前説
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Official髭男dismの「パラボラ」が最近の個人的なブームになっている。
なぜ、自分の中でブームになっているのか。
そのことをこの記事で書いていきたい。
本編
春っぽいテイスト
一聴しただけで、春に向けて書いた歌である感じがものすごく伝わってくる。
サウンドの手触り、声の優しさ、歌詞の方向性、楽曲のテンポ。
すべてが春という季節“らしい”仕上がりになっているのだ。
春ど真ん中の楽曲に、今のヒゲダンが向き合ったらこうなった。
そういう感じが伝わってくる。
その率直さが、すごく良いのである。
なんせ冒頭のワードが「ダンボールだらけから幕開けた日々は」である。
このフレーズの時点で、春の新生活が舞台である感が満載ではないか。
ワンセンテンスで、そのことを伝えてくる周到さが、たまらなく良いのである。
イントロの音作りも春らしいし、なるべくサウンドも柔らかい感じになるように練られている感じが伝わってくるのだ。
ポップスであることに対して素直
今年のヒゲダンの楽曲といえば、「 I LOVE…」である。
この歌はどちらかというと、脱皮したヒゲダンという感じの歌である。
昨年できあがったパブリックなイメージを脱ぎ捨てるような、そういう意欲作のように感じるわけだ。
なんせ、バンドとしては珍しいアプローチが随所に見られる。
打ち込みが多いし、ゴスペルっぽいテイストを入れているし。
あと、単なる脱皮ソングなだけでなく、伸びやかな歌唱力で魅了する技工派ソングというイメージもある。
カラオケでなんて絶対にこの歌は歌わせないから。
そんな声すら聞こえてきそうな、難解なメロディーライン。
keyの高さ的にも、メロディーの流れ的に歌う人を泣かせるような構造になっている。
でも、「パラボラ」は(ヒゲダンの歌の中では)わりと落ち着いている。
keyも優しめの設定な気がするし、メロディーラインの起伏もわりと穏やかである。
いや、もちろんね、メロパートでも容赦なくファルセットを使ってくる凶暴さがあるし、とてもじゃないけれど、簡単な歌とは言えない。
んだけど、ヒゲダンの歌の中では、間違いなく素直な歌ではあると思うのだ。
サビにおける高音への向かい方にも、ゆったりさがあるし、自慢のハイトーンはわりと抑えめに作られている気がするし。
そう。
そういう構図含めて、この歌は「素直」だと思うのだ。
もちろん、あくまでもいつもと比べたら、という枕詞がつくわけだけども。
ただ、ヒゲダンのそういう素直さが、今回の歌をより名曲たらしめている。
僕はそのように思うのである。
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等身大の歌詞
ヒゲダンの歌はさとり世代の代表である、みたいな言い方をすることが多い。
代表曲である「Pretender」でも、そういう要素が見て取れる。
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った
このフレーズにだって、相当な「悟っている感」が現れている。
この歌を単なる恋愛ソングとして捉えるならば、ここまで自分の人生を達観してしまう恋愛観って不思議だなーと思わされるのである。
でも、なぜか最初からなにかを悟り、諦めてしまうその姿勢こそが、今の「リアル」に映っている。
そして、ヒゲダンの歌は、そういう今の「リアル」を巧みに汲み取っているように思うのだ。
けれど、「パラボラ」はそういう先を見通す悟りや、無駄に人生を達観するようなナリをひそめられている。
主人公の眼差しが地についているというか、目線が並行的というか、歌全体にすごく等身大感が出ているのである。
これも、この歌が春の新生活をテーマにしていることと関係していると思うけれども、この歌のそういう眼差しがたまらなく好きなのである。
まあ、冒頭は風景を描くフレーズが多いのに対して、サビは妙に自分の内面に語りかける言葉が多くて、どこか今までのヒゲダンの楽曲のメンタリティーと通底しているものもあるんだけどね。
逆に言えば、いつものヒゲダンとよそ行きのヒゲダンが良い感じに混ざっているから、より良くになっていると言えるのかもしれない。
なんにせよ、そういうところも含めて、この歌に素直なものを感じるのである。
まとめていくと・・・
そういうすべての要素が交錯して、この歌が自分のマイブームになっているのである。
やっぱりヒゲダンには、こういう優しい歌が似合うよなーと思う。
というか、この歌における藤原の声も、不思議と優しさを感じるのだ。
いつもならドSなハイトーンを見せつけるけれど、この歌はそういうドSを感じさせないというか。
ボーカルの声すらも、どこか地に足が付いているような感じを持つのだ。
まあ、この辺は完全に俺の主観の問題だとはおもうけれど。
というわけで、「パラボラ」は今年のヒゲダンにおいても重要な一曲になるんじゃないかなーと勝手に思っている。
ってか、どのバンドも春って名曲を作りがちよな。
わりと臆面もなく、ポップでキャッチーで言葉の強い歌を歌いがちだからかもしれない。
まあ、その中においても、春らしさはヒゲダンのこの歌がずば抜けているように、僕は思うのである。
まとめ
にしても、春の季語は一言も入っていないのに、春感を感じさせるヒゲダンが凄い。
やっぱりこのバンド、只者ではないよなーとつくづく思うのである。
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