JO1の「Tiger」が想像以上にヤバい件
リリースするたびにJO1の楽曲は聴くようにしている。
というわけで、『TROPICAL NIGHT』も発表されたタイミングで、耳にしたのだった。
で・・・だ。
『TROPICAL NIGHT』の楽曲を頭から順に耳にする中で、一曲、特に自分の耳に突き刺さった歌があったのだった。
それが「Tiger」という楽曲だ。
今までの楽曲も良いと思える歌がいくつかもあったんだけど、「Tiger」は自分的に、他の楽曲とちょっと「良い」のレベルが異なる心地を覚えたのである。
別に楽曲ごとで比べるものではないのかもしれない。
けれど、そういうことを差し引いても、いつもの楽曲よりも良い意味でヤバさを感じる自分がいたのである。
というわけで、「Tiger」の簡単な感想を書いてみたい。
「Tiger」の1番の話
百聞は一見にしかず、なのでぜひ一度聴いてみてほしい。
6秒ほどのイントロの段階で、ヤバさが際立っている。
クールなんだけど、スリリングな感じも立っている音づかいなのだ。
音数としてはそこまで多くないのに、なぜかどこまでも高揚感を喚起させてくれる。
イントロもいいが、そこからのボーカルの加わり方も絶妙である。
スピード的にはゆったりしているはずなのに、全方位に鋭さを感じる仕上がり。
過不足のないAメロで、瞬時に「Tiger」の世界に誘われていくのだ。
で、AメロからBメロに変化する部分も良い。
特にBメロの冒頭。
ここの英詞のファルセットの使い方が、絶妙なのだ。
Cメロに入ると、さらに流れがぐっと変わる。
サウンド的には必ずしも大胆な変化はしていないはずなのに、サウンドとボーカルの結託の仕方が見事なので、楽曲の展開が変わるたびに、どんどん楽曲が引き締まる心地を覚えるのだ。
そして、ここまでの”フリ”が効いているので、サビの<Tiger>がより効果的に響いてくる。
しかも、サビではボーカルのレスになっている余白の部分と、ボーカルのあるパートも対比の仕方も絶妙。
引き算的な発想により楽曲のスリリングさに磨きがかかっているところに、今作のヤバさが凝縮されているように思う。
「Tiger」の2番以降の話
さらに、2番のBメロでは、連続でリズムを打つ打楽器のビートをここぞのタイミングで入れ込れている。
この展開を加えることで、1番のBメロとまったく表情を変えているのも、自分的にポイントが高い。
楽曲の最初を部分として切り取っても魅力的だったのに、楽曲が進行するにつれて、その魅力的な部分が”フリ”になっていて、より楽曲を盛り上げるためのスパイスになっているのだ。
でも、このBメロの流れのままに、率直にアッパーに盛り上げることはしない。
Oh~のボーカルで始まるCメロでは、再びクールに楽曲を戻していくのだ。
楽曲だけを聴いていると、このまま盛り上げるのもアリなのかなと思うが、YouTubeのMVでダンスを観ながら楽曲を堪能すると、この流れの意味もクリアに理解することになる。
サビではきっちりこのリズムで突き進むからこそ、ダンスがバチくそにかっこよく映えている。
そのことを実感することになる。
ボーカルも堪能できるし、楽曲の面白みも堪能できる。
でも、実は一番のかっこいいポイントは、サビのボーカルレスになっている際のダンスパートである。
走攻守すべてが揃っているJO1だからこそできる魅せ方であるし、伴わせて「Tiger」のヤバさを実感することになるのだった。
まとめに替えて
まるで、虎が獲物に狙い定めるときのような、そんな聴き心地を覚える「Tiger」。
ゆっくりと標的を見定めながら、少しずつテンポを上げていき、ここぞのタイミングで一気にギアを入れて獲物を仕留めるのが虎の狩におけるやり方だが、JO1の「Tiger」も、淡々としているフリをしながらいつの間にか自分の間合いに引き込み、聴き手の心を奪い取っていく鮮やかさがあるように思う。
「Tiger」は、もしかすると、自分的なJO1の過去最高の楽曲になったかもしれないと、楽曲を聴いている今、そんなことを思っている次第。
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