前説

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楽曲の中で<季節>を描くのが上手いバンドって、いくつかいると思うのだ。

自分もぱっと何組か頭をよぎる。

わけだけど、その中でもやっぱりこのバンドは絶妙だなーと思ったのが、SEKAI NO OWARI。

というのも、新曲としてこの曲を聴いたとき、改めてそう感じたのである。

「silent」というタイトルのこの歌。

冬の雰囲気を全面にまとった珠玉のバラードである。

こんなん、歌詞を聴かずとも冬の名曲やんとわかる解像度なのである。

思えば、セカオワって「スノーマジックファンタジー」や「Dragon Night」など、冬の景色を丁寧に描きとった歌に名曲が多い印象。

「silent」もまた、そういう楽曲に肩を並べる歌になるんだなーと感じた次第なのである。

というわけで。

この記事では「silent」のことを書きたいと思う。

本編

絶妙なサウンドメイク

SEKAI NO OWARIの歌って世界観ができあがっているものが多い。

この世界観という言葉、微妙なラインではあるんだけど、ここでは歌を聴いて、頭の中に広がるイメージ、という言葉に言い換えてもいいかもしれない。

SEKAI NO OWARIの歌って、絵本を読むような、あるいは映画を体験するような、映像で広がる世界に没入するような心地を感じるのだ。

つまり、歌の中に世界観が確立しているというわけだ。

なぜ、世界観が出来上がっているように感じるのか。

端的にいえば、バンド以外のサウンドの使い方が絶妙だからだと思う。

「silent」でいえば、鐘の音とか錫の音とか、音そのものにクリスマスのイメージが付いているものを効果的に響かせている。

それにより、サウンドそのものの手触りから、たまらなく冬を感じるのだと思う。

実際、イントロだけで「あ、この歌は冬の歌だなあ」と直感できるサウンドメイクに仕立てている。

もちろん、サウンドメイクが冬仕様だから、だけの話でもないんだけどね。

というのも、SEKAI NO OWARIって他のバンドとは違ったパート構成で、バンドだからというってギターにこだわらなくてもいいというような価値観で音を組み立てているように思う。

既存のバンド音楽に対する価値基準から良い意味で自由な発想で音楽を作ってきたからこそ、季節に対するサウンドのコミット感に妥協がないのである。

こここそが、SEKAI NO OWARIのSEKAI NO OWARIたる由縁なのかなーと思っていて。

やっぱりバンドの場合、バンドの個性ありきで楽曲を今回のテーマに寄せていくところがある。

だから、冬をテーマにしましょうとなっても、バンドの普段着がベースにありつつ、冬行きのサウンドを着せる、みたいなアレンジになる印象(もちろん、これもバンドによるが)。

いかにもストリングスを入れちゃいましたみたいな感じになっている曲を聴くと、そういう感想を持つ人も少なくないと思うのだ。

メンバーの役割がはっきりしているバンドだと、どうしてもそうなることが多い印象なのである。

しかし、SEKAI NO OWARIの終わりの場合、楽曲によって根っこからモードを変えている感じがする。

だからこそ、「silent」みたいな曲を聴くと、世界観がすごくしっかりしているように感じる。

で、その理由はサウンドメイクが冬にコミットしているからであり、メンバーの役割を柔軟に変えることができるSEKAI NO OWARIだからこそのアプローチだと思うわけだ。

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優しい深瀬の歌声

あと、SEKAI NO OWARIの世界観が不動のものであるうえで、重要だなーと改めて思うのは、深瀬の歌声である。

深瀬の歌声って、優しさと透明感の兼ね備えている。

言ってしまえば、幻想的な雰囲気にすごくマッチした声をしているように思うのだ。

ボーカルって、感情的かつ表現力が強い歌声と、のっぺりとしていて無機質な歌声のふたつに分かれるイメージがある。

深瀬の場合、そのバランスが絶妙なのである。

無機質ではまったくないんだけど、感情が入りすぎているというわけでもない。

その置所みたいなものが絶妙なのだ。

だからこそ、SEKAI NO OWARIの世界観って、イメージ通りにきっちりと構築されていくのかなーと思っていて。

ただ、ひとつあるとすれば、深瀬の歌声って冬の景色に強くマッチする印象を受ける。

思えば、ゴリゴリに真夏の日差しを感じそうな夏の歌は、SEKAI NO OWARIの印象とちょっ違うなーとも思うし。

これはバンドのカラーもさることながら、深瀬の歌声が作り出す景色にも起因しているのかなーと思っていて。

まあ、もっと大きく言ってしまえば、SEKAI NO OWARIは楽曲のコンセプトがしっかりしていて、そのコンセプトに合わせて、全ての要素を全力でそこに向けて調整していくから、楽曲ができたときの全体のイメージがそこからブレないんだろうなーと思うわけだ。

まとめ

なんにしても、セカオワの新たな冬の名曲が誕生したというわけである。

ドラマ主題歌なので、もう耳にしている人も多いと思うが、聴いてない人はぜひ聴いてほしいなーと思う次第。

改めて、このバンド、すごいなーってきっと感じるはずだから。

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