復活の報が流れてから、「俺はエルレがこんなに好きなんだ!待ってたぜ!」っていう微笑ましい文章がたくさん生まれた。そして、そういう文章をたくさん読んだ。

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いや、泣ける。ほんと泣ける。

御多分に漏れず、僕もエルレのブイブイ期と中学〜高校の思春期が大被りしているので、大方のアラサーと同様、ただただ「嬉しい!」って気持ちが強い今。

ただ、外野からすれば、何でお前らはそんなにエルレが好きなんだ?と思う人もいるはず。

青春時代にグッときたバンドだからこそ、エルレは良いと思うのだろうか?ただの思い出補正だからグッとくるのだろうか?

そうなのかもしれないし、そうじゃない部分もあるのかもしれない。

そこで「なぜ人はエルレを聴くとワクワクするのか?」ということを言語化していきたい。

*ここから細美というワードがたくさん出るが、彼はエルレのギターボーカルである。知らない人のために念のためここで補足。

1.メロディー

ここでわざわざ述べるまでもないだろうが、エルレの楽曲はメロディーが良い。

アルバムのどこをどう切っても神曲しかない。

しかも、このメロディーの良さって、バンドサウンドだから成り立っているようなものじゃなくて、例えばアコギの弾き語りで披露しても、色褪せない良さなのだ。

現に、エルレの楽曲はそんなに速い楽曲はない。

確かにライブが始まれば、死ぬほどダイバーが出てくるだろうし、気持ち良くダイブできるように、ほとんどの楽曲のサビ前にはきちんとブレイクを作っている。

ブレイクを作るために、細美はサビの頭の拍は歌わない感もあるし。

あと、Aメロ〜Bメロ内も、ギターの奏法にアルペジオ→パワーコードとか、ミュート→開放弦なんかの変化をつけることで、緩急をつけて、全体の勢いを変えたりする。

けれど、どの歌も根本はメロディーにあるし、メロディーがより良くなるようにバンドサウンドを構築している。

細美が作ったメロディーに対して、どのように楽器を鳴らせばより気持ちよいものになるのか?そういう観点でバンドサウンドが出来上がっていく感じ。

あと、メロディーをより気持ち良く届けるうえで、コーラスが果たしてる役割も大きい。

ハイスタであれモンパチであれオレンジレンジであれWANIMAであれ、キャッチーなメロディーを武器としているバンドは、それ以上に印象に残るハモりを行っており、それによりメロディーのキャッチーさが際立っている。

