THE BACK HORNの話

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THE BACK HORN(以下、バクホン)について書こうと思う。

さて、この記事を書くにあたって、自分の中でのバクホンのイメージってなんだろうかと考えてみた。

月並みな言葉かもしれないが、男臭いバンドであり、独特の闇に覆われつつも圧倒的な熱量もあるという感じ。

ギターの音が強めの轟音なサウンドと、身も蓋もなく全てをさらけ出すような山田のボーカルも大きな持ち味。

ロックシーンのトレンドが変わってもそこにはあまり靡かず、ヒップホップやトラップ以降のビートがトレンドになってもそこには靡かず、でも意固地になって自分たちの音楽を保守的に守っているのかといえば、そういうわけでもなく、バンド的なサウンドアプローチは少しずつ変えながらも、自分たちが思うかっこいいを音にし続けてきた、そんなバンド。

簡単に思いを言葉にすると、そんな感じになる。

もうちょっと俗っぽい言い方をすると、バクホンの音楽って、まず踊るって感じの音楽ではない。

みんなで手を繋いでハッピーになろうぜ!って感じの音楽でも(基本的に)ない。

かといって、暴れて嫌なことを忘れようぜ!って感じの音楽でもないし、バクホンの音楽で大きなサークルモッシュができる光景を、僕は想像することができない。

それをもう少し具体的な言葉にするならば、ロックフェスで「よく起こるノリ方」と、バクホンの音楽は対極的なのかなーと思うのだ。

で、この「対極さ」にこそ、バクホンの唯一無二さが現れているように思うのだ。

ただし、他のバンドでも「対極さ」であることが多いけれど、時代が変容していくなかで、上手にトレンドを取り込むことも多い。

ACIDMANやストレイテナーはその辺に自覚的な気がするし、9mmや時雨なんかは今はトレンドではなくて初期の頃は爆発的な人気を放っていて、唯一無二の音楽そのものをトレンドにしてしまっていたりする。

が。

バクホンの場合は2001年に「サニー」でメジャーデビューした頃から、ずっと、トレンドに対して「対極」的であったように思うのだ。

当時の頃に想いをはせて初期の音楽を聴いてみても、(その時の)若者に受けそうな音楽ではなかったように思うのだ。(実際、その頃からなんか独特の立ち位置だった気がする)

どちらかといえば、大人(ちょっと一世代前のロック好き)に受けそうな感じの音を鳴らしていたように思うのだ。

じゃあルーツロック宜しくな、大人に媚びた音楽をやっていたのかといえば、そんなわけでもないのがバクホンの特徴である。

歌詞を読めばわかるように、常に大人たちに中指を突きつけていて、常に反抗心を剥き出しにしているような感じであり、ネガティブにまといながら、ギラギラした何かを叫ぶように歌っていた。

平たく言えば、メジャーデビューしているバンドのはずなのに、常にメジャー感のないバンドだったのだ。

今では硬派なBRAHMANみたいなバンドでも、どこかのタイミングでは唯一無二であることがシーンとハマって、ムーブメントを起こしていたりする。

でも、バクホンはずっと、メジャーなのに独特な位置で音を鳴らしており、しかもメジャー落ちすることなく、今もメジャーのバンドとしてシーンに存在感を示している。

そんな不思議な立ち位置のバンドである。

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バクホンの音楽の話

バクホンの中でも特に知名度が高い「コバルトブルー」だって、そういう価値観が通底しているように思う。

<変わらないこの世界 くだらねえこの世界>というフレーズにもあるように、現状に不満を叫び、ネガティブなオーラをちらつかせながらも、サビに入るとその世界と台頭する意志をみせ、拳を突き上げたくなるようなエモーショナルな熱気を生み出していく。

そうなのだ。

サビでは、どの歌も拳を突き上げたくなるような高揚感が生まれてする。

ここもバクホンの大きな特徴であるんだけど、ここで思うのは、バクホンって単にコアでディープなゴーイングマイウェイな音楽をやっているバンドではないということだ。

どういうことか?

例えば、サウンドとボーカルの歌い方、リズムの打ち方や歌詞のテイストもメジャーバンドのそれではないし、わかる人にはわかるって感じのテイストである。

でも、不思議と、メロディーだけを取り出すと、どちらかというと歌謡曲的であることも多いのだ。

仮にコード弾きをしたギターの弾き語りで歌ってみせてもきちんと成立するような、メロディーの強さを持った歌が多いのだ。

いかにもロックバンドというテイストのバンドなんだけど、実は生み出す楽曲はロックバンドというテイストじゃなくても、きちんと成立する楽曲が多い。

少なくとも、僕はそのように感じる。

だからこそ、キラーフレーズの歌詞が胸に突き刺さるし、バクホンの歌に鼓舞されたり、魅力されたりするのかなーと思う。

単に尖っているわけではなく、バクホンならではの絶妙なバランス感を宿しているからの魅力というか。

個人的に、ここがバクホンにおいて重要な魅力だと僕は思っている。

まとめ

というわけで、バクホンのことを書いてみたんだけど、改めて言葉にすると難しいバンドである。

男らしい硬派なバンドなんだよ、と言えばそれまでなんだけど、単にそれだけで説明がつくバンドではないから余計に言語化しにくいのだ。

ライブにこそ本当の熱狂があるといえば、それまでなんだけど、どうせ言葉にするならそこに逃げたくなかったので、まどろっこしい言い方をしつつ、バクホンの音楽と向き合ってみた。

なんか暗そうだし聴いたことがないという人は、ぜひ一度聞いてみてもらえたらと思う。

こういうロックバンドもかっこいいなあ、ってきっとそんな気持ちになると思うから。

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