前置き

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最初にOKAMOTO’Sを聴いたのは2010年くらいだと思うんだけど、ぶっちゃけ当時はあんまりOKAMOTO’Sのことが好きではなかった。

なぜか?

別にネガティブな意味で嫌いとかではなくて、単純に当時の自分の趣向に合わなかったんだと思う。

なんというか、ブルースの臭いが強くする、オールド感のあるサウンドの響きが、当時の自分には少し退屈に感じてしまったのだ。

カラーよりもモノクロの映像が似合う感じの音というか。日本語で歌っているけれど、こんなん実質、洋楽やん!的な感じに、少し苦手意識を持ってしまったのだ。

そんな僕も、あるタイミングからは、OKAMOTO’Sのことが大好きになった。

単純に自分の好みが変わっただけだとは思う。

子どもの頃は肉が好きだけど、歳をとれば寿司が好きになるみたいな感じで。

それだけのことではあるんだけど、この記事では、そんな僕がどのようにして、OKAMOTO’Sのことが好きになったのかを書いてみたいと思う。

本編

OKAMOTO’Sに苦手意識を持っていた時代

そもそも、なんでOKAMOTO’Sのことに苦手意識を持っていたのか?

好みでなかったこともあるが、それ以上に、自分が大好きなフェスによく出演していたことも理由として大きい。

僕は大阪在住の人間で、夏は清水音泉が主催のOTODAMAを、冬はFM802が主催のRADIO CRAZYを毎年の楽しみにしている(していた)人間なんだけど、両フェスとも毎年のようにOKAMOTO’Sが出演していたのだ。

個人的にビミョーと思っていたそのバンドは、なぜか自分の好きなフェスに行くと絶対に出演している。

当時の僕は、これが恐怖だったのだ。(今思うと笑い話でしかないんだけど)

とはいえ、なんだかんだで、毎年のようにOKAMOTO’Sのライブはきちんと観ていた気がする。

当時でも、演奏は上手いし、サウンドはカッコいいなーとは思っていたから。

けれど、当時の自分には「ルーツが見えまくりのポップじゃない感じ」や、好きな音楽を取り込みまくったバックグランドの多様さを上手く消化することができなかったのだ。

いや、今ならわかるよ??当時の俺、何寝言を言ってるんだ?って思うよ。

サイケだし、レトロだし、ロックンロールなこの音のカッコよさに惚れないなんて、おかしいだろう?と。

60年代的な質感のあるこのサウンドは過去の大量な音楽のリスペクトから成り立っている。

細かくコラージュしていくかのように多様なジャンルの音を取り込むことで、OKAMOTO’Sの音楽は唯一無二のサウンドになっている。

今なら、そんなサウンドのカッコよさが痛いほど、よくわかる。

どのパートも演奏はめっちゃ上手くて、リズム隊がこんなにカッコよくグルーヴを作り上げているバンドもそうはいないなーって思うし。

でも、当時の僕はピーンときてなかったのだ。

ピーンと来るようになった2015年ごろ

そんな僕がOKAMOTO’Sの音楽にハマるようになったのは、2015年にリリースされた「Dance With Me」を聴いたときくらいだった。

この歌を聴いた瞬間、何かが弾けた。

The Rolling StonesやThe Whoをリスペクトしてくるのが伝わってくるイントロとかギターソロ。

これだけでも、ああ、このバンドのメンバーは、伝統的なロックが大好きなんだなーということが伝わってくる。

しかも、ただリフをオマージュして終わらせるわけではない。

そこから、さらにロックの音を発展させる、そういう音楽愛みたいなものが伝わってくるのだ。

なんというか、それまでのOKAMOTO’Sの歌は「音楽愛」や「ロック愛」は伝わってくるんだけど、それな好きするが故に、なんだかゴチャゴチャしているように感じてしまい、その音楽を上手く受け止められなかったのだ。

