sumikaの「運命」「Poker joker」をいつもよりテンション上げて語ってみた
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このブログだけでも何度もsumikaの話をしている。それなりにsumikaの楽曲は聴いてきたし、色んなタイプの楽曲を摂取してきたつもりだ。”耐性がついてきた”と言えば、少し変な言い回しになってしまうかもしれないが、それなりに色んなsumikaの顔は知ってきたつもりだ。慣れるとピュア濃度100%の感情はどんどん平坦なものになっていく。
例えば、恋愛で考えると。
最初は手を繋ぐだけでドキドキするフェーズがある。でも、ずっととなりにいると、「手を繋ぐだけでドキドキする」のフェーズは終わる。代わりに、もっとあったかい感情が芽生えるようになるわけだけど、とはいえドキドキという軸で考えると、ドキドキの水準は上がることになる。
あるいは、食い物でもいい。
最初はめっちゃ上手いと思って、ボリボリのゴリゴリに同じ食い物を食っていたとして。あるタイミングになると、「めっちゃ上手い」と感じていたそれが「まあまあ上手い」に変わってきて、やがて「上手い」だったそれの味が慣れたに変わって、気がつくと、別の食い物の方が上手いに変わることになる。
慣れとは、そういう効用がある。
いや、そんなはずはねえ・・。俺は昔から怖いものが苦手で、オバケが出てきそうな雰囲気の場所に夜に出歩くと、それだけちびりそうなくらいの恐怖にかられるぜ・・・、みたいな、いつまで経っても、慣れないものも存在はしているけれど、とはいえ、トキメキ方面は得てして慣れると、そのドキドキの起伏が落ち着いたものになるのではないかと思う。
異性界転生ものの漫画の主人公をみてほしい。第一話の冒頭は「うぎゃあー」とか「おぎゃあー」とか爆撃のような悲鳴をあげていた無能な存在は、慣れというフェーズを経て色んな経験を蓄積する頃には強キャラとなって、並大抵の刺激には強いリアクションを取ることがなくなる。我々視点でたってみても、初めて『ボボボーボ・ボーボボ』という漫画を読んだときは、とんでも刺激なものに触れちまった、予測と想像を飛び越えてとんでも世界に突入してしまったぜ、なんだよ鼻毛が主人公って・・・って思ってドキドキしていたと思うけど、いつしかクールな眼差しで『ボボボーボ・ボーボボ』をみるようになったでしょ? (ボーボボのことを知らない人は一体無視することにする)
前置きが長くなったけど、慣れるとトキメキ度合いも落ち着くよね、という話。それは、音楽だって例外ではない。
どれだけ最初に音楽に衝動を受けた人も、色んな音楽や作品を聴いていく中で、その衝撃の濃度が薄まっていくケースが多いはずだ。最初は「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」くらいの衝撃だったとしたら、今は「!っ」くらいになっている人だって、わりといると思う。これも、ある種の慣れが生んだ結果だとしても、仮に今から記憶を消して、大好きなあの音楽を浴びたら、溢れ出るアドレナリンは相当なものになると思われる。
でも、だ。
年齢不詳と言っても差し支えない、いつみても”若くて”無邪気で、でも抱擁感があって、力強いあのバンドの音楽は、今なお新譜を聴くたびに、あのバンドでしか摂取できないアドレナリンを炸裂させることになる。
sumika。
ある意味においては、エネジードリンクのような高揚感を解き放ち、ある意味においては、幼き頃に聞いた子守唄のような安らぎを与えてくれる。
レッドブルでもあり、アンパンマンであるような存在。
sumikaの音楽には、そういう不思議な作用が解き放たれている。
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sumikaの「運命」「Poker joker」も強かった
えらく前置きが長くなったが、なぜこんなことを改めて書いているかといえば、新しく聴いた「Unmei e.p」がこれまた素晴らしい作品だったから、だ。
まず、「運命」。
ポップでキャッチーで人懐っこい。
なのに、スリリングで軽快で、ノれる。
sumikaらしいカラフルかつ疾走感のあるナンバーだ。
「ソーダ」然り、「Lovers」然りのsumikaの代名詞のような魅力だ。
ポップなのに、歌やメロディーだけが強いんじゃない。
バンドのアンサンブルも痛快でリズムも心地よいから、「サウンド」も強い。
ライブバンドとしての強さもプラスされて、この方面で突き刺してきたときの破壊力がとてつもない。ポケモンのカイリューのはかいこうせんとか、フレッシュプリキュア!のプリキュア・ハピネス・ハリケーンとかそういう類の破壊力だ。
キーボードとドラムが自由自在に音符で絵を描き、その音符の上を朗らかかつパワフルな歌声で片岡がメロディーを紡ぐのだから、そりゃあ強くて当然すぎる。対戦ゲームだったら、秒で降参せざるを得ない強さだ。
というわけで、「運命」ってわりとsumikaの持ち味を全面に打ち出した楽曲だ。黄金比的な構成であり、sumikaの魅力を全部載せくらいの濃厚さはある。
でも、「Poker joker」を聴いて、すぐに思うのだ。
濃厚と思っていたそれは、ぜんぜんsumikaの「全部」ではなかったということに。
「Poker joker」は「運命」よりもテンポ感を落とした楽曲で、各楽器のサウンドの表情もまったく異なる。ある種のユーモラス感もあるし、ヒリヒリとした高揚感もある。「運命」が白だとしたら、「Poker joker」は黒。それくらいに、楽曲が持つかっこいいがまったく別の方向に突き刺さる。
でも、sumikaの知らない顔をのぞいたぞ!感はなくて、良い意味でどちらの歌もsumikaの根っこが明確に繋がっている。言葉にするとむずいんだけど、幅広いのに、全部通じているという凄さがあるのだ。
そんな諸々に触れていると、たまらなく、アドレナリンが溢れていたのだ。こんな刺激に満ちた音を、誰よりも近い距離で浴びているからこそ、sumikaはいつまでも”若い”のかもしれないと、ふとそんなことを思う。
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