SixTONESの「BOYZ」の話
ロック色の強いSixTONESのナンバーが好物の自分にとって、「BOYZ」の刺さり具合がえぐかった。
どれくらいえぐかったかって?
普段の刺さり具合が100だとしたら、「BOYZ」の刺さり具合は200。それくらいの幅。
あえて例えるならば、はじめてサーティワンアイスクリーンのホッピングシャワーを食べたときのような衝撃。
アイスクリームってだけで上手いと思っていた子どもの頃。
実際、それまでのアイスだって、上手くてなんぼでも食べられると思っていた。
でも、その出会いによって、これまでの常識は打ち砕かれる。
それまでの上手いはまだ100の世界だった。
その出会いによって、上手いは200も300もあることを知る。
そういう常識を破壊するような「上手い」があることに気づいた瞬間。それがホッピングシャワーとの出会い。
アイスに対するそれまでの期待値を破壊して、アイスの上手いのヒエラルキーを新たに作り出した、そういう革命。
・・・話が逸れた。
自分にとってのSixTONESの「BOYZ」には、そういう破壊力があったのだ。
SixTONESの「BOYZ」の破壊力の考察
SixTONESの楽曲はどれも好きだし、毎回のようにハマっている。
でも、ロック色が強くて、なんならライブ映えしそうなラウド色が強い今作においての「好き」の濃度は、また一味違う。
実際、SixTONESのボーカルって、こういうロック色が強くて、激しい歌がとてもマッチしていると思う。
単純に似合うのだ。
しゅっとしたスタイルにスーツスタイルがハマる、みたいな感覚。
なんせ、SixTONESの6人の歌声は、激しいサウンドに負けないパワフルさがある。
しかも、音と音がぶつからない地点で、ボーカルがメロディーを紡いでいるのだ。
そんなことを思う。
ここについて、もう少し補足をしたい。
例えば、タイプはまったく違うけれど、TK from 凛として時雨。
彼の歌も、激しいサウンドだけど、ボーカルがつーんと届く凄まじさがある。
これは、サウンドとボーカルが違う地点で音を響かせているからだ。
だから、音がぶつからず、激しいサウンドの中でもすとーんとボーカルが届くのだ。
タイプや地表はまったく違うけれど、SixTONESのボーカルもまた、それに似た魅力がある。
「激しいサウンドに余計な衝突をせずに、まっすぐに耳にボーカルが届く」高揚感があるというか。
「BOYZ」はイントロのリフを聴くだけでもゴリゴリで激しいことが、嫌というほどにわかる。
でも、どれだけギターやドラムが荒ぶろうとも、ボーカルはボーカルとしてエネルギーを解き放って、歌の世界を作り上げるのだ。
時にハイトーンに、時にエッジを効かせながら、メロディーを紡ぐ。
あと、聴いていて感じたのが、「BOYZ」、激しいのに、変に「うるさく感じない」ということ。
これも、サウンドとボーカルの戯れ方が絶妙だからこそ感じることだと思う。
さらに、「BOYZ」が特徴的だなーと思うのは、その装い。
というのも、ラウド色が強いボーカルグループの楽曲は世の中にもたくさんあるけれど、そういう楽曲って、「ラウド色がある」に留まっていることが多く、楽曲としては意図的にきちんとボーカルも届くような配慮のあるサウンドになっていることが多い。
例えば、ギターはゴリゴリだけど、打楽器の音は打ち込みベースにして、バランスを取っているとか。
音全体のバランスを整えて、ロック色を出しながら、ポップの部分にも上手く着地させているケースがある。
でも、「BOYZ」は違う。
かなり真っ向からサウンドも攻めている印象なのだ。
ラウド的であることに妥協しない感じ。
あえて言えば、ボーカル VS サウンドの攻防の中で、メラメラとしたものをギラつかせる高揚感がある。
だからこそ、サビのボーカルで展開する、今作だからこそのオラオラ感がどこまでも際立つ。
お膳立てはしない。サウンドはサウンドでかっこいいを貫くぜ。
そういう音の運びの中で、こっちだって負けねえぞと言わんばかりの迫力で、ボーカルが展開を作る。
この”VS”な感じは、「BOYZ」だからこその魅力であるように感じるし、そういう展開の中でどんどん興奮をドライブさせるのはSixTONESだからこその魅せ方である。
SixTONESって不思議なグループだ。
全体の話でいえば、比較的ジェシーや京本大我がボーカルの軸を担うケースが多い。今作でも素晴らしいボーカルを披露する。
でも、SixTONESって、別にこの二人「だけ」のボーカルが際立っているわけではない。6人がいつ歌の中で主役をとってもいい隙のなさがある。
田中樹のドープなラップがあって、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎のそれぞれのボーカルが際立っていて、ほんと、全パートに隙がないのだ。
特にこのパートが好きという好みはあるにしても、全体のまとまりがえげつない。
こういう輝きの放ち方をするのも、SixTONESだからこそだよなーと感じる。
六角形のパラメータがあるとして、歌の中でそのパラメータが変動するとして、どのパートも6つの形に等しいままに、その六角形の色合いだけが変わっていくような感じがするというか。
ある意味でアニメ主題歌然とした破壊力
あと、今作はTVアニメの主題歌ということもあって、サビでは特有のキャッチーさを持ち合わせながら歌を展開させている。
だから、歌そのものの中毒性がやばい。
メロディーだけでもおかわりが何度もできる。
それくらいに歌そのものの魅力が半端ない。
あと良い意味でアニソンの枠を自由に泳いでいるのがいいなーと思った。
というのも、この歌、ギターソロが激しい。
そして、キャッチーなサビ+本気度MAXのギターソロって、ある種アニソン特有の魅せ方であるよなーと思っている自分がいる。
なんというか、「めざせポケモンマスター」とか「アンパンマンたいそう」のような王道的なアニソンって、がやの部分はアニソンらしいフォーマットを構成しつつ、サウンドではどこまでも妥協のなさを展開することがある。
このキャッチー + ガチガチのサウンドのフォーマットに、自分的にある種のアニソンだからこそ覚えており、SixTONESの「BOYZ」もまた、そういう魅力を覚える自分がいたのだった。
アニメ主題歌だからこそできる自由を、歌の中で容赦なく昇華させている高揚感を覚えたのだった。
まとめに替えて
なんせ、今はイントロや間奏は不要だなんて言われているご時世だ。
なのに、これほどまでにサウンドでギラギラさせて、ボーカルがきっちりとそのギラギラを超える感じなの、色んな意味で規格外だし、かっこいい。
サブスクやSNSで普及することを別に優先的にしていたわけではなく、もっと違うところで切磋琢磨してきたアーティストだからこその完成形でもあるよなーと感じる。
つくづく、サブスクを解禁してもなお、他のアーティストにはないアーティスト性を炸裂させている。
そんなことを「BOYZ」を聴きながら、実感している、そんな次第。