前説
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新曲のたびに攻撃力が高いなーと思うバンドって、いくつかいる。
その中でも群を抜いた攻撃力の高さを誇っているように感じるのがMr.Childrenである。
数多くの音楽好きが認めるモンスターバンド。
圧倒的なセールスを誇るのに、未だにギラギラなものを感じるその佇まい。
新作でも、そういうある種の獰猛さをまざまざと見せつけてくる。
本編
近年のミスチルに感じるのは、圧倒的なバンド感である。
自分たちの音で音を鳴らす気概を感じるというか、ポップスとしてではなくロックでその存在感を魅せつける、みたいな気概を感じるのだ。
「turn over?」は近年のミスチルにしたら、わりとマイルドな仕上がりだとは思う。
んだけど、サウンドの節々には今のミスチルのムードみたいなものを感じさせるのである。
ベースにあるアコギの音色に、すでに鋭さを感じる。
あと、桜井さんって楽曲によってボーカルの表情が劇的に変わるタイプだと思うんだけど、今作はロックモードのときのボーカル感があるのだ。
なんというか、もっと優しい声も出せるはずなのに、そっちには首を振っていないというか。
まあ、この辺りは個人的な感じ方なので、人によってまったく違う捉え方をするのかもしれないけれども。
あと、余計なサウンドを排することで、乾いたバンドサウンドがダイレクトに届くような心地も覚える。
ってか、ロックな雰囲気を感じさせるアコギベースのミスチルソングって間違いないように思うのだ。
ちょっと方向性は違うけど、例えば「未来」とか。
わりと今のバンドって、ミディアムなテンポでアコギを入れるとしたら、王道バラードみたいなアレンジに寄せることが多い気がする。
でも、ミスチルって、そういうカードを持ちつつも、そことは違うカードを切るときがある。
「turn over?」って、あーなるほどー今回はそういう類のカードを切ってきたかみたいな鋭さを感じるのだ。
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でも、なんか初期っぽさも感じる
まあ、物心がついたときにはすでにミスチルはモンスターバンドだったので、そんな自分が、ミスチルの初期を語るなんて変な話だ。
けれど、そんな自分でも、この歌には妙な初期っぽさを感じる。
なんというか、楽曲から妙な甘酸っぱさを感じるのだ。
その甘酸っぱさって、令和のそれというよりは、90年代のあの時の感じがあるというか。
良い意味で、90年代のドラマにハマりそうなムードをはらんでいるというか。
だからこそ、今のミスチルのムードも感じるし、昔のミスチルの雰囲気もどことなく感じる不思議な楽曲になっているのだ。
もし、この歌が初めて聴くミスチルだったとしたら、もしかしたらそこまで心が惹かれるわけではないかもしれない。
でも、色んなミスチルの歌を聴いてきて、各々の好きなミスチル像があるなかで、これを提示されると、その絶妙な突きどころにぐっとくるのかなーなんて思う。
少なくとも、自分はそう。
だってさ、たぶんミスチルならもっと劇的な進行にすることもできただろうし、逆にもっと趣味性を研ぎ澄ませることだって、できたはずなのだ。
その中で、あえて「ここ」に置いてくる。
そういう絶妙さに、ぐっときてしまう。
スルメ曲っぽいけど、しっかりとんこつラーメンのようなこってりさもあって、爽やかだけど獰猛で。
こんなの、ミスチルしかできない芸当だよなーと思うのだ。
そして、その絶妙さに自分はやられたクチなのである。
まとめ
ただひとつ言えることがある。
それは、こんなの50歳のメンバーたちが作った音楽じゃないでしょ、ってこと。
楽曲全体からは、どことない瑞々しさがかおっている。
手癖がつきまった「いつものやつ」って感じではなく、今の新鮮さをきちっと形にした印象を受けるのだ。
もしかしたら、そういう部分が=甘酸っぱさとなって、この歌にある種の初期感を与えてくれているのかもしれない。
つくづくミスチルの新曲を聴くたびに思う。
やっぱり、このバンド、すごいわーと。
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