前説
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2021年2月に世の中に発信された歌で、どの歌が一番良かったか。
月末になってくるとそのことをぼんやりと考えるんだけど、答えを決めるのはそう簡単ではない。
んだけれど、一聴したときの<ものすごいものに出会った感じ>で言えば、自分の中ではSexy Zoneの「RIGHT NEXT TO YOU」が群を抜いていると思っていて。
自分の中では、ライネクこと「RIGHT NEXT TO YOU」がSexy Zoneの最高傑作だと思っている。
なぜ、そう思うのか。
この記事では、そのことについて、楽曲の間奏をまじえながら簡単に書いてみたい。
本編
今までとはかっこよさのベクトルが違う
わりとたくさんの音楽を聴いていると、この音楽はこういうフォーマットの歌だな・・・みたいなことをぼんやりと感じてしまうことがある。
それ自体は良いも悪いもないんだけど、そこが見えてしまうと、どうしても一聴したときの衝撃が薄くなってしまうところはある。
特にキャリアをそれなりに重ねたアーティストだとそういう型が見えやすくて、「今回はこういうパターンね・・・」みたいな想像が感情の先を行ってしまいがちなのである。
だけど、Sexy Zoneの「RIGHT NEXT TO YOU」は、まったくの逆。
イントロを聴いた段階では、どんな風に楽曲が展開されるのかまったく想像がつかず、その怒涛の展開に良い意味で飲まれてしまうから、曲を聴いたときの衝撃みたいなものがどこまでも大きくなるのだ。
Sexy Zoneは、昨年リリースされた『POP×STEP!?』で、相当に色んなポップスのカラーを提示していたけれど、その作品を踏まえたうえでも、はっきりと「おおっ!」っていう衝撃を感じた。
大胆かつ本気の挑戦を仕掛けていることを、はっきりと感じたのである。
「RIGHT NEXT TO YOU」は、リード曲としては初の全編英語詞。
確かにこれも新しさを感じさせる要素ではあるんだけど、全編英語詞自体がドキドキを生むものになっているというよりも、楽曲のかっこよさをより大きなものにするうえで、全編英語詞がぴったりだった、みたいな感触の方が強い。
というのも、この歌はビートの部分のキレが凄く、ダンス・ミュージックとしてのダイナミズムが圧倒的なのだ。
そのダイナミズムをより鋭くする上で、英語歌詞が効果的に効いているという感覚が強いのである。
もう少し具体的に楽曲の話をしていこう。
今作はディープハウスを下地にしたリズムメイクとなっており、全体的にクールな雰囲気をはらんでいる。
なるべく余計な音は削ぎ落とし、休符も効果的に使いながら、楽曲のリズムの要素を際立てる。
冒頭、17秒ほどのイントロだけでも、そのことを強く感じさせる。
例えば、「RUN」だと、イントロの時点でかなり色んなタイプの楽器の音を使い、楽曲を鮮やかに盛り上げていく。
また、「RUN」の場合はイントロ中も、ボーカルの代わりに歌のメロディーを紡ぐ楽器がひとつあって、イントロでありながら歌モノ的な存在感も放っている。
なので、その気になれば、口笛でイントロを<歌う>こともできる。
しかし、「RIGHT NEXT TO YOU」のイントロは、きっと口笛では<歌う>ことが難しい。
なぜなら、メロディーの部分ではなく、リズムの部分に重点を置いた構築をしているから。
だからこそ、聴いたときの印象も「おおっ!」っていう衝撃に近いものを覚えるし、今までとは違った要素を際立たせながら楽曲の空気を作っていくため、「RIGHT NEXT TO YOU」は冒頭17秒だけでも圧倒的な存在感を示すことになるのである。
サビは、その真骨頂である。
メロディーそのものラインで魅せていくのではなく、ビートが中心にあって、そのビートの中をボーカルが自在に泳ぐ気持ちよさがある。
もっと言えば、サビの中で明確にダンスが主役になる部分もあって、こういう展開のひとつひとつが「RIGHT NEXT TO YOU」の凄まじさを構築していくのだ。
難易度の高いフリをメンバー四人がシンクロして踊る「RIGHT NEXT TO YOU」。
指先の動きひとつとっても丁寧な動きで魅了しているのが伝わる躍動。
ビートの切れ味が鋭い歌だからこそ、ダンスのスリリングさが絶大なものとなっている。
間奏の部分も顕著である。
ここではより一気に音を減らすことで、ダンスが主役であることをより際立たせる。
