前説

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初めて曲を聴いたとき、てっきりふたつの曲を聴いているのだと思った。

最初の雰囲気の良いバラードは短めの曲だったんだと勝手に思ってしまったのだ。

でも、あとから曲名をみると、それは間違いであったことに気付く。

そうなのだ。

曲が変わったというのは大きな間違いで、テイストがまったく違う二曲はふたつの曲だったのである。

とんでもない楽曲に出会ったと思ったのだった。

オメでたい頭でなによりの「推しどこメモリアル」の話である。

本編

ギャップがすごい

まず、イントロは洒脱で壮大な感じがする。

どこをどう切り取っても名曲な感。

きっと、この後、とても美しいメロディーのバラードが始まるんだという予想をしたくなるような旋律である。

その期待に応えるかのように、鍵盤の音色も澄み切っているし、入りのボーカルも洗練されている。

その音色に聴き惚れてしまう自分がいる。

そうなのだ。

この流れ、どこをどう考えても、名曲のそれなのである。

だが。

曲が始まってからおよそ45秒で、その様相は大きく変わってしまう。

積み木ゲームのジェンガをプレイ中、強引に一本のブロックを抜こうとして、積み木タワーが無残に崩れてしまうような感覚。

世界観の崩壊、とはこういう状態を指すためにある言葉なのではないか。

そんな思いが脳内をかすめる。

それくらいに、がらっと曲の様相が大きく変わるのである。

一気に楽曲の世界観は80年代アイドルソングのような雰囲気になり、ボーカルも今まで歌っていたやつと違う(としか思えない)ボーカルしか聴こえてくる。

既存の曲でいうところの「表情が変わる」とは、スケールが違うのだ。

ただ、それが良い感じにドライブしていて、さっきまでとは違うベクトルで曲の世界に惹き込まれていく。

どんな展開になるのかまったく想像ができなくなって、ワクワクがとまらなくなってしまうのだ。

何気に80年代アイドルソングっぽい音色やリズムアプローチが絶妙なのである。

変に現代ポップソングに寄せずに、その楽曲に根ざしている世界観に全振りする感じが良いのだ。

ちなみに楽曲の後半になると、アイドルソングの様相を持ちながらも、オメでたい頭でなによりらしいゴリゴリなラウドロックを展開する。

ユーモアと重厚さのハーモニ。

オメでたい頭でなによりの真骨頂という感じがして、内にある衝動がバイブスしていく。

あーこれはオメでたい頭でなによりにしかできない楽曲だなあと惚れ惚れとさせられるのである。

マジで楽曲の展開のさせ方と、その妥協のなさがエグいのである。

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ユーモアとかっこよさのギャップ

思えば、オメでたい頭でなによりってこのユーモアとかっこよさのギャップが絶妙だなあと思っていて。

例えば、「乾杯トゥモロー」。

「ちんちん」というワードが飛び出たときは単なるネタ曲かなーと楽曲を聴き進めていたら、いつの間にかめっちゃ痛快でスタイリッシュでグッとくる展開になっていたりする。

サウンドはどっしりとしていて、スキのないかっこよさを展開している。

笑いをとるだけの曲かと思ったら、きっちり音楽的なかっこよさで惚れ惚れさせる一面もあるわけだ。

この辺のユーモアとかっこよさのギャップの使い分けが絶妙すぎるのだ。

一見すると、最初から最後までテイストが変わってなさそうに聴こえる「頑張っていきまっしょい」だって、オメでたらしいギャップの部分をすべからく堪能できる。

サウンドは、ラウドロックみがって、シンプルなかっこよさを放っている。

重たい音を鳴らしたり、超絶テクのギターをリフを展開させたりと、聴きどころが豊富である。

でも、単純にかっこいいだけで終わらせない。

ゴリゴリのかっこよさの中に、違うエッセンスを放り込む。

例えば。

わかりやすく元気になる歌詞だったり、応援歌っぽいコーラスの挿入だったり。

語弊を恐れずに言えば、ゴリゴリのかっこよさの中に汗臭い要素を放り込んでいる印象を受けるのだ。

ここで化学反応が生まれて、かっこよさの中にある種の感動が生まれる。

オメでたい頭でなによりらしい、泥臭さがにじんだ応援歌が生まれるのである。

まとめ

楽曲によってギャップの魅せ方は変わるけれど、単なるかっこいいで終わらせないという意味では、どの曲も通じていると思う。

熱さをみせたり、ユーモアをみせたりと、そのテイストは楽曲ごとによって大きく変わる。

ただし、他のバンドにはないバランス感覚で楽曲を構成しているのは確かだと思うわけだ。

だからこそ、オメでたい頭でなによりの音楽に中毒になる人がたくさん生まれるのだと思う。

自分も、その一人だ。

やっぱりこのバンドって、すげえや。

他のバンドにはないセンスと技術力と妥協のなさに脱帽してしまうのである。

「推しどこメモリアル」を聴いて、改めてそのことを感じたのだった。

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