04 Limited Sazabysの音楽の変わらない爽快感の秘訣の考察
※2024年に書いた記事に、2025年追記する形で更新しています。
ブログの過去記事を読むと、前に04 Limited Sazabysに書いたのが4年前であることに気づいた。
わりと頻繁に書いているつもりだったけど、こんなにも期間が空いてしまっているとは・・・。
これは、久しぶりに新しい記事を書かねばということで、今日は04 Limited Sazabysを題材にした記事を書いてみたいと思う。
本編
とにかく聴いていて気持ち良い
早速、本題。
04 Limited Sazabysの音楽の魅力とは何だろうか?
色んな角度から語ることができると思うけれど、自分的には、とにかく聴いていて気持ち良いところかなーと思う。
例えば、バンドを代表する「swim」。
GENのまっすぐで突き抜けるハイトーンボイスが際立つ楽曲だ。
かつ、バンドサウンドとGENの歌声が向かっている先があまりにもシンクロしているのが気持ち良い。
どういうことか?
例えば、サウンドであれ歌声であれ、世の中のバンドを聴き比べると、陽な部分が見えやすいタイプと陰の部分が見えやすいタイプがいる。
そう考えたとき、04 Limited Sazabysの音楽はあまりにも陽の部分で突き抜けているのだ。
音を聴いていると空を飛びたくなるようなまっすぐさがあって、そういう衝動を邪魔する要素が作品の中に何一つもない。
そんな心地がする。
「Squall」でも、「monolith」でも、それは変わらない。
バンドが持つ根本の魅力は、どの曲でも変わらない。
パンクロックだからこそのかっこよさと気持ちよさと心地よさを、ぎゅっと詰め込んだような衝動があるというか。
熟達な技術で魅了するタイプではないけれど、だからこそバンドの武器が明確になっていて、音にそれが落とし込まれている印象がある。
結果、それが04 Limited Sazabysの魅力となって、強烈なパンチ力を与えている印象なのだ。
まっすぐなパンクであるものの、ある種のサブカル的な空気もある
今はだいぶシーンも変わったので必ずしも当てはまる言葉ではないかもしれないが、フォーリミがシーンで躍進してきたときに思ったのが、これだった。
04 Limited Sazabysって、普段はパンクロックを聞かない人にも、まっすぐにパンクのかっこよさを気づかせる稀有な存在。
あえて言えば、04 Limited Sazabysってある種のサブカルさがあった。
だからこそ、当時はサブカルっぽい立ち位置でシーンをサバイブしていたバンドを聴く人にも刺さった印象があった。
ここでいう”サブカル”が何を指すのかも微妙ではあるが、仮にパンクが王道だとしたとき、そこと対比するような位置付けにあるバンドの音楽、とでも言えばいいだろうか。
なんせ、フォーリミの音楽は「それ以外の層」にも刺さった印象だったから。
それって、バンドのビジュアル的な部分にも接続できると思うし、ヨンフェスを始めたとした独自のカルチャーを生み出した存在にも接続できる話だと思う。
ただ、ここは生み出した音楽作品と接続して語ってみたい。
04 Limited Sazabysってここまでの音楽作品をみていくと、パンク色を強めの作品をリリースすることもあれば、意図的にポップ色強めの作品をリリースした過去もある。
アルバムで言えば、『CAVU』や『eureka』はメジャーデビュー後だったこともあり、比較的ポップな要素が強い楽曲が多く、「Horizon」や「milk」などはポップ色の強い音楽世界を体感できる。
こういう歌もハマるのが04 Limited Sazabysの強さだった。
パンク以外のテイストで、パンクバンドだからこそのカラーと融合させるのが巧みだった。
それは音づかいでもそうだし、ボーカルのトーンでもそうだったようにも思う。
かつ、そういう歌を歌った場合、ただ「歌が良い」だけでは終わらせず、リズムの気持ちよさやメロディーに疾走感のエッセンスを加えて、最終的にパンクロックだからこその気持ちよさに接続する”上手さ”もあったように感じる。
逆に言えば、パンク色全開の歌でも、他のパンクバンドにはない瑞々しさを炸裂させることもあったのだった。
こういうエッセンスのひとつひとつが、これまでパンクロックを聴かなかった人にも、突き刺さった理由のひとつのように思う。
