前説
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森内寛樹というボーカリストがいる。
彼は、MY FIRST STORYのボーカルのHiroとしても活躍している。
そんな森内寛樹＝Hiroは、今年、ソロアーティストとしてもアルバムのリリースを果たした。
合わせて、MY FIRST STORYとしても音源を発表している。
つまり、バンドのボーカリストとしても、ソロアーティストとしても彼の音楽に触れることができるわけだ。
で、MY FIRST STORYと森内寛樹のソロ作品を並行して聴くと、彼のボーカリストとしての素晴らしさを感じる局面が多い。
この記事では、そのことについて簡単に書いてみたい。
本編
MY FIRST STORYとしてのHiro
MY FIRST STORYとしては、「LEADER」という作品が発表された。
この歌はTVアニメ「オルタンシア・サーガ」のオープニングテーマになっている。
アニメ主題歌というタイアップをもらったことになるわけだけど、アニメのタイアップと言っても、バンドごとにそのアプローチは大きく異なる。
いわゆるアニソンっぽい曲構成にすることもあれば、あまりにアニメ主題歌であることを意識せず、そこには寄せていかないアプローチもある。
MY FIRST STORYの「LEADER」はアニメ主題歌だからこその部分も感じさせつつも、それ以上にMY FIRST STORYの個性が際立った作品であるように思うのだ。
きっちりアニメ主題歌であることを受けつつも、自分たちの持ち味はきっちり魅せてくるというか。
壮大さと攻撃性が折り重なったサウンドメイク。
ストリングスや鍵盤の音を印象的に響かせつつも、ラウド色の強いゴリゴリのバンドサウンドも披露して、空間の中で融合していく。
演出技術が高いバンドメンバーだからこそのソリッドかつアグレッシブなバンドサウンドは、実にMY FIRST STORYらしい魅力が際立っている。
一方で楽曲内の緩急の付け方が巧みで、Aメロ→Bメロ→サビの起伏がアニメ主題歌ならではの感じがしてゾクゾクさせられる。
特にサビの盛り上がりはぐっとくるものがある。
これってボーカルが高いキーを歌いきれるからこその魅せ方だと思うんだけど、Hiroのハスキーなハイトーンボイスが圧倒的な輝きを放っているのだ。
色んな音がばーっと鳴り響く中で、Hiroのボーカルがすこーんと突き抜けていく。
MY FIRST STORYらしいサウンドとアニメ主題歌らしいメリハリが融合した「LEADER」は、つまるところマイファスらしいアニメ主題歌である、という感想に行き着く。
そんなMY FIRST STORYの音楽って、最終的に「かっこいい」という身も蓋もない感想に着地してしまうところがある。
何故なんだろうと考え、その理由を掘り下げていけば、やっぱり見えてくるのはHiroの存在で。
楽曲の中心にHiroの圧倒的なボーカルがあるからこそ、であることを実感するのである。
アルバム『V』に収録された「アンダーグラウンド」でも同じことが言えると思う。
前提としてサウンドがゴリゴリでかっこいい。
それは確かだ。
でも、そのかっこよさをより先鋭化させてくれるのは、ハスキーなハイトーンボイスで魅了するHiroの歌声。
この混じり合いがあるからこそ、MY FIRST STORYの音楽はどこまでもかっこいいのである。
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ソロアーティストとしての森内寛樹
MY FIRST STORYってゴリゴリでヘビィーなサウンドを奏でる印象がある。
そのため、Hiroのボーカルにもそういうイメージがまとわりがちである。
でも、Hiroってこういうテイストの歌じゃなくて輝くボーカルなんだということを、ソロ作品を聴いて改めて感じたのだった。
純粋にボーカルそのものでも魅了できるタイプのアーティストだったことを再認識させてくれた、と言ってもいいかもしれない。
「アイノカタチ」はMISIAのカバー曲であり、MY FIRST STORYの楽曲とは違ったタイプのアレンジが施されている。
歌ものとしてメロディーを聴かせるような構成になっているわけだけど、これにより森内寛樹のボーカルとしての凄まじさが際立つ。
単純にボーカルとしての表現力が高くて、ただただ聴き惚れてしまう。
当然のように高音のパートも美しくて、伸びやかなボーカルは言葉にできないほどの迫力を覚える。
ソロアルバムでは、あいみょんの「君はロックを聴かない」もカバーしているけれど、この歌も圧巻である。
冒頭の低音は、あまりにも色気がにじみ出ていて、良い意味でゾクゾクしてしまう。
原曲の良さを捉えつつも、その良さを完全に森内寛樹のカラーに変えていく。
そんな印象を覚える。
そうなのだ。
森内のボーカルだけで楽曲に色んな色を付けていくから、シンプルなアレンジが華麗に映えていくのだ。
ブレスは絶妙だし、ビブラートも洗練されていて、ボーカルの技術としても素晴らしい。
余計なスキがなく、ボーカルとして完成されているからこそ、どんどん歌の世界に惹き込まれるのである。
まとめ
Hiroと森内寛樹。
ボーカルとしての２つの側面を捉えることで、いかにこの男が素晴らしいボーカルなのかを実感できる。
吠えるように歌うこともかっこよくできるかと思えば、しっとりと歌うことでも自分の世界に引き込むことができる。
これって凄いことだと思うし、ここまで色んなタイプの曲を自分のカラーに染められるボーカルもそうはいないのではないかと思ってしまうのである。
MY FIRST STORYも森内寛樹も、どちらも目が離せない。
そんなことを改めて感じるのである。
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