XGの「 WINTER WITHOUT YOU」が極上の音楽体験な件
[ad]
自分はバンドだったり、いわゆるロックと呼ばれるジャンルが好きなのだが、その一方で、歌やラップ、あるいはダンスで魅了する多人数のアーティストにも惹かれがちである。
これにはきちんと理由があって、バンドにはバンドの刺激があって、ダンスグループにはダンスグループの刺激があって、それぞれの良さがあると自分は感じているからだ。
喩えとしては微妙かもしれないが、和食には和食の良さがあって、洋食には洋食の良さがある。
もちろん、日によって「今日は和食が食べたい」という日もあるし、「今日は絶対に洋食だ」という日もある。
濃い料理が食べたい日であれば、わりと洋食優位になるだろうし、さっぱりしたご飯が食べたい日であれば、わりと和食が優位になる・・・みたいな”傾向”は確かにあるんだけど、どっちが優れているとかは一歳ない。
その日によって食べたいものは変わるし、どっちも素晴らしいものである。
そのことには、変わりないわけだ。
それは音楽においても、一緒。
ジャンルが違うと、今日はこれが聴きたいとか、こういうシチュエーションだとこういう音楽が刺さるとかはあるけれど、自分にとって優越でどちらのジャンルに傾向することはない。
しかも。
ひとつのダンスグループ、というものにスポットを当てたとしても、そこから枝分かれに奥深さが宿っている。
例えば、ゴリゴリにラップやダンスを炸裂させるアッパーなチューンに惹かれがちなアーティストがいたとする。
そのアーティストの激しいパフォーマンスに惹かれているとする。
でも、そこから激しさがなくなって、ふいに真っ直ぐなボーカルで披露する歌メロソングが発表されたとして、そのギャップ?みたいななものに、ぐっと惹かれることもあるわけだ。
通年でいえば、春夏はアッパーなチューンに惹かれていて、年の瀬に、ふいにリリースされるミディアムナンバーでは、また違う刺さり方をする・・・みたいな感じ。
やたらと前置きが長くなってしまったが、ついさっきも、そういう年の瀬に、ふいにリリースされたミディアムナンバーに刺さってしまった自分がいたのだった。
というのも、XGの「 WINTER WITHOUT YOU」が現在進行形で、刺さっているのだ。
この記事では、そんなXGの「 WINTER WITHOUT YOU」の話をしてみたい。
XGの「 WINTER WITHOUT YOU」の話
XGはこれまでの楽曲ではアッパーなイメージの楽曲が強かった。
作品の軸にあるジャンルをしっかりすくったうえで、圧倒的なパフォーマンスを披露する。
そんな力強さがあったのだった。
しかも、XGって、多人数のアーティストが魅せがちな「音楽とは関係ない部分のキャラクター性」を作品中から取っ払って、真っ向からパフォーマンスそのもので魅了してしまう凄みがあるような気がしていて、そこに惹かれがちである。
キャラクター性・・・というとなんだか誤解を招く言い方かもしれないので、言葉を変えると、XGの音楽って、他のグループとはまた違うクリエイティビティを発揮している印象なのである。
いやね、別にキャラクター性を作品の中に出すことは自体は悪いことではないと思うし、むしろ自分の色合いを作品にしっかりと投影する作品って自分はものすごく好きのである。
でも、XGの音楽って、音楽を楽しむうえで、横道にそれてしまうようなキャラクター性が取っ払われている気がしていて、だからこそ、パフォーマンスへの解像度がどこまでも高い気がしていて、その音楽的に強度にぐっときてしまうのである。
ただし。
これまでXGのパフォーマンスの高さを音楽作品に落とし込むうえで、ある種のアグレシッブさが軸になっていたようには感じていた。
つまり、XGの音楽はある種のアッパーさがいつも宿っている気がしていたのだ。
そんな中でふいに発表されたのが、「 WINTER WITHOUT YOU」という作品だった。
この「 WINTER WITHOUT YOU」は、穏やかなリズムの中でメロディーを積み上げていく楽曲であえる。
そのため、これまでのXGの楽曲の中でも、ぐっとボーカルそのものにスポットが当たっている心地を覚える。
ここに、自分は改めて惹かれてしまうのだった。
[ad]
「 WINTER WITHOUT YOU」のもう少し具体的な感想
では、ここから、もう少し具体的に、楽曲の流れを追いながら、話を進めてみたい。
まず、この歌は冒頭25秒ほど、コーラスを挟みながらしっかりイントロを聴かせる構成になっている。
しかも、このイントロで不思議とWINTER感を覚えさせてくれる。
WINTERソングでよくあるベタな音をそこまでしっかり入れ込んでいるわけではないはずなのだが、音の重ね方やテンポ、余白の使い方が絶妙なのか、この開始25秒で不思議とWINTERの空気を十全に感じるのだ。
そして、そこから幕開けるボーカルのパート。
実は、この歌、最初のボーカルではわりとメロディーが詰まっていて、テンポに対して捲し立てるようなボーカルになっている。
でも、楽曲全体のテンポが穏やからだからこそ、歌詞が際立たせながら「歌」をしっかりと届けてくれる。
そうなのだ。
このひとつひとつのボーカルの輝き方が絶妙なので、次々にボーカルがバトンを受け継ぐ流れながらも、統一した世界観を感じることができて、その音像がどこまでも美しいのである。
サビを挟んだあとは、ラップを披露するパートもあるし、丁寧に聴いていくと、各々のボーカルのメロディーも色んなパターンで展開されていることがわかる。
でも、不思議と楽曲は落ち着いた印象を与えてくれるし、情報過多なという印象もなく、すーっと歌が耳に入ってくる。
これって、XGのボーカルが秀逸だからこそ、だと感じる。
というのも、XGのボーカルって、歌詞をメロディーとリズムにのせるのがとても上手い。
英語の歌い方もそうだし、どの言語だからとか抜きにして、音符をリズムにのっけるやり方が秀逸なのだ。
だからこそ、R&B的な心地よさが半端ないことになる。
結果、この歌って、しっとりしているんだけど、リズム的な「ハネ」もしっかり感じることができる。
一方、歌としてしっかりハネているんだけど、どこまでもミディアムソングとして、しっとりと聴くこともできるのだ。
まとめに代えて
XGのアウトプットの素晴らしさを改めて感じた今作。
自分たちの居場所を作り、J-POPのトンマナに染まるのではなく、己のやり方でサバイブしてきたXGだからこその境地と美学を堪能できた「 WINTER WITHOUT YOU」の世界。
つくづく思う。
XGには、他のアーティストとは違う形で世界の音楽シーンに存在感を突きつけ続けてほしいなあ、と。
来年の活躍も楽しみだし、ここからさらにどのように進化していくのか、楽しみで仕方がない。
[ad]