前説
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1月。
まだ今年が始まって一ヶ月も経っていないけれど、既に良い歌がたくさんリリースされている。
今年はなるべく良いと思った歌、具体的に言えば、月間ベストソングに挙げるような楽曲に関しては、なるべくきちんと記事にしたいと思っている。
短いものだとしても、大したことのない言葉で綴ったものにせよ、蓄積して形を残すことってけっこう大事だなーと思うことが増えてきたからである。
それはそれとして。
自分のお気に入りの歌とはまた別のラインで、まだこの歌をきっと知らない人にも、なんとかして勧めたい歌、というのが自分の中にはある。
この歌良いよね〜という共感を求める歌なんじゃなくて、こんな良い歌あったから、他のみんなも聴いてくれ!ってやつだ。
1月において代表が、これ。
さとうもかの「melt bitter」だ。
この記事では、この歌を推したい。
本編
新世代の YUMINGなんて評価もされている彼女。
新世代の YUMINGなのかどうかはわからないけれど、歌詞から伝わる切ない感情と、景色が見える鮮やかな描写には、YUMINGに通ずるものがあるのかなーなんて思っている。
ピアノの音がベースにあって、そこにバンドサウンドが乗っかったようなアレンジの今作。
バンドの音が曲の世界にきれいに挟まって、歌の中心にある切ない物語にそっと彩りを与えている。
素朴なアレンジが、歌詞に込められた情景を喚起させやすくしてくれている。
個人的にこの歌が良いなーと思うのは、歌詞の温度感とメロディーやアレンジの起伏の差、である。
どういうことか?
歌詞を読んでもらったらわかると思うんだけれど、この歌ってけっこうドラマチックである。
身も蓋もない「終わり」を迎える歌だし、一本の映画にできそうなくらいの物語性ははらんでいると思う。
言ってしまえば、もっと泣きに走ることもできるわけだ。
もしアレンジャーがコバタケだったら、壮大で劇的なアレンジをこの歌に施していたんじゃないかなーと思う。
でも、この歌はそういうことをしない。
決してアレンジは、安易に歌にある物語に飲み込まれたりはしない。
淡々と、いうわけではないにせよ、過剰な音の挟み込みはしないように調整されているように感じる。
ど真ん中に歌を心地よく届けるにはどうすればいいのか、というところを焦点にあてて、美学を重視したうえで音を構成しているように感じるのだ。
このために、歌の中にある余白ができて想像する余地が生まれる。
ここからさらに自分の中で咀嚼するように歌を味わい、楽しむことができるのである。
ややこしいことを言ってしまったけれど、要はスルメ曲だから何回も聴きたくなるよね、という話である。
実際、自分は何度もこの歌をリピートしている。
そして、あ〜この歌、良い歌だな〜と思うのである。
そう思うたびに、この歌にハマる人がもっと出てくるはず!って思ってしまうのである。
そうそう。
さとうもかって絶妙なバランスを取ってくるアーティストなのである。
YouTubeの楽曲の紹介文にも“繊細だけど大胆、ユーモラスだけど甘くない“というフレーズがある。
これってそのとおりだなーと思っていて、さとうもかの歌って、ふたつの異なるエッセンスを感じさせるのだ。
というよりも、ふたつの異なるもの間で揺れ動く、ゆらぎを感じると言えばいいだろうか。
「melt bitter」にも、そういうエッセンスがたぶんにある。
歌詞はドラマチックなのに、サウンドは淡々としている、というのもまさにそういうことのひとつだと思う。
そもそも「melt bitter」が描いているものこそが、ゆらぎである。
あなたのことが好きなのに、結局は「さようなら」を選ぶ女性の心の揺れがそこに表現されている。
音にもゆらぎを感じ、歌詞にもゆらぎを感じ、なんならさとうもかの声にもゆらぎを感じさせる。
そういう「ゆらぎ」がこの歌に込められているように思うし、その「ゆらぎ」にひとたび触れてしまうと病みつきになってしまうんだよなーと思うのだ。
まとめ
というわけで、さとうかもをまだ聴いたことがない人はこの歌をぜひ聴いてほしい。
こういう記事を面白く読んでくれる人なら、きっと気に入ってくれるんじゃないかなーと思う。
勝手に、そう思っている。
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