前説
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ふとしたタイミングでKinKi Kidsの『O album』を聴いている。
久しぶりにじっくりと聴くKinKi Kidsは良いなあとしみじみと思う。
そう。
『O album』というアルバムがとっても良いわけだ。
なかでも特に良いのが「新しい時代」というバラードソング。
この歌はボーカルとしての美しさや、歌謡曲を洗練させてきたKinKi Kidsならではの魅力が宿った一曲だと思う。
また、作詞は堂本剛が担当しているんだけど、この歌詞も良い。
詳細は後述するけれど、言葉の積み重ね方とその眼差しのあり方がとても良いのだ。
というわけで、この記事ではKinKi Kidsの「新しい時代」について書いていきたい。
本編
変化していくサビ
「新しい時代」が面白い点のひとつとして、サビのあり方が挙げられる。
曲によってはサビって同じ構成・構造のものを3回繰り返すだけの歌もある。
が、「新しい時代」は毎回、サビの内容が変わるのだ。
1番のサビでは堂本剛と堂本光一がそれぞれ一人で歌唱して、最後のハモる。
このそれぞれのパートが良い。
元々、KinKi Kidsってふたりとも歌が上手いコンビである。
ただ、キャリアを重ねるころで、それぞれの武器や個性がより明確になったからこそ、それぞれが自分のパートを歌うこのサビがぐっとくるのだ。
澄み切った高音で魅了する堂本剛の歌声。
優しく包み込むようにしっとりと歌う堂本光一。
二人の持ち味が存分に溢れたサビであるように感じるわけだ。
そして、一番ではそれぞれが一人ずつ歌ったサビを二人でハモリながら歌う。
このハモリ方もまた秀逸で。
堂本剛と堂本光一の歌声が絶妙に混じり合うのだ。
フレーズごとに上でハモったり下でハモったりと、その入れ替わり方も絶妙なんだけど、二人の声のバランスもまた絶妙なのだ。
剛の声の主張が強くなったかと思えば、ふいに光一の歌声がその存在感を顕にするような構成。
この歌の歌詞にある<僕ら>のように、二人の声がそれぞれを支え合っているような印象を受けるのだ。
このように美しいサビのラインで心をぐいっと掴んでくるわけだけど、圧巻は3番のサビ。
ここで、ついに二人が同じメロディーラインを歌う。
美しいハモリパートを事前に提示しているからこそ、サビでユニゾンするパートの力強さにぐっとくるのである。
堂本剛と堂本光一の歌声が完全に同じメロディーラインで混じり合ったとき、まるでこの歌のメッセージのひとつとなる<抱き合えるその日>を感じさせるのである。
言葉の流れで二人の声の動き方にシンクロしたものを感じる。
だからこそ、よりぐっとくるのである。
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コロナを見据えた歌詞
きっとこの歌はコロナ禍を受けて、堂本剛が感じたことを歌詞にしたのだと思う。
会えなくなってから どれだけ経ったんだろう
直接的にコロナ禍を受けての言葉ではなかったとしても、冒頭から始まるこのフレーズが、今は色んな意味を持つことは確かだ。
その後に綴られていく言葉もこのご時勢だからこそ刺さる言葉で、人と触れ合うことが難しくなった世の中だからこそ<抱き合えるその日へ>の痛烈に響く。
堂本剛らしい眼差しで今を描いているように感じる。
この歌が良いところは、そういう今の世の厳しさをきちんと受け止めながらも、そこから一歩踏み出して自分たちらしく未来に向けて希望を託しているところである。
繋げよう
シンプルな言葉ではあるんだけど、この二人が歌うからこそ、この言葉がどこまでも凛として響く。
こういう視座で言葉を紡げるのが流石だなーと思うのである。
今だからこそ描ける空気を取り入れつつ、そこにしっかり然るべきメッセージを提示できるのは、それぞれが自分たちのフィールドでキャリアを重ねている今のKinKi Kidsだからこそだと思う。
まとめ
ただ、歌詞の内容がどうこう以前に、KinKi Kidsのボーカルが素晴らしい。
こういうしっとりとしたアレンジかつ、壮大なストリングスを活かしたバラードが映えるのはKinKi Kidsのボーカルだからこそ、である。
優しくじんわりと響く美しいバラード。
こういうご時勢だからこそ、ぜひ言葉を噛み締めながら聴きたい一曲である。
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