Novel Coreの「ジェンガ」で感じたグッとポイントの考察

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例えば、一人好きなアーティストがいるとして。

そのアーティストのどういうタイプの音楽が好きかって、人によると思うのだ。

同じアーティストが好きな人同士であったとしても、アップテンポの歌が好きという人もあれば、バラードこそが真骨頂という人もいるだろう。

自分の話で考えてみると、これはアーティストごとに異なるよなーと思う。

アップテンポの歌にこそ惹かれるアーティストもいれば、バラードにこそ惹かれるアーティストもいるからだ。

ただ、そのアーティストの音楽的な幅が広ければ広いほど、この「どっちの方が好きか」に迷うことになってしまう。

基本的にリズム感が良いなあと思うアーティストであればアップテンポの方が好きになるし、真っ直ぐな歌声が好きなアーティストであればバラードの方が好きになる。

そういうケースが多い。

でも、幅広い音楽性を持ち合わせたアーティストだと、リズム感も素晴らしいし、歌声も真っ直ぐで聴き惚れてしまうという事態が生まれてしまうのだ。

だから、どっちの方が好きかを選ぶのが難しくなってしまう。

個人的には。

何でこんな前置きをしたのかというと、 Novel Coreというアーティストもまた、「どっちの系統の歌が好きか」を選ぶのが難しいアーティストだと思っているからだ。

新曲となる「ジェンガ」を聴くことで、よりその気持ちが強くなった。

それだけ「ジェンガ」という楽曲に惹かれたからなんだけど、この記事ではそんな「ジェンガ」のどこが良いと思ったのかについて、簡単な感想を書いてみたい。

本編

Novel Coreの「ジェンガ」の話

「ジェンガ」という歌がどんな歌かを端的に説明すると、こうなる。

ゴスペル調のミディアムナンバー。

ゆったりとしたテンポで和音を鳴らし、その音の上を Novel Coreの凜とした歌声が響いてくる。

ベースのシンプルかつ音数少なめで楽曲が展開していく。

サビに入ると、鍵盤やエレキギターやドラムも混ざって、サウンド自体は豪華になってくるけれど、基本的にどの楽器も一定的なリズムの中で音を鳴らしている印象。

そのため、リズムのトリッキーさというよりは、歌そのものや歌が紡ぐ言葉の意味性を味わう歌になっている印象を受ける。

そして、この展開がとても刺さるのだ。

というのも、 Novel Coreの歌声が暖かくて、力強くて、胸にすっと入ってくるのだ。

歌詞に寄せれば、「人の心のその内側」にすっと言葉が入ってくるような心地を覚えるのだ。

そう。

このボーカルの温度感で、美しいメロディーラインを、真っ直ぐな言葉のひとつひとつを、丁寧に歌い上げるからこそ、歌そのものがとても深くまで突き刺さるのである。

染みる、という表現が個人的にはしっくりくる。

「ジェンガ」という歌は、吸水性抜群のタオルのように、どこまでも歌と言葉が染みる歌になっている。

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「ジェンガ」の歌詞世界

自分はそこまで歌詞に惹かれるタイプの人間ではないんだけど、「ジェンガ」は不思議と言葉のひとつひとつに惹かれてしまっていた。

おそらくそれは言葉のひとつひとつが、 Novel Coreの日頃の”人生”の向き合い方が落とし込まれているから。

そんな風に思うのである。

歌ってふたつのタイプがあって、聴く人に視線を合わせて言葉を組み立てるものと、自分の視線に合わせて言葉を組み立てるものがあると思っている。

前者は、服装で言えば周りの人の「ウケ」が良いものを着ている状態。

後者は、着ている本人が着たい服を着ている状態。

そんな風に思っている。

で、商業ベースで音楽をやる以上、多かれ少なかれリスナーを意識しながら音楽を作っているとは思うけど、バランスっていうものがあると思うのだ。

そういう風に考えたとき、Novel Coreのこの歌は、どこまでも誠実に自分の想いや考えと向き合いながら、言葉を紡いでいる印象を受けたのである。

別にNovel Coreの人となりを知っているわけじゃないんだから、何を言っているんだという話ではある。

んだけど、フレーズのひとつひとつを聴いていると、それくらい言葉が自分の胸に入ってくるのだ。

この歌を聴いている今こそ、

完璧には 分かり合えないのに
僕らは知りたがる 人の心のその内側

「ジェンガ」の一節である、そんな状態になっているのかもしれないなーなんてことを思う。

でも、この歌って、内側に秘めている色んな考えを湧き立たせてくれるような、そんな心地にさせてくれるのだ。

この歌は「傷付くことに慣れていくこと」と反対の心情を丁寧に言葉にしていて、諦念をしっかり見据えつつも、その上で希望を口にしているこの歌のメッセージにぐっときてしまう自分がいる。

多幸感のあるサウンド世界の中で、わりと真っ直ぐに”死”とも向き合っている感じの言葉。

相反しそうで、表裏一体となる要素が両立する、鋭いメッセージの歌だからこそ、描くことができる”奇跡”が際立っているのかなーなんてことを思うのである。

まとめに替えて

要は、「ジェンガ」という歌が自分はとても好き、というのがこの記事の結論。

で、自分はそれまではわりとNovel Coreってラップのかっこよさだったり、ダンス的なアプローチも含めたリズムのスリリングさに(どちらかといえば)魅了されることが多かったんだけど、「ジェンガ」にハマってしまうことで、その方式が良い意味で完全に崩れてしまった、というのが冒頭の話との繋がりである。

どっちのNovel Coreもいいんだよな、というのが今の率直な感想である。

「ジェンガ」ってバズ的な広がりでインスタントに知名度を上げるのではなく、丁寧に触れれば触れるほど歌の魅力にハマっていくタイプの歌だと思うので、穏やかなテンポでゆっくりと、でも着実に少しずつ色んな人の胸に届くような歌になってほしいなあーなんて勝手なことを思う自分なのでした。

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