

その根源って具体的にどういうものなのだろうか?

自分なりの言葉で噛み砕くのであれば、Number_iの音楽って世界が視点にありながらも、その出発点に良い意味で「日本」の視点を感じる気がするのだ。

「BON」で言えば、

・日本語も英語も言語の種類に関係なく、のりこなしたいリズムをどんどんのりこなしていく爽快感がある

・「盆踊り」「盆栽」をはじめ、日本の楽曲的な視点を歌の中に放り込んでいる

・パートごとに変幻自在に変化していくリズムや、アレンジの音色の中に、ふいに和のテイストを忍ばせている

・「FUJI」なんかでもそういう要素を感じていたけれど、「BON」でもそういう雰囲気がどことなく楽曲の中で漂っている。

日本の音楽だからこそのエッセンスとワールドワイドな音楽のエッセンスを掛け合わせるって、言葉にすると簡単になるけど、表現する側の視点でみると、難しいと思うし、聴く人がこれまでどういう音楽を聴いてきたのかによって、捉え方が変わるものだとは思う。

でも、いわゆるJ-POPを聴いてきた大人になり、そのあとから海外の音楽も聴くようになった自分にとって、Number_iが生み出すこのバランス感覚って絶妙に感じるし、どの軸足で聴いてみても高いレベルで成立させているので、「すげえ・・・」という感想に行き着くのだ。

「BON」においては、冒頭で高速なフロウで、スタイリッシュかつスリリングな空気を作り出す。すると、テンポに揺らぎを生み出したタイミングで、クールかつ情熱的なボーカルのパートを差し込み、ふいに妖艶な空気も作り出すのも見事。

かと思えば、bonというフレーズの連続で、楽曲をリズミカルに魅せる展開も用意する。このフェーズまで入ると、音楽的なリズムの面白さでがっと心をつかんでいく。

まるでルービックキューブのように、音楽ってこういう面白さもあるんだぜ!を多面的かつ色んな色合いで魅せていく。

そうこうしていると、音楽的な中毒性に誘われることになる。スキがない表現力だからこそ、感じることができる興奮である。

まとめに代えて

ということで、今回は「BON」を起点にしながら、これまで感じてきたNumber_iの魅力を総括するような言葉を書き記してみた。

今年は夏フェスへの出演も決まっており、より色んな「層」に生の音楽を届けるのだろうなと思う。

そこからどんなスパイラルを生み出すのか、今から楽しみだなーと勝手ながらに思う、そんな夜。

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