そういうひとつひとつの細かい部分が冴え渡っているからこそ、今までのSexy Zoneの楽曲とは違う魅力を放つし、「RIGHT NEXT TO YOU」が今までの楽曲にない凄みを生み出すのである。
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磨き抜かれたパフォーマンス
少ない音数で構成されたビートがしっかり効いているダンス・ミュージック。
メロディーラインだけを主役にしないで、ダンスも主役に据えるような構成を行っているサビ。
こういうふうに書くだけだけどなんだかシンプルに映ってしまうけれど、これって当然ながらめちゃくちゃに難易度が高い。
今までのSexy Zoneの歌とはまったく違う型だからこそ、中途半端なパフォーマンスであれば、違和感だけが残ってしまう恐れだってあるわけだ。
でも、Sexy Zoneはクールかつ大胆に、「RIGHT NEXT TO YOU」の中で圧倒的なパフォーマンスを行っていく。
いかにSexy Zoneがパフォーマンスを磨いてきたグループかがよくわかるし、このメンバーだからこそ成立した<完成度の高さ>なのだと改めて思う。
というのも、余白が印象的な楽曲の場合、ダンスもちょっとした動きの乱れが大きな違和感になってしまう。
コンマ数秒の動きをちゃんと止められるかどうかが、ダンスのビート感に大きな影響を与えてしまうわけだ。
逆に言えば、「RIGHT NEXT TO YOU」のビート(サウンド的にもダンス的にも)が圧倒的にスリリングなのは、こういうタメとキメがどこまでも冴え渡っているからこそ。
Sexy Zoneのパフォーマンスがいかに凄まじいかを示している要因でもあるわけだ。
また、この歌は<歌ではなく、ビートがメイン>というようなことを書いてきたが、逆説的ではあるが、こういう歌ほどボーカルの表現力が歌の質を考えるうえで、とても重要になる。
ゴリゴリでうるさいロックサウンドの歌だったら、下手であることも味になる、みたいな魅せ方もできるわけだけど、「RIGHT NEXT TO YOU」の場合、そういう魅せ方はありえない。
ボーカルの完成度がダイレクトに楽曲の質に影響を当たるわけである。
つまり、楽曲が素晴らしいのは前提なんだけど、Sexy Zoneのパフォーマンスがどこまでも素晴らしいからこそ、「RIGHT NEXT TO YOU」は最高傑作なのである、ということが言いたいのである。
いや、ほんと、ボーカルの表現力もこの歌は凄まじい。
ささやくように歌うパートでは、吐息の中に漏れる温かみのあるエロさみたいなものを滲ませる。
声を伸びやかに広げていく部分では、凛とした力強さをしっかり歌声の中に織り交ぜていく。
間奏のダンスパートと躍動する菊池風磨の歌声のバランスも絶妙で、各々のパフォーマンスが見事に炸裂しているからこそ、「RIGHT NEXT TO YOU」はどこまでも圧倒的なのである。
今作はサビの歌割りも重要な要素で、それぞれのボーカルの個性もいかんなく発揮している。
佐藤勝利の透明感のあるボーカルがあって。
中島健人の艶やかな表現力のあるボーカルがあって。
菊池風磨の力強く表現力のあるボーカルがあって。
松島聡の柔らかい優しさのあるボーカルがあって。
それぞれのボーカルが大都会の交差点のように鮮やかに混じり合うからこそ、こういうテイストのサビがこういうテイストのままで、インパクトのある魅力を弾き出すのである。
まとめ
だからこそ、自分は「RIGHT NEXT TO YOU」が現在のSexy Zoneの最高傑作である、というのがまとめの全てになるんだけど、あとひとつだけ。
今作では、マリウス葉が体調不良で活動休止のため、不在となっている。
ようやくメンバーがそろったタイミングでの活動休止だったので、残念に思う部分も強くあったわけだけど、改めてSexy Zoneは5人のグループなんだよなーと思うところもあって。
「RIGHT NEXT TO YOU」のメインの衣装は、オレンジに身を包んでいる。
これは、マリウス葉のメンバーカラーであり、もしかしたらちゃんとこの絵の中に<メンバー5人がいる>ということの証明だったのではないか、と勝手に思っている。
まあ、それはともかく、10周年という節目のタイミングで、「RIGHT NEXT TO YOU」という名曲を生み出したSexy Zone。
きっとこの先、さらにとんでもないことになっていく。
そう思わずには、いられないのである。
関連記事:Sexy Zoneの『Chapter II』というアルバムの感想
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