「ホワイトノイズ」で垣間見える、藤原聡VS小笹大輔の構図

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Official髭男dismといえば、どの曲を思い浮かべる?

この問いを投げかけると、きっと今は「Subtitle」と「ミックスナッツ」の名前を挙げる人が多いと思う。

なぜなら、両曲とも2022年という一年を代表する一曲で、きっとこの楽曲を聴いた人がたくさんいるからだ。

自分も今のモードで言うと、すっかりヒゲダン=「Subtitle」になっている。

それだけ、この歌をよく聴いたのだ。

そのため、ヒゲダン=切ないメロディーラインとか、原作への寄り添い方が異常なレベルの繊細な歌詞とか、儚くも力強いバンドサウンドとか、そういうイメージになりつつある。

いや、あった・・・・と言うべきかもしれない。

なぜなら、一曲のリリースをもって、そういうイメージを一瞬で粉砕にしたからだ。

それがOfficial髭男dismというバンドの恐ろしさだからだ。

そう。

2023年の頭に「ホワイトノイズ」という楽曲がリリースされて、2022年で作り上げられたヒゲダンのパブリックなイメージは再び粉砕していくことになったのだ。

「ホワイトノイズ」の話

まず、冒頭の歪んだギターがかっちょいい。

TVアニメ『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編の主題歌ということもあって、オラオラ感を強めにしているんだろうけど、メタルなどの音楽も愛好している藤原聡と小笹大輔のタッグだからこそのゴリゴリ感がみえまくっている。

そう。

ヒゲダンって「Subtitle」のような切ない楽曲の”心の突き刺し方”もえぐいんだけど、ゴリゴリなナンバーを歌わせたときのゴリゴリ感もえぐいのである。

「ホワイトノイズ」の冒頭に触れて、早速2022年の作品で凝り固まろうとしていたヒゲダンのイメージをぶち壊しにかかる。

そういえば、確かに「ミックスナッツ」もゴリゴリ・・・ではあった。

でも、ゴリゴリの種類がまったく違うのである。

「ミックスナッツ」はスーパー松浦匡希タイムに何度も突入する楽曲だった。

言ってしまえば、軽快な”リズム”がポイントの楽曲であった。

でも、「ホワイトノイズ」はリズムアプローチではなく、ギターの音とフレーズかっこよさに心が惹かれるのである。

「ミックスナッツ」は松浦匡希と呼んでもいいくらいの楽曲であったけれど、「ホワイトノイズ」は完全に小笹大輔と呼んでいい楽曲だと思っている。

それくらいにギターがかっちょいい。

小笹大輔って、一見爽やかで華やかに見えるポップソングでも、切なさが売りの感動バラードでも、密かにゴリゴリにギターをプレイしているタイプのギタリストであるけれど、「ホワイトノイズ」は<一見すると>の前置きを吹き飛ばして、常にゴリゴリのギターを披露している。

サッカーでいえば、いつもはボランチ気味のMFなのに、「ホワイトノイズ」は前田大然も悲鳴を挙げるレベルの圧倒的前線で、音楽という名のフィールドを駆け抜けている印象。

藤原聡が迫力あるボーカルを披露しているにもかかわらず、そのすぐ側で、うぃ〜んぎゅぃ〜んぎゅわぁぁぁぁぁぁあああああああああああああん!!!!!!!!とソリッドでテクニクカルのギターを披露しているのだから。

マジで、この今までとは違うハーモニーがかっこいいのだ。

藤原「瓦礫の下にぃ〜♪ 埋もれたぁ〜♪ 弱ぁ虫の声は〜♪」
小笹「うぃ〜んぎゅぃ〜んぎゅぎゅーーーーーーーーんっ!!!!!」

藤原「いくらぁ〜♪ 耳すましてもぉ〜♪ 聞こえやしないさぁ〜♪」
小笹「ぎゅぎゅぎゅんーーーーーーーーんっぎゅぎゅぎゅっっっ!!!!!」

藤原が歌う言葉を嘲笑うかのごとく、耳をすまさなくても、ゴリゴリに聞こえてくる歪んだ小笹のギターを堪能することができる。

そして、圧巻なのは、2番のサビ終わりの間奏のギターソロ。

藤原のボーカルが一旦身を引き、完全にギターのサウンドが歌の主役になるとき、全ての封印を解き放ち、圧倒的な躍動感が場を支配することになる。

スマートかつ豪快なチョーキングと、細かさと激しさが共存するハンマリングとプリングの連続・・・・。

その瞬間、「ホワイトノイズ」と書いて、この歌は小笹大輔となるのであった・・・。

 

 

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「ホワイトノイズ」の聴きどころ

ところで、「ホワイトノイズ」の聴きどころは、小笹大輔のギターだけでは、ない。

例えば、歌詞。

今作はTVアニメ『東京リベンジャーズ』聖夜決戦編の主題歌ということで、

・排気音
・猛スピードで進む
・闇をスクラップ
・ヘッドライト
・瓦礫の下に埋もれた弱虫の声
・リベンジ
・ヒーロー

などなど、原作を知っている人であれば、いかにこの歌詞が原作に寄り添いながら言葉を積み上げているかを実感する内容になっている。

そう。

この歌の物語は、『東京リベンジャーズ』と同様、一度は”負けかけていた”あの頃の自分が再びリベンジする、というストーリーになっている。

で、この歌、単に原作に寄り添うために”リベンジ”の話をしているだけでなく、きっちりOfficial髭男dismの歌としても”リベンジ”していることに気づく。

というのも、「ホワイトノイズ」は未だに音源化されていない初期のヒゲダンの楽曲である「トライアングルを回せ」とリンクするように歌詞が書かれているのである。

これは、「トライアングルを回せ」の動画を公開した際の公式のツイートであるが、

ああそうか あの夜から 僕は戦っていたんだ 何も変わらなくとも

上記のフレーズが、「ホワイトノイズ」の下記のフレーズとシンクロしていることがわかる。

ああそうさ あの夜から あなたを迎えに来たんだ 何度しくじろうとも

「トライアングルを回せ」で<あの夜から変わらなくとも戦っていた僕>を、「ホワイトノイズ」では<迎えに来た>と読み取れるようなフレーズにしていることがわかる。

それこそ、『東京リベンジャーズ』の世界観のように。

そのため、「ホワイトノイズ」の”リベンジ”は『東京リベンジャーズ』に捧げたものである一方で、過去のOfficial髭男dismに対しても捧げたものとして、聴けるようになっているのである。

「トライアングルを回せ」は音源化されていないため、今は聴くことできないことが口惜しいと思う瞬間である。

まとめに替えて

一縄筋ではいかないのが、Official髭男dismである。

そして、楽曲を重ねれば重ねるほど、その<一縄筋ではいかない>が深いものになっていく。

だから、このバンドは凄いんだよーと改めて感じた、そんな話。

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