なお、アルバムで辿ると、「SOIL」はわりとパンクロック色が強いアルバムなのかなーと思う一方で、「Galapagos」のような遊び心のある楽曲も収録しており、ジャンル性は強めつつも、その中で様々な色を描いてみせる面白さが04 Limited Sazabysの作品にはある。
変わりつつも、変わらないスタンス
過去から現在に向かって、作品を追っていくと、04 Limited Sazabysってフェーズごとの変化を感じさせながらも、軸を大事にしているバンドであることを感じさせる。
盟友なので、あえて名前を挙げるけれど、THE ORAL CIGARETTESやBLUE ENCOUNTは、わりとフェーズごとにガラリと作風を変える。
時には、それまでのファンが少し動揺するレベルの大胆な変化を作品の中に投じることもある。
でも、04 Limited Sazabysは傾向として、そういう極端な変化はしない。
もちろん、様々なアプローチをするバンドではあるけれど、「作風がすっかり変わってしまった」と落胆させるような大胆な変化はせず、自分たちが大切にしているルーツを軸に、幅を広げている印象を受けるのだ。
そういうまっすぐさもまた、04 Limited Sazabysの魅力なのかなーと思う。
変わるけれど、変わらないの両方を大切にしているスタンスを感じさせてくれるから。
かつ、こういう形でディスコグラフィーを積み上げるからこそ、ライブで新旧織り交ぜたセトリを披露したときも、バンドが持つ疾走感が普遍的な輝きを魅せているんだろうなーなんてことも思う。
2025年リリースの新作EP『MOON』も、聴いていると脳汁が半端ない
2025年に、2年半ぶりに新作ep『MOON』をリリースする。
これが、また聴いていると、脳汁が溢れ出る作品になっている。
「magnet」も、そうなんだけど、ビート感が変わらず速くて疾走感がある。
バンドって、ある程度キャリアを積んで、中堅に入ってくると、テンポ的にブレーキがかかるバンドが多い。
あるいは、バンドとしての技術力が上がったり、ジャンル性を広げようとして、新しいアプローチを採用した音楽が多い。
良い悪いは別にして、初期の頃の好きだった感じとは変わっていく。
そんなバンドが多い。
しかし、04 Limited Sazabysはそういう変化が少ないバンドだなあと思う。
「magnet」を聴くと、あの頃のフォーリミの「良い」と感じる部分を全部詰め込んでいる印象を受ける。
ライブで聴いたら、きっとこんな感じで爆発するんだろうなあ。
そんなイメージが即効で湧き起こる一曲である。
ギターの音の作り方も聴いている感じ、変えていない印象を受けるし、ツービートベースで高速的なリズムアプローチを躍動的に繰り広げる。
GENの持ち味のハイトーンボイスも健在だし、あれ、今この人いくつだっけ???と忘れちゃうくらいに、まるで10代の気鋭のボーカルの瑞々しさでもって、スマートにメロディーを紡いでいく。
フォーリミの魅力って、まさにこれ!
そういう要素をダイレクトに積み上げたような印象を受けるのだ。
「GATE」においても、「Kick it」においても、そういう根本の魅力は変えない。
とはいえ、ep作品としての各楽曲のコントラストはある。
パンクロックというベースはありつつも、この歌はモッシュで暴れたくなるなーとか、この歌は縦にジャンプして盛り上がりたくなる感じだなーとか、そういうビートとかフレーズの違いを組み込むことで、フォーリミらしいコントラストでワクワクを生み出す。
2010年代にフォーリミの音楽でガツーンとやられたときから、2025年に至るまで、その魅力の根源は変わらず、(でも、それはメジャーデビュー後に試行錯誤した中でたどり着いた境地でもあって)、だからこそ、今まっすぐに痛快な音を鳴らすフォーリミにどこまでもワクワクするのである。
まとめに代えて
04 Limited Sazabysの音楽って、からっとした天候のような気持ちよさがあって、しゅわっと弾ける炭酸のような爽快感があって、思わず「飛びたくなる」衝動を与えてくれる。
04 Limited Sazabysの音楽に出会って、それなりの期間が経つけれど、そういうコアの魅力は変わらず、輝き続けているところに、04 Limited Sazabysの凄さを感じた、そんな次第。