SixTONESの「こっから」、色んな意味で想像を超えていた件
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実は、『だが、情熱はある』というドラマは「たりないふたり」が好きな自分とってはぜひ観たいものだったんだが、きちんと追えていなかったりする。
そのため、主題歌がどんな仕上がりになっているのかも認識していなかった。
ただ、オードリーといえば、ラップだよな、ということはラップ的な雰囲気の楽曲だったりするのかな、そういえば、今では「たりないふたり」といえば、Creepy Nutsをイメージする人もいるよなーなんてことを思いながら、自分がSixTONESの「こっから」を聴いたのは、今日の初めてだった。
で、初っ端からびっくりした。
毎度のことながら、SixTONESが猛烈な勢いで新しいジャンルを自分のものにして、パフォーマンスしていたからだ。
SixTONESの「こっから」の話
溌剌としたラップが猛烈な勢いで楽曲を駆け巡る。
往年のHIP HOPグループもきっと度肝をぬいてしまうような、圧巻のマイクリレーが展開されているのだ。
あれ、SixTONESってHIP HOPグループの呼称だっけ?と思い直してしまうほどに、このジャンルを自分側に引き寄せてパフォーマンスしているのである。
ブレイクビーツでもって、スピード感をもって楽曲が突き進む。
きっと生でパフォーマンスする際は難易度が高いものになるだろうに、きっとそういう時もかっこよくパフォーマンスできるぜ、という自信を感じさせるような流れで、それぞれのボーカルが収音されている。
歌割りの流れも良い。
TOPを飾るのは、田中樹。
こういうテイストの楽曲だと、ビターでソリッド感のフロウが冴え渡る。
メンバーの中でも屈指の技術で、テンポよく高速ラップのリズムを乗りこなしていく。
田中樹のパートが終わると間髪入れずに京本大我がリレーを繋ぐ。
京本大我はハイトーンなボーカルも得意だが、少しのボーカルのエッジの滲ませるのも絶妙で。
田中樹とのリレーがあまりにもスムーズで、良い意味で歌い手が交代したことを感じさせない空気感がある。
すぐさま間髪入れずに、ジェシーがパートを引き継ぐ。
『劇場版TOKYOMER走る緊急救命室』という映画では頼りない役柄を演じていたが、SixTONESの楽曲では、当然ながらバチくそなかっこよさを披露する。
少しハイトーンの色合いをフロウににじませることで、楽曲のボルテージを少しずつ上げていく印象もある。
そして、この高速ラップのパートを綺麗にまとめあげるのが、髙地優吾。
最後のフレーズが特に印象的で、丁寧に最後の語尾が伸びる感じが絶妙。
良い余韻を残しながら、クールダウンするBメロへと繋ぐ。
Bメロでは松村北斗とジェシーのツインボーカルで一瞬空気を変えていく・・・。
かと思ったら、最後は山里亮太役として『だが、情熱はある』にも出演している森本慎太郎が、パンチ力と迫力あるフロウを展開し、再び楽曲の躍動感を際立たせる。
何気に、ジェシーがサビへのブリッヂ的な合いの手を入れる流れも秀逸。
言葉にするとなんだかまどろっこしい説明になってしまっているが、楽曲で聴くと、この流れがマジで秒なのだ。
鮮やかだし、スリリングだし、ワクワクを持続させながら、怒涛のごどくで楽曲が展開していく。
体感じ間が秒で、楽曲がサビを迎える。
メロパートも良いけど、サビも良い
そう。
この歌、冒頭のラップが印象深すぎて、語ることを忘れそうになる。
が、本当に歌メロ部分のサビが、キャッチーで耳障りが良いのだ。
ドラマ主題歌ということもあって、きちっとサビが楽曲のピークになるような構成になっていることを感じる。
個々の個性をさんざん際立たせた後だからこそ、メンバー全員が歌唱する流れが印象に残るのもある。
というのと、サビになってもラップの濃度を下げることないのも特徴で。
「こっから」という楽曲がどういうモードで展開しているのかを強く感じさせる流れになっている。
さらに圧巻なのは、サビが終わったあとにやがてやってくる間奏のパート。
ここを、こういう展開にしているのが、すごく良い。
というのも、ここでめっちゃ、かっこいいバンドの演奏を響かせるのだ。
で、SixTONESはここでバチくそにダンスを踊る。
サウンドとダンスが混ざることで、この楽曲のジャンル性をきちんと提示させていく。
そして、ジャンルという単位で楽曲をみた時のかっこよさも提示させるアレンジなのが良いのだ。
ということを魅せたうえで、SixTONESがこのジャンルに本気で挑むとこういうかっこよさになるんだよ、というの突きつける展開になっているのも良い。
とうに間奏後の、Cメロ→サビの流れで、そのことを痛感する。
ここが、マジで熱くてかっこいいのだ。
まとめに替えて
「ABARERO」というジャンル性を際立たせた楽曲の次に、まったく別のジャンル性を際立たせる楽曲を世の中に発信するSixTONESが、マジで熱いなーと感じた今作。
そして、ジャンルとしては毎回チャレンジが続くが、こういうジャンルでもちゃんと軸にあるかっこよさがブレていないのが良い。
