前説
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男性ソロによる今年の失恋回顧ソングは「香水」で十分なんだよ・・・・
そんなことを思っていたときもあった自分。
でも、そういう考えを転覆させるような歌に出会った。
その歌とは優里の「ドライフラワー」。
というわけで、この記事では「ドライフラワー」のことを書きたい。
本編
声が良い
エモさを売りにしたこういう恋愛ソングって、わりとボーカルの声が「細い」ことが多い印象である。
声からある種の草食感が漂っていて、その草食感がエモい歌詞とシンクロしてきて相乗効果を発揮する。
そういうパターンってわりとあると思うのだ。
でも、優里の「ドライフラワー」は、そういうテイストとは逆。
ボーカルが力強い。
感情剥き出しにして叫びのも似合いそうな、そんな雰囲気を身にまとったボーカル。
シンプルなんだけど、印象に残るような声というか。
自分はこのボーカルの温度感にまずハマった。
シンプルなサウンドが映えるボーカルだったというか。
恋愛ソングの場合、いかに歌詞に感情移入できるかがポイントだと思うんだけど、優里のボーカルって感情移入しやすい類のボーカルだよなーって思うのだ。
だから、自分はこの歌を何度も聴いてしまったのかもしれない。
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歌詞が良い
まあ、さすがにそれなりに年を重ねた今の自分がこういうテイストの歌詞にゴリゴリ感情移入はしない・・・んだけど、なんか聴いちゃう歌詞なんだよなーとは思っていて。
僕という立場がはっきりしていて、そこにきっちりと君という存在を描く。
だからこそ、僕という存在に自分を代入しながら歌を聴くことができる。
この没入できる構造みたいなのが巧みだなーと思っていて。
男のボーカルなのに女性視点にたって「私」という一人称を使うところも絶妙だし、語尾に「ね」がつくフレーズを多用することで、女性の主人公を強めているところも流石。
君に向かって語るような言葉を積み上げることで、フレーズに感情移入させたくなっているのもポイントだし、余計な描写は削って「回想」の部分に尺をとるような歌詞構造にしているのも流石だなーと思うのだ。
こういう歌詞って、なんとなく簡単に書けそうに見えるし、わりとすぐにバカにされてしまう風量もあるけれど、こういう歌詞ってフレーズひとつひとつの共感性からずれてしまうと一発で終わってしまう。
すごく丁寧にフレーズを積み重ねて、私の想いを組み立てるからこそ成立するし、そういう言葉の積み上げ方がこの歌は上手いんだよなーと思うのだ。
あと。
ドライフラワーという単語の使い方。
時間が経つ中で、君との想い出がどのように変化するのかをドライフラワーという単語に託す。
この、ここ一番の単語をドライフラワーに託すのが絶妙だなーと思っていて。
ありふれた単語だったら、きっと耳には残らない。
かといって、誰も意味がわからない単語を使ってしまったらもっと大変なことになる。
そもそも、連想したいイメージと単語のイメージにずれがあったら、この言葉は刺さらない。
ドライフラワーという絶妙な単語のチョイスによる、この歌の解像度が絶対的なものになる。
ドライフラワーだからこそ、この歌のイメージが決定的になるし、印象深いものになる。
何気にドライフラワーのメロディーラインの揺らぎにもおっとさせられるんだけど、わりとシンプルで手垢がついたようなテーマなのに、ここまでの求心力をもつのは、そういう細部が光っているからなんじゃないかなーと僕は思うのである。
シンプルだけど良い
こういうタイプの歌なんていくらでもあるじゃん。
そう突っ込まれたとしても、言いたいことはわからなくもない。
でも、ありそうだったんだけど、ちょっと違う刺さり方をする歌なんだよなーと思っていて。
シンプルかつドラマチックなアレンジも、強い魅了を生み出している要素だなーと思っていて。
ソリッドなギターも聞こえるけれど、鍵盤の音が存在感を示すパートもあって。
でも、トータルの印象としてはわりと素朴で、シンプル。
言ってしまえば、歌詞の等身大感とサウンドのシンプルさが調和しているんだろうなーと思うのだ。
なので、自分はこの歌に魅了されてしまうのである。
まとめ
自分はなんだかんでこの歌にめっちゃ惹かれてしまう。
では、その理由は何なのか。
それを自分なりに言葉にしたのがこの記事です。
もし、この歌を聴いたことがないや、という人はよかったら聴いてみてほしい。
失恋に何かしらの未練がある人は、刺さる・・・・かもしれない。
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