でも、この歌はストーンとその音が胸に刺さった。

シンプルにカッケェって思ったし、食い入るように何度もその歌を聴いたものだった。

自由に叫び、語るように歌うオカモトショウのボーカルが、懐かしいのに新しい感じがするそのバンドサウンドが、全てが瑞々しく見えて、とにかくカッコよかったのだ。

バンドの「音そのもの」によって、身体を動かしたくなる、そんな気持ち良さがあったのだ。

そして『NO MORE MUSIC』で完璧にやられる

いや、マジでこのアルバムを聴いて、エグいなーと思った。

ファンクやヒップホップの臭いも漂わせたレッド・ホット・チリ・ペッパーズ感のある「90’S TOKYO BOYS」で幕をあけるのだが、この時点でエグい。

この歌って情報量はとても多いのに、余計な音は入ってないというハイレベルなことを成し遂げている。

ベースの音はよく聞こえるし、他のバンドサウンドも綺麗に聞こえてくる。そして、そんなクリアに聞こえる音の隅々から、色んなルーツやアイデアが綺麗に見えてくるのだ。

ルーツがここまではっきり見えるのに、パクリには一切ならないのは、メンバー全員の音楽的素養が半端ないからだし、頭の中にあるアイデアを120%の形で再現・表現できているからだよなーと思う。

つまり、メンバー全員の演奏技術がすごく高いからだよなーと思うのだ。

豊富なアイデアがあっても、それを具現化できない人は多い。

確かな演奏技術はあっても、アイデアがなくてそれを上手く活かせない人も多い。

バンドのメンバーの一人は才能人でも、メンバー全員の能力が噛み合ってなくて、グルーヴを生み出すことができないバンドも多い。

でも、OKAMOTO’Sは全員が音楽好きのオタクだなーと感じるし、リスペクトしながら音やリフを取り入れていることがよくわかるのだ。(あと、作品を聴いていると、映画や芸術などカルチャー全般に愛があるよなーと思う)

もしかしたら、メンバー間では、微妙にルーツが違うのかもしれない。

ヒップホップとかそういう「今の流行りの音楽」に強い関心を持っているメンバーもいれば、「やっぱり俺は伝統的なギターロックが好きなんだよな〜」と思うメンバーもいるとは思う。

でも、そういう違いも含めて、全てがバンドが持つ圧倒的な音楽的素養の中に組み込まれていく。

無数にあるアイデアの一つとして、OKAMOTO’Sのサウンドの一つとして組み込まれていく。

そういう底知れなさを感じるのだ。

このアルバムを聴くと、そんなことを思うのだった。

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最近のOKAMOTO’Sが一番かっこいい

さて、そんなOKAMOTO’Sであるが、ここで間違いなく言えるのは、今の新譜が一番かっこいいってこと。

マジで『BOY』ってアルバムが、バチクソにかっこいいのよ。

こんなにも、信用できるギターを鳴らしているバンドはいないよなって思う。

キャッチーではないし、流行りの音って感じではないけれど、そんなことどうでも良くなるくらいに音がカッコいいのだ。

ロックンロールを維持したまま、確実に進化してきたそのサウンドにノックアウトされる。

ロックという音楽のカッコよさと気持ち良さが、このアルバムには全部詰まっているのだ。

あと、悲壮感があるんだけど、きちんと希望みたいなものを描いてみせる歌詞も良い。

曲によってはU2感があるし、なんかアクモンみたいな匂いを感じる歌もあるし、ロック好きはワクワクしっぱなしなサウンドが展開される。

とにかく、聴きどころの多いアルバムなのである。

まとめ

というわけで、駆け足ながら、OKAMOTO’Sのことを言葉にしてみました。

ほんとね、日本で今、もっとも「ロックンロール」って呼べる音を鳴らしているバンドはOKAMOTO’Sだよなーって思うのだ。

ブルースの匂いがして、ガレージなギターの音がして、伝統的なロックのルーツが見えて、けれど古くさくはなくて、なんなら音に新しさすら感じて、ギター、ベース、ドラムが全部バチバチにカッコいい。

そんなバンド。

で、それをここで一言で表すならば、「最高にセンスが良いバンド」って言葉に落ち着くなーって思うのだ。

それが、OKAMOTO’Sの最大の良さなんだよなーと、僕は思うのだ。

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