millennium paradeの「U」について

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普通、音楽ってある程度は、カテゴライズできるものである。

これはロックだねとか、ポップ色が強いとか。

あるいは、なんだかジャズっぽい雰囲気だねとか、シティー感があるテイストだねとか。

その言葉が的を射ているかはともかく。

その言葉がどれだけその音楽の本質を捉えているかはともかく。

音楽の鳴らし方には一定数のパターンがある以上、ある程度はジャンルの言葉に収斂していくことができるわけだ。

しかし。

そういう常識の通じない音楽が、この世にはいくつかあって。

ジャンルで形容することが憚れるような、そんな音楽がこの世にはいくつかあるのだ。

millennium paradeの「U」は、そんな楽曲のひとつではないかと思う。

この記事では、そんな「U」における簡単な感想を書いてみたい。

圧倒的情報量で展開されるmillennium paradeの「U」

もともと、millennium paradeは独特のサウンドを鳴らすバンドである。

大きな枠組みで言えばバンドなのかもしれないが、どこかオーケストラ然として音を鳴らすこともある。

そもそも<チーム>という色合いが強い故、様々なジャンルやアート性が作品に中に落とし込まれていくのである。

故に、簡単な言葉では形容できない深みをもったサウンドを鳴らすことになるのだ。

「U」もまた、そういう側面が色濃く出ている。

色んなところから刺激的な音が鳴り響き、不思議な世界へ誘っていくのである。

冒頭の打楽器のビートアプローチの時点で、とんでもない音楽に出会わされたことを強く感じる。

ホーンセクションの取り入れ方も大胆だし。

かつ、様々な音楽が混ざり合っているにも関わらず、過剰には感じさせないところが、「U」の凄さだと思うわけだ。

しかも。

今作は、中村佳穂がボーカルを担当している。

これが、やばい。

鬼に金棒、感のある圧倒的なコラボレーション。

なぜなら、中村佳穂もまたジャンルを越境しているようなアーティストだからだ。

というよりも、中村佳穂の場合、ジャンルがどうのこうのというよりも、単純に音の乗りこなし方が絶妙なのだ。

複雑なリズムアプローチをしているはずの曲を、どこまでも自由な顔でのりこなす凄みがあるのだ。

なので、良い意味で音楽そのものの美しさが際立つし、音楽に真っ白な光が溢れていくのである。

常田が生み出す楽曲は歌いこなす上で難易度が高いものが多い。

しかし、中村佳穂はそんな楽曲を、どこまでも自由にのりこなす。

今回、中村佳穂としてではなく、Belleとしてこの歌に参加しているわけだが、この高揚感は彼女がボーカルを務めているからこそ、と言えるのではないだろうか。

つくづく、そう思う。

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常田の楽曲センス

そして、やはり特筆すべきは常田の音楽センスであろう。

millennium paradeにおいては指揮者のような立ち位置で楽曲をコントロールしているこの男。

今作でも、その鋭敏な感覚を随所に感じさせる。

それが、豪華なのに過剰には感じない音楽として現れているのだと思う。

そうそう。

「U」は、あの細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』主題歌でもある。

人気監督の映画を受けての手掛けることになった今作は、きっと今までの楽曲とは違うプレッシャーがあったように思うわけだ。

色んなアイデアが霧散して消えていったんじゃないかと思うわけだ。

しかし。

「U」の世界観は、これしかないものに昇華されている。

音の組み合わせとして、これしかない形で美学が形作られている。

というよりも、「U」という楽曲そのものがある種の長編映画になっているような、そんな凄まじさを感じさせるのだ。

ノスタルジーでイノセントな細田守の映画ともシンクロ率が高そうな、鮮やかな景色を音楽を通じて描いているように思うわけだ。

クレジットをみれば、この曲にどれだけの音が鳴らされ、そのひとつひとつにどれだけのアイデアが込められているかわかるといえよう。

常田だからこそ、millennium paradeだからこそ、生み出すことができる世界と美学が、「U」という音楽に十全に広がっているように思うわけだ。

まとめ

「U」は、ただただ凄い曲である。

繰り返し聴くほどに、強くそのことを実感する。

「マスカラ」然り、King Gnuの楽曲然り、常にあっと驚かせる楽曲を生み出す常田の音楽センスにただただ驚き、感動するばかりである。

この夏、音楽シーンに燦然と輝くことになるのだろうと、改めて思うのである。

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