YOASOBI、2021年になってより進化している
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正直、YOASOBIのピークは2020年だと思っていた。
・・・・という言い方をすると語弊があるかもしれないが、2020年の活躍があまりにも輝かしいものだったので、2021年と2020年を比較すると、どうしても2020年に埋もれることになるのではないか、そんなことを勝手に思った。
そんなYOASOBIは2021年の頭に、『THE BOOK』というアルバムを出す。
このアルバムが2020年のキャリアをパッケージ化したものだと仮定したとき、この作品以前と以後で勢い的な部分は変わるのかなーなんてことを思っていたのだ。
しかし、その見立ては大きく外れることになる。
というか、当たるとか外れるとかという言い方では収まりがつかないような飛躍を、YOASOBIは次々に提示していくことになるのだ。
2021年のYOASOBIのキャリアについて
YOASOBIって2020年の間では色んな文脈で語られたアーティストである。
最初期はアニメ絵のMVが印象的なネット発のアーティストという文脈で語られていた。
やがて、その存在感が大きくなるにつれて、ポップスの新たな担い手という文脈で語られるようになった。
あるいは、音像にこだわっているアーティストに比べて音の作り込みがチープであるなんていい方をされることもあったし、アーティスト本人がメディアに出てくることで(ある種の)アイドル的な消費される場面も出てきた印象を受けた。
一年の間では色んな語られ方したYOASOBIであるが、一年をかけて各々がYOASOBIに対するイメージが確立していくようになった、ともいえる。
で。
こうなってくると、新しく発表される楽曲は、どうしてもそのイメージありきで語られがちになっていく。
しかし。
YOASOBIはそのどの見方ともまた違う文脈から楽曲を提示し、楽曲そのものの魅力でYOASOBIが凄いアーティストであることを突きつけるような楽曲を生み出す。
「怪物」は、まさしくそういう歌のひとつではないだろうか。
確かにMVはアニメ絵だし、キャッチーなメロディーが印象的な楽曲ではある。
んだけど、去年YOASOBIが話題になったこととまったく違う文脈で表現にしている心地を覚えるのだ。
昨年発表したどの楽曲とも毛色の違う、エッジの効いたアッパーなサウンド。
クールながらスマートに表現に落とし込むikuraの歌声。
ダンスミュージックな装いもあるんだけど、ロックの文脈で語ることができそうな尖りをみせているフシもあって、今までYOASOBIの音楽にぐっときていなかった人も取り込んでいくような凄まじさを覚えるのだ。
アルバムをリリースした直後に、いきなりこれを用意していたYOASOBIが凄いと思うし、実際この楽曲は2021年の音楽シーンにおいても3本の指に入るような国民的ヒットをみせることになる。
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「優しい彗星」以後の話
ちなみのちなみに。
個人的には「優しい彗星」が、今年リリースされたYOASOBIの楽曲の中で一番好きである。
水の中に潜り込んでいるような効果音の使い方。
鍵盤の音色や打ち込みのサウンドをベースに入れたミディアムなテンポの中、ふいにギターが躍動する感じ。
透明感を持ちつつも表情豊かなikuraのボーカル。
この混ざり合いが絶妙で、何度もリピートしてしまうのである。
あと、単純にこういうリズムメイクの上におかれた、YOASOBIのメロディーの展開の歌が個人的なツボだったりもする。
「怪物」というエッジの効いた楽曲のあと、「優しい彗星」という優しい聴き心地の楽曲を生み出す流れも良い。
次々と発表されるグッドミュージックな楽曲たち
「もう少しだけ」では、朝の情報番組のタイアップ曲ということもあり、爽やかな印象を受けるシンプルなポップソングになっている。
かと思ったら、「三原則」ではサンバっぽいビートメイクでノリノリなグルーヴを解き放つ。
その全てをトータルしたとき、全てYOASOBIらしい音楽なんだけど、どの歌も毛色が違う。
YOASOBIってこういうイメージの歌を歌うよね、というイメージを巧みにかわしつつも、どの歌もYOASOBIらしさを持ち合わせているラインで構築している印象を受けるのだ。
そう。
YOASOBIの楽曲って、なんとなくどれもYOASOBIらしさがあるのに、同じ言葉で囲うのが難しいのである。
敷いて言えば、音の解像度がどの歌も同じレベルだからこそ、どの歌もYOASOBIらしい響きを獲得しているように思うわけだけど、かといってどの歌も新鮮に響いているからこそ、やはりひとつのキーワードで語ることができない凄まじさを覚えるのである。
そして、気がつけば、YOASOBIとして数十曲の楽曲が世に放たれているんだけど、どれも名曲で(例えばフェスで披露すれば)どの歌もハイライトになるような名曲感を放っている。
こういう境地にYOASOBIがたどり着いているということが、いかにYOASOBIの2021年が凄まじいのかを物語っているといえる。
まとめ
つまるところ、YOASOBIの2021年は凄まじいという話。
あいみょん、ヒゲダン、King Gnuと新世代が躍進するのか、改めてビックネームとしてそこに並んだYOASOBI。
まだ下半期に入ったばかりだけど、ここから留まることのない快進撃を続ける。
改めて、そのことを実感するのである。
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