前説
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いやーね、この記事を書くにあたって久しぶりに聴きましたよ、the HIATUS。
アート的な要素もあるのにカッコよさも兼ね備えた最強のこのバンド。
僕は大好きなんですけど、久しぶりに聴き込んでみて、改めて思いましたね。
いや、これ、エルレファンに勧めるの無理だわ。
まあ、この言い方は少し語弊があるかもしれないので、もう少し付け加えるとすれば、エルレ・モノアイズと、ハイエイタスって全然違うバンドなんですよ。
マジで共通点ってボーカルが一緒なところだけ。
それ以外はまったくの別物、完全別バンド。
だから、ボーカルが同じという理由だけで、前述の3つのバンドを一つにまとめて語るのはあまりにもヤンキーだよねーという話。
だってさ、普段マクドナルドとかをバクバク食ってる外国人にさ、いきなり、同じ小麦粉から生まれたもんだから、これも食えよって言って、薄味のうどんを食わせるようなもんですよ、これ。
そりゃあ両方とも美味しいし、それぞれの良さがあるよなーと思う。
けれど、テリヤキマックバーガーとコカコーラ中毒みたいなやつが、いきなり薄味のうどん食うのってけっこうハードル高いと思うんですよ。
小麦粉が原点の食い物っていう共通点以外はまったく別物の食い物を一緒くたにして「食え」と勧めてみたところで、絶対にその外国人、発狂すると思うんですよ。
「オ〜ノ〜、こんなもん食いもんじゃアリマセン!!ジャパニーズデストロイっ!!!」とか何とか言って、のたうち回ると思うんですよ。
だから、あえて言います。
ボーカルが同じだからと、モノアイズファンに安易にハイエイタスを勧めるのは、ダメゼッタイ。
エルレ・モノアイズと、ハイエイタスは全く別のバンドというのは前提としておくべき事項だと思うんです。
本編
細美武士の物語
とはいえ、細美武士のバンド歴史して、前述のバンドたちを振り返ってみると、エルレとハイエイタスは地続きの関係にあったんだろうなーというのはすごく感じることだったりする。
それは、初期のハイエイタスがエルレのことを歌っているように思う歌詞が散見される、というだけの話ではなくて、音楽的な部分でもそういう要素を感じてしまうのだ。
もちろん僕は細美本人ではないので、あまり断定したことは言えないけれど、エルレを始めた頃の細美って、きっと音楽が楽しいから音楽をやるんだ!みたいなメンタリティーだったのではないかと思うのだ。
仲間と笑いながら好きな音楽をやる、そういうのが原点にあったのではないだろうか?と思うのだ。
しかし、キャリアを重ねていく上で、音に対してどんどんストイックになっていく。
エルレの活動休止前にリリースされた最後のオリジナルアルバム「ELEVEN FIRE CRACKERS」は、完成度がとても高いアルバムだ。
レコーディングも相当ストイックだったのではないかと想像される。
で、音に対してストイックになっていった結果、バンドはどんどん張り詰めた空気になってしまう。
実際、アルバム制作中に生まれたメンバー間でのモチベーションの差が、長い活動休止の大きな原因になってしまったと語られている。
そう。ここで言いたいのは、細美武士はキャリアを積んでいくなかで、音楽に対してどんどんストイックになってきたのだろうなあーということ。
そして、その「音楽に対するストイック」を満足いくまでアウトプットする必要があったからこそ、ハイエイタスというバンドが生まれたのだろうということ。
人が満足する作品ではなく、自分が満足いく作品を作りたいと細美武士は事あるごとにインタビューで語っている。
ハイエイタスは細美武士が持つ音楽へのストイックを限界まで高めたバンドなんだろうなーと思うわけだ。
そのストイックさはエルレというバンドがあったからこそ、生まれたものなんだろうなーと思うわけだ。
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ハイタイエスの魅力
さて、そろそろ本題に入ろう。
ハイエイタスの魅力について、だ。
個人的には、ハイエイタスの魅力を語る上で、重要な軸が二つあるように思う。
ひとつは、細美武士がやっているバンド、として捉えた時の魅力。
エルレ・モノアイズにはない魅力に満ち溢れたハイタイエスは、上記2組のバンドでは見ることができない細美武士の魅力を見ることができる。
こんなにも楽曲の引き出しがあったのかとアルバムを聴くたびに驚かされるし、精通している音楽の広さにも驚きを覚える。
ハイエイタスの音楽を簡単に言葉にするならば、細美武士が影響を受けた90年代のオルタナティブロックがベースとしてある。
そこに、ポストロック、エレクトロニカ、テクノ、ドリームポップ、ポストチルウェイブなどなど、あらゆる音楽ジャンルを組み合わせた、唯一無二のサウンドを構築していく。
こういう技巧派の音をバックにした細美さんの歌が聴ける、という視点での楽しみ方があるわけだ。
あと、芸術的な要素が強いので、歌い方もエルレやモノアイズとは違うことが多い。
独特の表現力で歌うことが多くて、歌い方の広さにも魅力が強く出ている。
まさしく、普段は見ることができない細美武士の魅力が溢れているわけだ。
で、もう一つの軸となるは、そういうことを抜きにして、シンプルにハイエイタスというバンドそのものとして捉えた時の魅力である。
このバンド、聴けばわかるが、超技巧派なわけだ。
どの演奏隊も実力が半端ない。
ここでいちいちメンバー紹介はしないが、名だたる一流の演奏隊が参加していることがわかる。
その一流の演奏家が一流の演奏を披露しているわけで、そりゃあ普通にバンドとしてみたときの圧巻さ、ヤバイわーってなるでしょうよ。
いや、マジでそれぞれの楽器が織りなす重厚なアンサンブルと、ポリリズムな要素の強いリズムアプローチはこのバンドならではの魅力だ。
実験性、アート性どちらの方角から見ても、強い強度を持ったサウンドを鳴らしているこのバンドは、単なる「細美バンド」という枠組みでは捉えない、バンドとしての凄まじさがあるわけだ。
最近の流行りの音楽はありきたりだよねーという人ほど、ぜひハイエイタスの音楽に一度触れてみてほしい。
その音楽性の幅広さにぶったまげると思うから。
まとめ
個人的には、ハイエイタスを細美武士がやっているバンドの一つ、という捉え方だけに留めるのはあまりに勿体ないと思う。
もちろん、ハイエイタスに触れるきっかけは細美武士でいいと思う。
でも、ハイエイタスで味わえる音楽体験は、ハイエイタスでしか味わうことができない。
細美武士は良い音楽の条件として「踊れる」、「メロディーがはっきりしている」、「サウンドがかっこいい」の三要素が重要と、何かしらのインタビューで述べていたような気がするが、このバンドはその三要素を極限的なレベルまで極めている。
確かにエルレやモノアイズとは魅力が違いすぎる。
でも、違いすぎるからこそ、聴いた時の衝撃が半端ないのだ。
なんか敷居が高くて今までちゃんと聴いたことがなかったという人も、ぜひ一度このタイミングで聴いてみてほしいバンドである。
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