エルレはツインボーカルという体裁はとっていないが、この「ハモり」が果たしている役割は大きく、これにより、メロディーの強さが際立っている楽曲はとても多い。

あと、エルレのサビは基本同じモチーフを3〜4回繰り返す。

これを実行するからこそ覚えやすく、口ずさみすいメロディーが生まれている。

2.シンプルだけど、妥協なき演奏

一度でもエルレをバンドでコピーしたことがある人ならわかると思うけれど、エルレのコピーってその辺のバンドに比べるとすごく簡単だ。

使ってるコードはシンプルだし、複雑な指の動きを要することもなければ、ドラムのリズム割りもシンプルである。

誰でも簡単にコピーできるからこそ、エルレの曲が自身で初めてコピーした曲です、って人も多い。

ギターは多少高速アルペジオを要することもあるけど、2018年現在、あれくらいのスピードなら「速くない」と感じる人だって多いと思う。

昨今の若手は本当に細かい所までフックを作ったりしているので、今聴けばなおのことそのシンプルさが際立つ。

ただ、シンプルで簡単だからこそ「大したことない」のかと言えば、そんなことはない。

むしろ、その気になれば楽器初心者ですら簡単にコピーできるエルレ楽曲って、どれだけ真似をしても本家にはたどり着けない境地がある。

楽器って、バンドって、技術だけじゃないんだ。そんなことを痛感する。

まあ、楽器ごとの細かい工夫はたくさんあるんだけどね。

例えば、ドラムは基本シンプルだが、サビに強さが強さが欲しい曲であれば、メロに対してサビのテンポを倍速にして疾走感を生み出す。

「supernova」なんかはその典型だ。

先ほど述べた同じサビのモチーフの3回繰り返すって話に寄せると、この歌は3回目のタイミングで、一回ドラムのテンポを緩めている。

これがすごくエルレらしい。

勢いに身を任せて音を鳴らすんじゃなくて、緩急をつけてメロディーを大事にする姿勢がすごくエルレっぽいのだ。

前述の項でも述べたが、エルレはメロ内にもサビ内にも「落とすところ」と「キメるところ」を作っていることが多く、これはその一例なわけだ。

ギターも基本シンプルだ。

音を歪めせたオクターブ奏法メインでのバッキングと、ブリッジミュートでのバッキングと、ギターの歪みを弱めたうえでの流れるようなアルペジオ。

基本はこの三つを上手に使い分け、音の静と動を作り上げる。

これにより、メロディーを引き立たせつつも「落とすところ」と「キメるところ」を際立たせ、楽曲全体にヒリヒリした感じを生み出すのだ。

もう少し追記するなら、細美がコードを弾き、ウブ(エルレのギター担当)がアルペジオ弾く、みたいなツインのギターの重ね方もすごく綺麗だったりする。

ほんとサウンドにおけるエレルの魅力はウブにあると言っても過言ではなくて、彼はエレキギターとアンプの相性を皮膚感覚で承知いるんじゃないかというレベル。

聴けば、わかると思うけど、ギターの音そのものがかっこいいでしょ?ミュートしている時の「ドュドュドュ」って音がもうヒリヒリするでしょ?グリッサンドを使って弦に指が擦れた時の音感とか、ラストサビが終わりのギターの余韻とか、そんな様々含めて、ほんと色々ヤバイでしょ?いや、ほんとヤバイんですよ。

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え?ベース?

ベースはルート音に徹するシンプルなリズム隊という感じで、秀でるところは特にないんだけれど、だからこそ、ギターの良さが際立つ仕組み。

いや、ほんとはベースの高田氏って敬意を払うレベルの人なんですよ。ただ、ベーシストとしてよりもドルヲタとしての方が強いというだけの話で。

まあ、冗談はさておき、きちんと各楽器隊が己の役割のなかでベストなパフォーマンスを図るからこそ、エルレのサウンドってカッコ良いわけだ。

確かに東京事変みたいな技術的な難しさはない。だからコピー自体はわりと簡単だ。

けれど、それは技術がないから簡単なことしかしていないわけじゃなくて、あくまでも大事にしているところが別にあるという話で。

自分たちの経験と感性と勘で見つけた「気持ち良さ」に対して、どのまでも正直に音に落とし込むからこそ、すごくシンプルでストレートな形で「カッコイイ」が表現されるわけである。

3.細美の声と発音

比較したら怒られるかもだけど、例えばハイスタ。

ハイスタはどう贔屓目にみても楽曲における英語の発音はダメダメだった。

MONGOL800も10-FEETもハワイアンもビークルも、やっぱり英語の発音においては、日本語なまり感が否めない。

けれど、細美は海外にビューンとしていた時期があった故、英語の発音が一般的な「日本人のそれ」とは大きく違っていた。(もちろん、洋楽と比べるとまた違うんだろうけど、少なくとも当時キッズであった僕たちからすれば、十分凄さを感じた)

なにより、発音そのものというより、英語をメロディに載せることそのものが上手かった。

あと、細美は何が何でも英詞で!というわけではなく、日本語と英語を使い分けており、誰よりも、メロディーと言葉とその載せ方に対して意識的だった気もする。

あと、声。

フォーリミのGENも、綺麗なハイトーンボイスだから女の子に受けた。

細美にも、そういう要素があった。

細美の声ってすごく綺麗だし、ハイトーンで伸びやかで、表情豊かで、だから、ああいうジャンルに音楽をやっても「ヤンキー性」を宿しつつも独特の爽快感が生まれたのかなーと。

しかも、日本語歌詞は「孤独を背負ってるせつな系男子感」が強くて、そういうところもエルレを孤高の存在にしていた。

実際、細美はわりとボッチで、学校内でもほとんど友達がいなかったらしい。

だから、嘘をつくことなく生きてきたため、大人になってから見栄を張って嘘をつく人がいることを知ってびっくりした、なんて嘘みたいなエピソードもある。

あと、細美は夢を挫折して、その果てに音楽やったような人で、昔は自分の昔夢見ていた職業がテレビ番組が放送されていたら悔しくて、その番組を消してしまうような人だったらしい。

そもそもエルレ活休前の2007年くらいは、細美はプレッシャーで死にそうになっていたなんて話もあるし。(後のインタビューであのまま活動していたらカート・コバーンになっていたかもしれないなんて話もしている)

要は、エルレ期の細美って、今の色んな若手バンドと同じように、心に弱さをたくさん抱えていたし、それを歌に落とし込んで表現している部分もあったということ。

今でこそ、細美は太陽のような人だけど、エルレ期の細美は色々と背負っており、そういう闇の部分もエルレの音楽に反映されていたからこそ、より多くの人の心にグッときたのかなーと。

まとめ

知らない人も知っている人も、エルレはぜひ聴いてほしい。

今の20代のバンドマンでエルレに一切影響を受けてないバンドなんて皆無だと思うから。

エルレの音楽の魅力って、聴き手の心の中にある「ヤンキー性」が炙られてしまい、抑えきれない衝動を爆発させてしまうところにある。

聴けば、感じる部分はあるはずだ。

ぜひこのタイミングに、どうぞということで。

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