前説
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2021年のFM802キャンペーンソングとなる「春は溶けて」。
この歌が個人的なツボで、近年のキャンペーンソングの中でも一位二位を争うほどにぐっとくる曲だったりする。
楽曲を手掛けたの川谷絵音。
シンガーは、そんな川谷絵音を筆頭に、北村匠海(DISH//)/長屋晴子(緑黄色社会)/三原健司(フレデリック)/ホリエアツシ(ストレイテナー)/yamaという豪華メンバーが集結した。
https://youtu.be/B5HdN75L2Zc
なぜ、この歌がぐっときているのか。
この記事では、そのことについて、簡単に感想を書いていきたいと思う。
「春は溶けて」の感想
川谷絵音らしい切なくてキャッチーな美メロソング
川谷絵音は色んなバンドで活動しているアーティストであり、楽曲のアウトプットの幅は広い。
そのため、川谷絵音らしい作風というのは、一言で語るのが難しい・・・んだけど、indigo la Endにおいては<切なさ>を強く打ち出した美メロソングが多い印象。
今作の川谷絵音は、その時の<らしさ>が色濃く出ている気がするのだ。
このFM802のキャンペーンソングは、誰が作詞作曲を手掛けたとしても<春>というのがテーマをひとつの基軸にする。
そのため、アーティストによって春の描き方が大きく変わる。
<出会い>だったり<希望>という側面を強く描き出す方がいる一方で、<別れ>や<切なさ>といった側面を強く描き出すもいる。
で。
川谷絵音の楽曲は後者の色合いが強いように思ったわけだ。
だからこそ、「春は溶けて」には、春らしい切なさが詰まった一曲になっているのだと思う。
歌詞をみると、今という視座から過去を振り返るような構図に尺を割いているからこそ、ふとその眼差しを未来に向けた瞬間が効果的に響いているように感じるのである。
あと、春歌らしく、ミディアムなテンポで綺麗にAメロ→Bメロ→サビへと展開していくのも良い。
トリッキーなパートは差し込まず、メロディーを紡ぐという意味では、どこまでも王道的というか。
だからこそ、ぐっと歌に、言葉に、向き合うことができるのである。
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六人のシンガーが紡ぐ世界観
この楽曲の切なさが絶妙になっているのは、シンガーそれぞれの表現力によるところも大きい。
冒頭のAメロは川谷絵音本人が担当する。
基本、ここで提供した楽曲は最終セルフカバーをすることが多い。
クリープハイプの「栞」は、そんな代表だと思う。
そうなると、川谷絵音も自身のバンドでセルフカバーをする可能性があるわけだけど、冒頭の川谷絵音をボーカルをみていると、なんとなくindigo la Endでこの歌を歌っている映像が浮かんできた。
indigo la Endもまた、切なさを巧みに表現しているバンドであり、楽曲が持つ切なさとindigo la Endが持つ切なさが絶妙にマッチしているのではないかと思ったわけだ。
それはさておき、川谷絵音が冒頭のパートを務めることで、この歌が持つ切なさが早速、真骨頂をみせるわけである。
次にバトンをとるのが、ホリエアツシ。
今回のメンバーであれば、最年長という立ち位置になるホリエ。
所属バンドの立ち位置を考えても、ホリエアツシだけ(良い意味で)メンバーのカラーが違う印象も受けるわけだけど、バトンを受け継ぐホリエの歌声はどこまでも楽曲の中に綺麗に溶け込んでいる。
ビターな甘さが際立つホリエの歌声が、この楽曲が持つ世界観と綺麗にシンクロしているような印象を受けるのだ。
思えば、近年のストレイテナーの楽曲も美メロが際立つ繊細な歌が多かった。
だから、このシンクロ率は必然であったといえるのではないか、とも思う。
そして、個人的にぐっときたのが、次にやってくるyamaのパート。
yamaが歌うと、「この歌はyamaの新曲なのではないか?」と思ってしまうほどにyamaの歌声が楽曲の表情を振り返るのである。
ふと、川谷絵音は早い段階でyamaを高く評価していたことを思いだす。
なんとなく、yamaが川谷絵音の楽曲を完璧に歌いこなしているのをみて、なぜ川谷絵音の感性にyamaの音楽がぐっときたのかが納得してしまうのである。
なんというか、お互いが持っている美学だったり、音楽的センスに共鳴している部分があるんだろうなーと、そんなことを思わされるのである。
だからこそ、yamaは川谷絵音の歌を自分の歌のように軽やかに歌いこなせるんだろうなーなんてことを思うのである。
さて、続いてやってくる緑黄色社会の長屋晴子のパートを聴くと、良い意味でyamaの歌声と対比されていて、そこが良い。
というのも、yamaの歌声は低音が際立つしっとりとした感じで、長屋晴子の歌声は切れ味するハイトーンが印象的な溌剌とした印象を受けるわけだ。
yamaの歌声が守りの歌声なのだとしたら、長屋晴子の歌声は攻めの歌声というか。
まあ、なんにせよお互いの歌声のコントラストがはっきりしているからこそ、楽曲の表情をより深いものにしていくのである。
2番になると、DISH//の北村匠海とフレデリックの三原健司のパートが入ってくる。
北村匠海は良い意味で<役者だなあ>と思わせる歌声で、楽曲の世界に寄り添うような優しい歌声を披露する。
逆に、三原健司は良い意味で自分の個性を発揮している感じがして、精鋭が揃っている中でも色濃く自分のボーカルの存在感を発揮している印象を受ける。
それぞれのボーカルの個性が発揮しているんだけど、トータルでは綺麗にまとまっている。
そんな不思議な印象を受けるのだ。
でも、やっぱりこのメンバーは川谷絵音の持つ世界観と似合っているなーと思う。
甘さと切なさと優しさ、そして、明確な個性がある感じで。
このメンバーだからこそ紡ぐことができる景色がそこにあって、その感じがたまらなく良いのである。
aikoが楽曲を手掛けた「メロンソーダ」なんかだとボーカルごとのパートの差が大きかったんだけど、今作はそういうこともほとんどなくて、それぞれのメンバーがそれぞれの大きな見せ場があるところも良いなあと思うのである。
まとめ
つまり、「春は溶けて」は良い曲だよね、という話。
パート割も秀逸だと思うし、個性の散らかせ方(と重ねた方)が秀逸なラインナップだなあと聴くたびに思う。
あと、川谷絵音のソングライティングのセンスは脱帽だなあと改めて。
2021年を代表する春ソングになったんじゃないかと改めて思う。
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