JO1の『MIDNIGHT SUN』を聴いて感じたこと

epって複数の楽曲を収録した作品単位となっている。

仮にepで4曲収録している場合、個人的には、どちらかに振り切っているといいと思っている。

どういうことか。

順を追って話してみよう。

ひとつは、収録されている作品に統一性を感じるケース。

自分たちの美学ってこうなんですよ、っていうのが4曲通して見えるっていいよなーと思うわけだ。

もうひとつは、これとは逆で、4曲でとにかく幅の広さを提示するケース。

アップテンポの楽曲で魅了したかと思えば、バラードの楽曲でも魅了するし、難解でトリッキーな楽曲も入っていて・・・みたいなタイプ。

その4曲を通して聴くことで、このアーティストって○○だよね、と安易な言葉で括ることができない凄みが提示されている、そういうepって良いなあと思ってしまうわけだ。

まあ、要はepに4曲収録されているとして、そこに”4曲が収録されている意味”を感じられたら、自分はそのepにぐっとくるという話。

なぜこんな話をしているのかというと、JO1の『MIDNIGHT SUN』を聴いたとき、epの魅力について色々考えてしまったからだ。

『MIDNIGHT SUN』はCDのリリースと、サブスクリプションの配信で内容が異なっているんだけど、配信verでのepではCDの版違いで収録されているカップリング曲がまとめられている。

そのため、新作4曲を聴くことができる流れになっている。

で、その4曲を通して聴くことで、色んなことを感じたというわけなのだ。

前置きはこの辺にして、『MIDNIGHT SUN』の楽曲を聴いて何を感じたのか、ということを話していきたい。

楽曲ごとに感想をつづっていく。

「SuperCali」の話

最初に感じたのは、実にドープな楽曲だなあということ。

アレンジとして鳴らされる音のひとつひとつがどっしりとしている。

そのため、楽曲全体に深さを感じるような聴き心地になる。

メロディーの展開もキャッチーさを作るというよりは、比較的淡々とメロディーを重ねており、いわゆるポップスとは異なる聴き心地を覚える。

一方で、いわゆるK-POP的な装いかというと、それともまた違う聴き心地を覚えるのだ。

ああ、この感じ、K-POP的なそれだなあと感じる瞬間が、個人的にはなかった。

というよりも、○○っぽいなあと述べる隙がなかったという方が正しいかもしれない。

それだけ展開が独特で、複雑なのだ。

確かに冒頭ではドープさを覚える楽曲ではあるんだけど、そこからどんどん楽曲の展開が変わっていく。

それも細かな単位で。

AメロとBメロも装いが全然違うし、Bメロとサビでも展開が異なる。

淡々としているパートもある一方で、確かな高揚感を覚える展開も用意されているしで、「SuperCali」にしかない展開に導かれることになる。

難解な楽曲展開ながらも、JO1らしく楽曲をのりこなすことで、「SuperCali」がJO1ならではの魅力で弾けている印象を覚える。

「Phobia」の話

「SuperCali」とまた異なって、歌が印象的な楽曲。

切ない日本語歌詞も印象的で、各々のハイトーンかつ伸びやかなボーカルが印象的に響く。

でも、いわゆる感動的なバラードの聴き心地、というわけではない。

というのも、アレンジがどこまでもスタイリッシュで、ダンスナンバーとして装いもしっかりしているからだ。

聴かせる歌ではある一方、単に聴かせるだけの歌にはなっておらず、「Phobia」にしかない世界観を作り出している。

「16(Sixteen)」と「Rose」の話

代わって、「16(Sixteen)」は他の楽曲にはない爽やかさが滲み出ている歌だ。

ある意味、タイトル通りの歌と言えるかもしれない。

「SuperCali」がドープな色合いが強いナンバーだったからこそ、「16(Sixteen)」の持つ軽やかで爽やかな音が印象的に響く。

でも、単純に疾走感で駆け抜けるというわけではなく、JO1らしいポップセンスを溶け込みながら、楽曲を展開させているように感じる。

そして、「Rose」では、全楽曲の中でも屈指のエッジさが際立っている。

サウンドを聴くだけでもきっとこの歌のダンス、かっこいいんだろうなあというのを感じさせてくれる躍動感がある。

まとめに替えて

総じて言えるのは、ひとつひとつの楽曲の完成度が高いということ。

ただ、それだけの話に留まらず、4曲通じて聴くことで、よりJO1の凄さを感じることになるのだった。

というのも、このepってどの楽曲も色合いが異なっているからだ。

こんな難解な歌を歌いこなすのか・・・と感嘆していると、それとはまた違うテイストの歌を鮮やかに歌いこなし、さらに驚きを重ねるという流れ。

でも、だ。

単純にカラーが異なる楽曲が連なっているわけではなく、どの楽曲にも確かなJO1らしさがあって、総じてJO1ならではのポップ性を感じることにもなるわけだ。

つまり、冒頭で述べた、個人的にepで良いなあと思うふたつの要素を持ち合わせたepになっているのだ。

これって、できそうでそう簡単にできるものではない。

改めて、JO1の表現力の高さを実感したという、そういう話。

関連記事:なぜ自分がJO1の「WHERE DO WE GO」に惹かれたのかのレビュー

関連記事:JO1の「僕らの季節」が描く研ぎ澄まされた12月感

 

LINEで送る
Pocket