好きなアーティストを「推し」という言葉を嫌がる人について思うこと

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「推し」という言葉は、わりと波紋を呼ぶワードだと思うし、好きなアーティストのことを「推し」と呼ぶことに違和感を覚える人は少なからずいると思う。

「推し」という言葉からアーティストにスタンスが見えることは確かだし、そのスタンスが自分と違うのだとすれば、違和感が出てくるのもわかるといえば、わかる。

けれど。

一方で、そに生じる違和感については、丁寧に見ていく必要があるのかも、なんてことを思うわけである。

なぜなら、本来的に「推し」という言葉自体が悪いわけではないと思うから。

もし「推し」という言葉に違和感を覚えたのだとしたら、そこで露わになっているのは、きっと「推し」という言葉を頻繁的に使う人に対する、その人への眼差しだと思うからだ。

「推し」という言葉には、こういったニュアンスがあるから嫌いだ、と誰かが述べたとする。

その解説の是非はともかく、そこで明らかにあるのは「推し」という言葉の意味合いではない。

その人が「推し」という言葉をこういう捉えているという事実であり、もっと言えば「推し」という言葉を頻繁に使う人に対してこういう捉えているという事実だと思うわけだ。

場合によっては、「推し」という言葉を頻繁に使う人は、自分と比べてしっかりエンタメを享受できないという意識を顕在化する可能性もあって、そういう他者に対する眼差しが明らかになっているだけではないか、と思ったりするわけだ。

まあ、言葉の捉え方は人それぞれだと思うけれど、それが決定される仮定で他者への眼差しも大きく影響しているよなーと思うわけだ。

もちろん。

様々な感情を一つの言葉で、済ませてしまうことには危険があると思う。

なぜなら、基本的にその人が使える言葉の数だけ、その景色は鮮やかに見えるはずだし、豊かになった眼差しになればなるほど、その気づきも多くなる、と思うからだ。

なので、なるべく多用な言葉を用いてその感情を表現した方がきっと豊かだとは思うし、そういう指摘はあり得ると思う。

「ヤバい」や「エモい」で感じた感情の全てを代弁させるのはきっと勿体ないことだし、そういうことが恒常的になれば、いつしか自分の中に宿る感情の種類も少なくなってしまうことだってあるからだ。

そういう意味でいうと、<好き>の感情を「推し」という言葉ですべて言い切ってみせる態度があるとすれば、それは勿体ないことだよなーとは思う。

けれど。

しかるべきタイミングでその言葉を使うならば、きっとその言葉はどこまでも輝くんじゃないかなーなんて自分は思うわけだ。

<推し>という似たような役割を担う言葉として<神>というワードがある。

昔のネットでは<神曲>とか<神○○>という言葉で、自分の感情の高ぶりを代弁させてみせることがよくあった。

<推し>というワードも、自分の感情の高ぶりを代弁させているという意味では、似たような要素を持つのだと思う。

なにより。

単語自体に然るべき意味づけをして、そこに意味を見出すのは、受け取る人間である。

言葉は、ある種の鏡だと自分は、思う。

例えば、特定の言葉は差別的な意味合いがあるから、別の言葉に置き換えて表現しましょう、という話がよく起こる。

そこで、少しずつ新しく生まれた言葉をみんなが使うようになるわけだけど、気がつくと、その新しく生まれた言葉を、置き換わる前の言葉と同じ態度で使う人がいる。

こうなると、差別的な意図を廃するために生まれたその新しい言葉は、いつしか同じ枠組みに落とし込まれることが往々にしてある。

差別的かどうかは、どのワードを使うかどうかに依存しているわけではない。

その言葉をどういう想いだったり、どういう文脈で使うかによると思うわけだ。

何が言いたいかというと、言葉そのものに宿る意味やニュアンスは、あくまでも受け手だったり、発している人の態度で変容するということ。

言葉そのものに対する眼差しよりも、見えない部分に宿る「そういうこと」が重要になるということ。

「推し」だって、そうだ。

相手がどういう意図でその言葉を使い、自分はどういう意図でその言葉を受け止めるか。

そこで、意味は大きく変容するし、言葉の輝き方だって大きく変わる。

なので、好きなアーティストを「推し」という言葉で表現するからダメ、みたいなそんな安易な話は本来ないのではないか、なんてことを思うわけだ。

まとめ

まあ、あと数年経てば<推し>という言葉は古くなって、そんな言葉を言うやつは<ダサい>って空気になるんだけどね。

2000年代のネットスラングの多くが死後になったように・・・。

キボンヌぬるぽネ甲kwsk・・・そんな希ガス。

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