2023年、こういうモードで突き進むのであれば、気が早いかもしれないが、次のアルバムが楽しみだなーと思う。
それよりも、前に。
「こっから」のフル尺を聴くのが、今から楽しみで仕方がない。
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実際、フル尺を聴いて感じたこと
・・・というところまでの本文は、Youtubeに楽曲がアップされたときのもの。
そう、5月某日の感想、ということになる。
つまり、それまでの感想はフル尺ではなく、Youtube尺で聴いた感想だったのだ。
そこからおよそ一ヶ月。
ついに音源はリリースされて、フル尺で聴くことになる。
SixTONESの楽曲を毎回そうなんだけど、フル尺で聴くと、そこからさらに楽曲の印象がひっくり返える。
Youtubeを聴いたときの感じが”こんな感じ”だったからフル尺でも、”こんな感じ”が続くと思って音源を聴いたら、”こんな”では済まない音楽体験を得ることになるのだ。
<黄色信号でずっと進行>からはじまり、<燃やせ>でサビに繋ぐ、Youtubeでカットされているパート。
ここが本当に素晴らしいのである。
いやね、今作はSixTONESの過去曲をいくつか提供しているSAEKI youthKが手がけたものであり、SAEKI youthKがSixTONESに過去に提供した楽曲を連想する、<人人人>という渾身のフレーズから間奏に入るYoutube verの構成も素晴らしかったとは思うのだ。
でも、音源をフルで聴くと、良い意味で<人人人>の部分は2番の中のフリでしかないことを実感するのである。
なぜなら、<黄色信号でずっと進行>からの盛り上がりがえげつないからだ。
<黄色信号でずっと進行>から<腹ん中>までは、尺として15秒ほど。
なのに、この15秒の間に全員のマイクパートが挿入されている。
しかも個別パートは当然ながら、部分的に全員のパートも挿入されており、それまでも十分に激しかったはずの今作の中でも、屈指のマイクリレーを展開することになるのである。
韻を踏み方も丁寧だし、ボーカルを起点にしたリズムメイクも躍動感があって、あれ?SixTONESってヒップホップユニットだっけ・・・?という気持ちにさせるくらいにテンションを爆上げにしていくのである。
何気に、歌の割り方も絶妙で、ここでマイクをパスするんだ!?という面白さがある。
余計な間を作らず、歌が盛り上げるために必要なテンポでグイグイと押し進めることになる。
そして、二人ずつのチームに分かれて、「燃やせ」で繋ぐマイクリレー。
ここが絶品なのだ。
メロからサビに移行する際の盛り上げ方って色んなパターンがある。
意図的に無音を作るとか、ドラムが連打してアッパーにしていくとか、音圧を明確に分厚くするとか。
でも、6人のメンバーが二人組に分かれて、同じワードをマイクリレーをすることでボルテージを上げていく、という手法は、高速な歌割りで魅了できるSixTONESだからこそできる芸当なのではないかと思う。
このパートは6人が心地よい緊張感を持続することができて、はじめて成立するタイプのボルテージの上げ方だと思う。
ここでリズムに妥協が生まれてしまっては、高揚感は生まれないと思うからだ。
しかし、SixTONESは見事にそれをやりのける。
メジャーデビューした当初から、たびたび言及されることではあったが、改めてSixTONESの高速的な歌割りを用いる魅せ方は随一であることを実感する。
メロパートでさんざん温めまくっていたからこそ、サビに移行したときのテンションの上がり方も壮絶だ。
サビは1番と2番でそこまで変化をつけていないが、それまでのお膳立てが見事だからこそ、まったく表情が違って見えるのだ。
・・・ということもあるし、ドラマの物語としてシンクロさせながら歌詞を追っていくことで、フレーズのひとつひとつがより刺さるというのもポイントだなあと思う。
苦節を極めまくったお笑い芸人が、それでも様々な感情を燃料にしながら活動を続けたからこそ到達した地平に想いを寄せると、よりフレーズのひとつひとつが刺さるから、歌が進むにつれてのめり込み方が壮絶になるのである。
まとめに替えて
それまで、なんだかんだで、個人的にSixTONESのシングルで一番印象深かったのは、「Imitation」だった。
それは色んな理由があってのことだが、世にある色んな楽曲と比較したときの”新しさ””他と違っている感”が鮮明だったからだ。
しかし、「こっから」は、自分の中でそれを塗り替えたかもしれない、と思う。
それだけ「こっから」はエネルギーとパンチ力のある歌だと思う。
なにより、この歌って、SixTONESじゃないとかっこよく歌い切ることが難しい歌なんじゃないかと思うからだ。
SixTONESの音楽として、こっから新たなフェーズに入っていく・・・。
そんな一曲なのではないかなあと勝手なことを思ってしまう自分がいるのである。
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